「サルまん2.0」が中断してがっかりしていたら、すかさずジャンプが「バクマン。」を始める。世の中よくできているもんだ。
「バクマン。」は、大場・小畑の〈デスノート〉タッグによる新作。内容は、ファンタジーでもサスペンスでもなく、漫画家を目指す物語。先日2巻までを購入して読んでみたが、これはヘタするとデスノートより面白い。
第1話では、またまた頭のいい冷め切ったガキかよ、って感じで印象の悪いスタートを切るが、2話以降の爆走ぶりは、スポ根マンガもかくや、という熱さ。一応フィクションの体をとりつつも、ジャンプ編集の裏をそれっぽく見せていくのも、野次馬根性をそそる。
「まんが道」の時代との圧倒的な差は、原作と作画に明確に分かれた分業もさることながら、内容の決め方。読み手を意識し、戦略的に賞レース(や読者アンケート)を勝ちに行く。
「サルまん」のように批評的なオッサン視点の作品ならともかく、天才少年漫画家がデビュー、というストーリーでこうなるとはね。本当に「描きたいもの」こそが読者を感動させる、という建前が崩壊してしまったことを痛感する。
「デスノート」に続いて、女性キャラを巧みにないがしろにする、硬派な作りには好感。小畑の描く女の子はかわいいので、並の作者なら、これをもっと前面に出したくなるもの。しかし大場は(?)突き放す。亜豆は結婚を約束したとは言え、サイコーとデートもままならない。スポーツマンガによくいる、観客として応援に来てくれるヒロイン以下のポジションだ。
まだ2冊しか出ていないが、亜豆との約束、他のマンガとの競争、シュージンが一切絵を描けないこと、新妻エイジによる「マンガ一本を打ち切る権利」発言など、近距離から遠距離までまんべんなく投げられた餌には、巧すぎる、とうなってしまう。
ストーリーの今後以外に、主人公たちの描く内容が、どこまで詳しく出てくるのか、ということにも興味がわく。そこまでやってくれる時は来るだろうか。