ゲームは少しばかり進みまして、今は森の魔女との戦いで苦戦しているところです。景色に見とれていると
容赦なくナパームで焼き殺されます。かわいげのない魔女め!
さて、元プランナーの目で見ますと、この「オーディンスフィア」というゲーム、意図してかどうかは不明ですが、
企画の禁じ手をかなり犯している作りですね。

まず、システム面で見ますと、成長要素、買い物、アイテムの合成、行き来できるマップ構成(図参照)などは、RPGそのものです。ところが、アクション戦闘をやっていると、上記の要素のため画面が止まる機会が多く、
テンポの途切れが気になるのですね。もともと面クリア型アクションだったところにRPG要素を足したのか、あるいは逆にRPGだったところをアクション重視に変えたのか。開発中に何か路線変更があったのでは、と思わせます。
また、
アリスへの偏愛ぶりも特筆すべき点でしょう。少女アリスが屋根裏部屋で読む本、それが「オーディンスフィア」の物語です。彼女が愛らしい動きで本を読み始める仕草は、確かに素晴らしいのですが、
ロードする時もいちいちアリスを操作してからでないとゲームを再開できない、というのにはちょっと驚きます。演出をとって利便性を捨てた仕様は、
ゲーム企画の禁じ手の筆頭です。ゲームのインターフェースでは、慣れるほどスキップの度合いが高くなることを意識して作るのがセオリーですから。
そもそも、
「オーディンスフィア」の物語を本の中のもの、とする設定からして企画のセオリーに背くのですね。それではストーリーの迫真性が薄れてしまいますから。しかし、作り手はあえて架空のものとして演出を作り込もうとしています。例えば、声優さんが声をあてているにもかかわらず、
セリフとしては不自然な書き言葉で読み上げさせている。これは舞台劇の作法です。
舞台の背景美術のような2Dという、デザイン面の特徴を最大に生かすために逆算された作り方である訳です。
普通は、ここまで演出至上、グラフィック偏重でゲームを作ろうとすると、誰かが止めます。しかし、「オーディンスフィア」では、社長がこうと決めたわけですから、このやり方で通るのです。おかげで、
最近にない個性的なゲームが楽しめ、誠にありがたいことです。