2010年05月30日

花沢健吾「アイアムアヒーロー」3巻

 3巻のあらすじ。

 樹海に着いた。

 あれ、6文字で済んじゃった。
 それなのに何だろう、この面白さ、この密度。
 私たちは、他の物語の中で、ゾンビなんて見慣れている。そして普通は、奴らはもう人間じゃない、とか言われ、ゾンビたちは化け物扱いされる。
 だが「アイアムアヒーロー」はちょっと違う。特に、この巻では、人がゾンビになる過程を丁寧に見せていく。しかも、見た目の変化だけではなく、思考の変化を描く緊張感がすごい。その危うい境界の中で、出会いと別れが繰り返されていく。物理的には大して移動していないが、まさしく大冒険である。

3 樹海では、2巻の表紙に出ていた少女がようやく登場。3巻の表紙もいまのところ謎だが、今後、こういう場面が出てくるのかも知れないなあ。

 ピンチになったところで、唐突に瓶入りザーサイの絵が挿入される。そこまでの話を思い出してみたが、どうにもわけがわからない。…と思ったら、十数ページ後に種明かしがあった。主人公渾身のギャグ、恐れ入りました。

posted by Dr.K at 09:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月26日

セブン

 あまりに救われない衝撃のエンディングが話題になった映画。先日、初めて観る機会を得たが、エンターテインメント性とアート性を高度に両立した名作だった。
 不協和音とミュージッククリップ風の映像が印象的なオープニングは、同時に、アート系映画特有の気難しさを予感させたが、余計な心配だった。あとは、殺人事件の行方を追っているだけで、自然に楽しむことができる。意表をつく展開も多くて飽きさせない。
 タイトルの「セブン」とは、キリスト教における七つの大罪のこと。そのモチーフを際だたせるために、実際よりも荒廃した架空のアメリカを舞台にしているとのことだが、今となってはほとんどリアルと変わらないと言う印象なのがそら恐ろしい。そして、キリスト教の影響下にない者にとっては衝撃は半減。犯人を単なる狂信者と見てしまっては、よくある残酷趣味の映画になってしまう。作中の刑事と同様、自らの信じる正義がぐらつく感覚を味わえるかどうかで、この作品の印象は大きく変わる。
 逆走するエンドロールが、ここまでをなかったことにしたい、という観客の意志とシンクロしているのもうまい。
 それにしても、この完成度の高い映画を作ったのがデヴィッド・フィンチャーとは。この監督、「エイリアン3」の監督をしており、キャメロン監督が「2」で助けた少女を、「3」のオープニングで死なせるという暴挙を働いていて、個人的に嫌な監督だと思っていたのだが、ちょっと見直すことにする。

後味の悪さ 7
グロ映像  7
世も末度  7
個人的総合 7

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2010年05月22日

田中圭一のつぶやきが紛らわしすぎる(笑)

 最近、当ブログに、googleで「田中圭一」を検索してたどりつく方が急増しています。ひょっとして、新作でも出たのでしょうか。

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posted by Dr.K at 11:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月19日

「島国大和のド畜生」もどきの日記まがい

 他人の芸風で雑記を書くシリーズ。

■口蹄疫
 テレビがコーテーエキコーテーエキと騒いでいると、ユンケルがどうした、と思ってしまう。ダメだ!

■マジコンとか
 そこらの洟垂れ小僧がゲームをコピーしていても、別にどうとは思わないが、うちの学生(専門学校のゲーム科)は別。仮にもゲームで食おうって言うのなら、しかるべき対価を払ってプレイするのが常識。諸君の未来の給料はどうやって出るのかくらい想像しろ。
 俺が校長だったら、ゲームのコピーは停学処分にする。だって、高校生がタバコを吸うのと同等には悪質だろ?

■twitter
 早く廃れてほしい。書く方のメリットはともかく、まとまっていないものを読むのは苦痛。何かあってもすぐ流れてしまうし、他の人からのノイズは多いしで、見る人に慣れや努力を強いるメディアという印象が強い。

■谷亮子の出馬
 政治の素人が出馬、というのは過去にも多くの例があるので、あまり文句を言うつもりはない。ただ、谷選手のようなスポーツで絶大な実績を残している人には出てほしくないと思う。強い選手であるほど、気合いと根性に任せて何かしそうじゃない? 世の中のほとんどの人はそんな強さとは無縁。政治はもっと理をもって進めるべきだ。情では何ともならない、というのは現総理が日々証明している。

posted by Dr.K at 09:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010の注目記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月16日

やっとこさ12巻 「新世紀エヴァンゲリオン」

 3年ぶりの新刊。映画とどっちが先に完結するのか、予想外の大接戦になってきました。

Evacomi12 他に例を見ないタイプのコミカライズです。あらすじレベルでは旧劇場版をなぞっているのですが、とにかく分かりやすい。映画が放置した謎を、ことごとく説明してしまったのには驚きました。ただ、急にセリフで説明してしまったので、伏線も何もあったものじゃありません。元の映画が持っていた神秘性が削がれ、失望したファンも多いのではないでしょうか。
 しかし、この明快さのおかげで、結末に興味を集中させることができます。例によって続きが気になるところで連載が中断しているので、早く再開してほしいです。
 個人的には、ゲンドウやミサトの発言がひっくり返されたりするとエヴァらしいと思うのですが、庵野監督じゃないのでそういうことは起こらなさそう。
 また、一時的とはいえ、アスカが元気に復活しているのは嬉しいですね。「破」がえらいことになっているだけに。

posted by Dr.K at 16:57| Comment(1) | TrackBack(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月15日

「龍が如く4」その2 カラオケ番長日記

 前作「龍が如く3」で話題になったのがカラオケのミニゲーム。渋いはずの桐生が、オタ芸もかくやという激しい合いの手を入れる衝撃映像は、瞬く間に動画サイトを駆けめぐった。

 好評につき、「4」にもひきつづきカラオケはある。ところが、どうも物足りない。前作では、キャバ嬢が歌ったあと桐生が歌ったのだが、今回はキャバ嬢が一曲歌うだけなのだ。「4」は主人公が4人もいるので、いちいち歌を収録できなかったのだろうか。
 などと思っていたら、あるキャバ嬢だけ2曲、しかも2曲目はデュエットだったのである!

Ryu402

 こりゃ豪華だ。秋山役の山寺宏一が、バラエティ番組のカラオケのときと同じで、無駄に美声を響かせていて笑うしかない。なんと、平野綾とデュエットもできるらしいぞ。このゲームではあの見かけだけど(笑)

posted by Dr.K at 17:17| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月08日

7年経って進化した! −つくってうたう さるバンド−

「つくってうたう さるバンド」公式

 聞いてないよ! いつの間にか「くまうた」の続編が出てるなんて! ダウンロード専売は、こういう不意打ちがあるから困るな!

N.O.M2010-5

 制作者インタビューを読むだけで脱力してくる(笑)
 しかし、これはすごいソフトかも知れないよ。「くまうた」から7年、演歌しか作れなかったものが、20もの音楽ジャンルを網羅。それでたったの800円ですか。お得にもほどがあるでしょ。さっそくYou-Tubeもにぎわってるし、私もポイントを買って来ねば!

posted by Dr.K at 16:53| Comment(4) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月05日

先生、ついに出ました。 西岡兄妹「カフカ」

 私が大学に入った頃のこと。自分の著書をテキストとして買わせ、レポートを書かせた上に、長々と解説を講義する先生が現れて面食らった。小説家の後藤明生である。
 何しろ国語の成績だけがマシ、という理由で文学科を選んだ理系崩れのこと、先生の小説のどこがいいのかさっぱり理解できない。レポートで遠回しに「こんな小説のどこが面白いのかわからない」旨を正直に述べたところ、先生から面白がられ、なぜか気に入られてしまった。

 その後、私はゼミでマンガを研究しようと決意。先生にそのことを話すと、「ぼくはマンガのことはよく分からないが」と前置きした上で、「カフカの作品、そうだな、〈流刑地にて〉の機械をマンガにすることが出来たら、ぜひ見てみたいものだね」とおっしゃった。
 当時の私はマンガを描いていたので、これは私が自ら描くことを期待しての言葉だった。さっそく「カフカ短編集」を買い、「流刑地にて」を読んでみた。なるほど、これは挑戦状だ。詳細に書かれているが、全体像はつかませない。カフカは視覚化できない作品の宝庫だった。

Kafka 先日、西岡兄妹の「カフカ」を店頭で見つけ、私がまずしたことは、「流刑地にて」が収録されているかどうか確かめることだった。やはり入っていた。迷わず購入だ。
 読んでみると、原作つきマンガにありがちな独自の解釈は控えてあり、ナレーションの形で小説の本文ほぼそのままが引用されている箇所が多い。しかし、「流刑地にて」のクライマックスは文を封印して絵だけで表現されており、漫画家の意地を垣間見た。

 先生、ついに出ましたよ。でも先生が生きていたら、多分、「なぜ君が先に描かなかったのか」とおっしゃるのでしょうね。

posted by Dr.K at 15:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月04日

アイ・アム・レジェンド

 いや〜、映画には映画の強みがあるな。人影の絶えた都市で、サバイバル生活を送る主人公。その途方もない寂しさが、見事に描写されている。犬、人形、テレビ、ラジオなどの演出もよく効いている。
 こういうのは、ゲームでは難しい。プレイヤー以外すべて敵、なんてのはゲームでは当たり前の状況でしかないから。「ワンダと巨像」の寂寥感はなかなかのものではあったけど。

 一部のDVDでは別のエンディングが収録されているが、これが本当に別物で驚くやらあきれるやら。プレイの過程に重きを置くゲームならともかく、映画で筋書きがブレるのはどうかと思う。

引き込み度 8
犬の演技力 8
結末迷走度 10
個人的総合 7

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2010年05月02日

子供の日にちなんで? 「愛と勇気とかしわもち」

 学生に、最近印象に残ったゲームを挙げてもらったところ、有名タイトルの数々に混じって「愛と勇気とかしわもち」という答えがありました。何それ?

作者様サイト〈カタテマ〉

Kasiwa 調べてみたところ、アマチュアクリエイターによるフリーゲームということが判明。さっそくダウンロードしてやってみる。
 ほう、お菓子を並べるパズルか。う〜ん、よく出来てるとは思うけど、とりたてて名前を挙げるほどのものかな?
 と思ったら。
 なんかストーリーが進んでるみたいなんですが。刻々と画面も変化しているような。
 おや、これは…
 えええええええええええええええ

 いや〜、意表をつかれました。こんな演出でスコアアタックへの意欲を駆り立てるとは。なるほど印象に残るわけです。

超怖いゲームみつけた
 ↑2chにスレまで立っとる。プレイしてから見ましょう。

posted by Dr.K at 17:19| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする