「今までに、世界中で何億のプリンスが死んだことだろう」と言いたいのは俺。
さて、プリンス・オブ・ペルシャは、その後続編などがいくつか登場したが、日本で話題になるほどではなかった。
しかし2003年に登場した
「プリンス・オブペルシャ 時間の砂」は違った。欧米では最高の3Dアクションと評価され、日本でもPS2版はSCEが大宣伝を打っての販売となったのである。
2Dゲームの名作を、3Dでリメイクする企画はこれまでにいくつもあったが、その多くは往年のプレイヤーをがっかりさせる出来だった。ところが、
「時間の砂」は素晴らしかった。プリンスの挙動は、独自のモーション補間技術により、アクションとアクションの間が美しくつながる。3Dになった手強いマップを、そのアクションで乗り越えていく達成感は一級品だ。
一方で、シリーズもう一つの特徴だった
えげつない難度は、「時間の砂」ではナリを潜める。相変わらず一発死にのトラップや絶壁は多いのだが、失敗したらスペシャルアイテム
時間の砂で時を巻き戻し(このときの逆再生映像は必見!)、再挑戦できるのである。要所の豪華ムービーや、ハリウッド調のストーリーも手伝って、ずいぶんと一般受けするゲームになったなぁ、という印象だ。
そして翌年、「時間の砂」の続編として登場したのが
「プリンス・オブ・ペルシャ ケンシノココロ」だ。前作では、ヒロインとちょっとした恋に落ちたり、柔らかいところも見せていたプリンス。オープニングでいきなり
荒みきっていてすっかり別人だ。
前作「時間の砂」の大ヒットに気をよくし、スタッフが好き放題やってしまったのだろうか。
時間の砂を使って時を巻き戻せてもなお死にに死にまくらねばならない
激辛難度設定、イージーモードにしても敵の体力が減るだけで何の解決にもならないという突き放しっぷりだ。そりゃプリンスも荒むわけだ。

この難しさの大きな一因となっているのが、画像左の「ダハカ」。こいつは時の番人であり、歴史を乱すプリンスを消すべく、ゲーム中何度も追ってくるのだ。
これまでのプリンス・オブ・ペルシャにも、一気に駆け抜けねばならない局面は確かにあった。しかし、事前によく見渡し、考え、タイミングをとってから行動を起こすことがほとんどだったはずだ。
ところが、ダハカが絡むとそんなことをやってはいられない。少しでももたついたり迷ったりしようものなら、問答無用で奴の触手の餌食だ。複雑なマップに一瞬の判断が要求され、ダハカから逃れるたびに
脳みそがチリチリするような緊迫感が得られる。
俺、ハバネロにやみつきになる人の気持ちが初めて分かったかも。 そんなプリンス・オブ・ペルシャシリーズ。日本ではすべて一年遅れの発売となっているが、このたび6月に最新作
プリンス・オブ・ペルシャ 二つの魂が発売の予定。以上で
時間の砂 三部作が完結、とのことなので
激辛さに期待と不安を抱きつつ待とうと思う。