番組サイト「日本人イヌイット 北極圏に生きる」
※見逃した人は、本日深夜から再放送あり。
何気なくチャンネルを合わせたのだが、素晴らしい番組だった。
いつもなら、イヌイットなどと言われても、縁遠い人々としか思えない。ところが、その中に、日本から移り住んだ人がいるということで、にわかに親近感がわいてくる。
現在では、イヌイットの人々も、現金収入を求めて街へ出稼ぎに出ており、集落は過疎化の一途をたどっている。ところが、そんな中でこの日本人イヌイットの一家は、昔ながらの狩猟生活を守っているのだという。
番組は、8歳になる子供が、狩りに同道して徐々に学んでいく様を淡々とうつす。心に残るのは、素朴だが正しい家族の姿。父親は息子に狩りを教えるが、それはそのまま、イヌイットとして生きるための方法を教えていることになる。一方で、複雑になりすぎた日本の社会において、生き方を子供に教えることができる父など、どれほどいるだろうか。
狩って食うというのは、シンプルだが厳しい暮らしだ。しかし、肉を運ぶ知恵、子連れの動物は狩らないという掟など、イヌイットの教えを守った生き方は、眩しいほどに美しい。拝金主義にまみれた我々は、恥ずかしくてあわせる顔がない。
子供の成長が気になるので、ぜひ継続的な取材をお願いしたい番組である。