いやはや壮絶ですね。作り手もファンも胃が痛くなるような状況で、気の毒です。
ITmedia News:「アイマス2」署名8500件手渡し求め、ファンが内容証明送付 「キャラ4人育成可能にして」
さて、上記の件に関して、先日、コメント欄で次のような質問をいただきました。
・数万本売れるか売れないかの国内Xbox市場で、8500人が買わないと言ったとき、これは商品として成立するのだろうか?
・このような正式に書面化された要望を、製作サイドはどのぐらい真摯に受け止めるべきなのか? また、具体的に仕様を変更するべきなのか?
まず署名に関してですが、この数がどれくらいソフトの売れ行きに影響するか、なかなか推し量りにくいところがあります。ネット上での事件は、面白おかしく盛り上げる人が大勢いますから、そういった野次馬票が相当数含まれるのではないでしょうか。また、たとえ要望が受け入れられなくても買う、というつもりで署名した人もいるはずです。何より、「2」ではずされた4キャラ以外のファンにとっては、ダメージは軽微です。
しかしながら、この署名が無視して良いほど軽いものか、というとそうではありません。「アイドルマスター」の場合、ゲームそのものに比して、キャラクター商品の市場が大きい。ファンが幻滅して、関連商品を買わなくなる、ということの影響ははかり知れません。そしてすでにその兆候は出ています。
はちま起稿:【アイマス2】 9・18事件以降関連CDの予約が激減 データは嘘をつかない
一方、仕様を変更すべきかどうかについてですが、ちょうど、署名の到着を受けて制作側の発言が出たところですね。
アイマス公式ブログ:プロデューサーであるファンの皆様へ
慎重に慎重を期して書いている様子がありありの苦渋の文章ですが、要するに、変更はできない、と言ってます。
はずされた4人の復帰。これがまず一番無理です。「アイドルマスター」の肝は歌ですが、これは初音ミクが歌っているのではないのです。従って、すべてのキャラ、すべての組み合わせで歌を収録しなければなりません。楽曲を作り、声優さんのスケジュールをおさえるだけでも大変です。デモが公開されたと言うことは、収録もほぼ終わっているのでしょう。これらを変更すると、ゲーム開発をほぼ振り出しに戻すことになってしまいます。社外で作る素材は、CGやプログラムと違い、後から変更がきかないのです。
男性アイドルの退場は、シナリオの書き直しを意味し、オンラインの復活は、サービスに伴う費用対効果が問題になります。
すべてを通して言えるのが、ファンと作り手のズレ。ファンが昔のままを求めたのに対し、作り手の提案する新機軸が裏目に出てしまった。もともと「アイドルマスター」はアーケードで短時間プレイする育成+対戦型のシミュレーションゲームでした。360版はその移植版です。「2」は家庭用に特化するため、シナリオを盛り込んでボリュームを出そうとしたのでしょう。そのための、オンライン機能をカットしての一人プレイ、CPUライバルの充実、男性ユニットの登場だったわけです。方法論としては、きっちり筋が通っていると思います。
制作者のすべきことは、変に要望を気にしてぐだぐだになるのではなく、「やってみたら面白いじゃないか」という完成度にまでゲームを高めていくことではないでしょうか。
では、ファンが要望の声を上げることは無駄だったのでしょうか。そんなことはありません。次の新作(「3」?)の企画の際には、要望が検討されることになるはずなので、
↑こんな悪態をつかずに、気長に見守りませんか。ゲームのアイドルは、いつまでも歳をとらないんですから。