2025年04月26日

永野護「ファイブスター物語」18巻

fss18.jpg フィルモア皇帝ダイ・グは病身を押して戦場に立ち、最後の勅命を発する。チャンダナは、すべてのバランシェ・ファティマと情報のリレーを行い、結果として、時間も空間も越えてすべての宇宙にメッセージが届くことになる。
 永野護先生は、早くからPCを作画に取り入れていた。チャンダナが発揮したこの機能も、IT業界における分散クラウドに着想を得たものと思われる。
 延々と紹介され続けるファティマの名前は、既知のもの、未知のものが入り交じり、もはや壮観。おそらく、これを最後に二度と見ないキャラもいるんだろうなあ、となんだか寂しくなってしまう。

 一方、スリーブノートでは、過去のイラストを紹介しつつ、近年話題の生成AIを全否定する言葉が続く。AIは、その概念における標準的・平均的なイメージしか出力しない。ある種のゆがみがあり、常に尖ったデザインを生み出してきた永野護が認めるはずもない。世界一カッコいい老害ムーブだ。
posted by Dr.K at 23:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月20日

未来イカ革命「Splatoon3」 その25

spla3253.jpg
 先週は「Spring Fest」ということで、バンカラ街も桜の装い。ちょうど造幣局の「桜の通り抜け」に行ったタイミングだったので、リアルでもゲームでもお花見が出来てお得である。(何が?)

spla3251.jpg
 はかどるのは? というお題に対し、朝を選んだが敗北。いつもの装備で戦うが、どうにも調子が出ない。それもそのはず、モニターを買い替えたのでサイズが変わり、感覚がズレていたのだ。どういうわけか、52ガロンデコを手に取ったら調子が戻り、勝ちが付き始めた。単にメンバーにめぐまれただけかもしれない。

spla3252.jpg
 合間合間でプレイしていた「ナワバトラー」もついにランク41に達した。対戦相手にアオリが出てきて驚いた。このあと歴代キャラクターが総登場するのか? 長い道のりだがもう少し続けてみるか。
posted by Dr.K at 12:24| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月19日

【今年も盛況】ゲームパビリオンJP 2025

20250329_gp0.jpg
 3/29、恒例となったインディーゲームのイベント「ゲームパビリオンJP」に足を運びました。開場直前に着いたのですが、驚いたことに、並ぶ場所に困るほどの列が出来ています。原因は、「都市伝説解体センター」のブースでした。限定グッズでも売っていたのでしょうか?

続きを読む
posted by Dr.K at 18:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 講師の独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月13日

お隣さんはヒトラー?

 1960年、南米コロンビアで一人寂しく暮らすマレクは、ホロコーストを生き延びたユダヤ人です。ある日、隣の空き家にヘルマンと名乗るドイツ人が越してくるのですが、ふとしたことから、彼がヒトラーであると気付きます。役所に訴えるのですが、ヒトラーなどとっくに死んだはず、と全く相手にされません。マレクは写真機と、ヒトラーについて書かれた本を買い込み、決定的な証拠をつかむために隣家を見張り始めます。

 マレクにとっては、家族の仇であるヒトラー。はじめのうちヘルマンは、部下に守られ、凶暴そうな犬も連れており、いかにも恐ろしい人物に見えます。しかし、調査を始めたマレクは、写真を撮るだけでなく、筆跡を確認しようとしたり、隣家に侵入して調べたりと、恐れ知らずの行動に出て視聴者を冷や冷やさせます。果たして隣人はヒトラーなのか? スパイ映画のような謎を扱っているのに、ビジュアルは偏屈な爺さん二人が不器用につきあっているだけ、というギャップが笑えます。しかも、ただの悪ふざけで終わらず、それぞれの戦後に向き合うきちんとしたお話になっている。結末の余韻はなかなかのものでした。ヘルマンとカルテンブルナー夫人が親しくなり、今後の人生が少しでも良きものになればいいですね。
 映画ではいささか使われ過ぎのヒトラーですが、まだ新しい切り口があるのだな、と感心しました。

地味度 8
滋味度 7
エンディング 8
個人的総合 6

他の方の感想
夜な夜なシネマ:別れが切ない
映画にわか:粋な珍説映画
posted by Dr.K at 16:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月11日

冬ドラマ最終回の通信簿2025

 「秘密」は、板垣李光人の演技が拙く見え、1話で視聴をやめてしまいました。「どうする家康」では、そんなに悪くなかったと思うのですが。

「プライベートバンカー」:良い
 扱っている内容が大金持ちのマネーゲームで、これほど自分とかかわりのないドラマも珍しいです。鈴木保奈美が無能すぎて、こんな役をさせなくても、と思っていたのですが、最終回で豹変。鈴木保奈美を起用した理由はこれか、と納得しました。

「私の知らない私」:悪い
 主人公をいじめ抜くことに徹した物語で面白かったのですが、二転三転させたいがためのミスリードが多く、辻褄が怪しいです。最終的に悪が一人に集約されるのですが、かといって誰も幸せにならないのでスッキリしません。何より、エピローグはHuluで、という誘導は最悪です。

「御上先生」:悪い
 最後になって石あかりが活躍、待ってました。今最も勢いのある女優、モブで終わるはずがありませんね。御上が賢い学生を論破する序盤は面白かったですが、学生に信頼されてからは凡庸でした。問題が広すぎてぼんやりしています。悪役がもう少し抵抗してくれないと盛り上がりません。学生に感情移入させない作りで、卒業にも感慨がありませんでした。

「アポロの歌」:普通
 石あかりはこっちの方が大活躍でした。極端に古い原作を、低予算ながらアーティスティックに撮っているという点で、岩井俊二の「なぞの転校生」に近しいものを感じます。最後に再会できた二人ですが、神から許された描写もないので、これからも別れと出会いを繰り返していくのでしょうか。

「ホットスポット」:良い
 多くのドラマが、視聴者にインパクトを与えようとしてコケている中で、一貫してゆるさを保ち、盛り上げないのがこのドラマ。最終回は、「ブラッシュアップライフ」のセルフパロディのようでした。のほほんと名優を無駄遣いしており、横綱の如き盤石さを見せつけてくれます。
hotspot.jpg
posted by Dr.K at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 馬鹿は黙ってろ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月10日

どうすればよかったか?

 昨年から、ミニシアターで静かにロングランを続けている、話題のドキュメンタリー映画。
 姉が統合失調症にかかったが、両親はそれを認めず、やがて自宅に軟禁する。実家を離れた弟は、姉を医者に診せるよう親を説得。帰省するたびに撮影した、一家の20年以上にわたる記録である。
 一般に、ドキュメンタリーと言えば、作り手に伝えたいことや主張したいことがあり、それに沿って映像をつなげていく。だがこの映画は、冒頭のテロップでそういう目的はない、と否定する。タイトル通り、問いかける作品であり、「この親は間違っている」と白黒がつけられるような話にはならない。
 ほとんどの観客は統合失調症に詳しくない。刻々と変化していく姉の様子を、ハラハラしながら見守ることになる。しかし、私が一番ショックを受けたのは、時の流れの残酷さだった。
 監督である弟が帰省するのは年に一度、あるいは数年おきだ。断続的な映像の中で、両親は急速に老いていく。認知症になった母は、もはや姉の面倒を見るどころではない。父の体も年相応に不自由になっていく。まるで私の家のようで、いたたまれなかった。父は教養のある研究者で、母は認知症というのが全く同じなのだ。私は両親と同居なので、変化は日々少しずつ起こっているが、映画の時間に圧縮すると、こんなにも絶望的な変化に感じられるのか、と愕然とした。
 映画を終わらせるために、監督は父に最後の問いかけをする。それを受け止めるだけの心は父にはもうない。今は施設にいる私の父と同じ様子を感じ、酷だと思った。

オリジナリティ 9
当事者性 10
作品性 1
個人的総合 評価不能

他の方の感想
posted by Dr.K at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月05日

Nintendo Switch 2の抽選に応募

sw2.jpg
 話題騒然のスイッチ2。さっそく抽選に申し込んで来ました。見事な転売対策が施されていますので、少しは当たりやすいのでは、と期待しています。仕事柄、「Nintendo Switch 2 のひみつ展」は早く見ておきたいです。

●意外に早い!
 それにしても6月ですか。秋から年末にかけてだろう、と予想していたので驚きました。夏休みにプレイ予定のゲームが決まっていた人は、計画を変更しないといけませんね。

●意外に安い!
 Nintendo Directでは、サードパーティーの移植タイトルも多数発表されました。その中に「サイバーパンク2077」が。PS4ではまともに動かず、PS5でようやく快適に遊べた、という経験をしたタイトルです。これが動くとなると、Switch2はスペックが高く、そのぶん価格も高くなりそうだな、と思いながら番組を見ていました。
 ところが、発表された価格は予想外に安かった。今後は、他のプラットフォームはかなりの苦境に立たされそうです。

●Nintendo Switch 2 Edition
 任天堂のゲームの一部で、Switch2用にアップグレードしたバージョンが発売されます。今のところ、「マリオパーティー」や「星のカービィ ディスカバリー」が発表されているのですが、いずれは「スプラトゥーン3」あたりも何か追加されるのではないかと予想しています。

 PS5は、抽選に当たるまでに大変な時間を要しました。今回は早く手に入るよう祈っております。
posted by Dr.K at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 馬鹿は黙ってろ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月04日

ミッキー17

 「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のように始まるが、「風の谷のナウシカ」のように終わる。色々と惜しい凡作である。

 借金取りに追われるミッキーは、宇宙へ移民となって逃れるため、〈エクスペンダブルズ〉に志願する。〈エクスペンダブルズ〉とは、使い捨て人間。危険な仕事や人体実験に使われ、死ねば直ちに新しい肉体が〈プリントアウト〉され、記憶もバックアップされる。宇宙船は、植民地候補となる惑星ニフルヘイムに着いたが、調査に駆り出されたミッキーは、その星に住む怪物、クリーパーに襲われてしまう。

 物語冒頭は、ミッキーが繰り返し使い捨てられる。周囲に倫理観が欠片もなく、エグい世界観でインパクトがある。〈プリントアウト〉は超技術のはずだが、古びたインクジェットプリンターのようにつっかえつっかえ出力されるみすぼらしさで笑える。ミッキーにとっては、警備担当のナーシャとの交際が心の支えだが、何度再生されても次のミッキーと平然とつきあうナーシャの感覚も理解しがたいところがある。

注:以下にネタバレ含む

続きを読む
posted by Dr.K at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月01日

辛うじてエイプリルフール 「ぴにゃこら大脱走!」

pinya1.jpg
 本日は4月1日。デレステ恒例のエイプリルフールは、「ぴにゃこら大脱走!」と題し、これまでに登場したエイプリルフールのミニゲームを再プレイさせる内容です。…って、昨年と同じか! このご時世、エイプリルフールがあるだけでもありがたいのですが、いよいよ最後、という雰囲気が漂ってまいりました。

pinya2.jpg
 辛うじて、ストーリー部分だけは新規になっているのですが、ほとんど日本語で書かれていない有様なので、なんともかんとも。今年も「クイズdeシンデレラ」をプレイしてみたのですが、マッチングしないということもなく、まだまだプレイヤーは多そうです。さすがに皆さん手ごわく、いつも通りちっとも点が取れませんでした。
posted by Dr.K at 23:01| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年03月28日

アニメ「火の鳥」は中途半端!

 「火の鳥」が最終回を迎えた。21年前のアニメの再放送である。

 HD画質のデジタル作画への移行、3DCGの活用など、当時としては先進的な制作体制で、決して手抜きではないのだが、なんとも中途半端な内容だ。
 すべてをアニメ化できる時間はないので、内容がカットされるのは理解できる。ただ、作品の印象を左右するカットはいかがなものか。
hinotori.jpg
 例えば「復活編」。ロビタの集団自決がなく、なんだかいい話で終わってしまっている。このせいで、「未来編」にロビタがつながっていない。オープニングに集団のシーンがあるのに、本編にないのでは詐欺である
 「異形編」。最後に時間の牢獄から逃れた可平が、後の世で妖怪絵師となるエピローグがない。これは純粋に時間不足か。
 一番カットされているのは「太陽編」で、マンガでは7世紀と未来を行き来する複雑なストーリーなのだが、未来をばっさりなかったことにし、シンプルな時代劇にまとめてしまっている。
 そして「未来編」。マンガ読者をびっくりさせたナメクジ文明のくだりがない。そのため、アニメでは生物の進化をただ繰り返して人類が再び登場したことになっている。妙に押しつけがましい結末のメッセージも蛇足である。

 そもそも、はじめから全「火の鳥」をアニメ化しない番組なのだから、無理にカットしておさめるのではなく、「編」をもう少し減らして、一つ一つを長く描けばよかったのではないか。結果として、原作が短編だったためにきれいにまとまった「異形編」が一番よく出来ていたように思った。
posted by Dr.K at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする