待望の「ICO/ワンダと巨像 Limited Box」を入手。
ゲームは後でゆっくりプレイすることにして、まずは特典本「神話を紡ぐ」に目を通す。
これは意外。クリエイター上田文人をあらゆる角度から取材した本だった。
ゲームの特典本というと、キャラクターやらストーリーやら、ゲーム内外に設定を広げたものが多い。しかし、「ICO」や「ワンダ」の場合はそれらをプレイヤーの想像に委ねたところに妙味があり、余計な設定の公開は無粋というもの。そこで、「神話を紡ぐ」は、作り手にクローズアップした異例の特典となった。
充実したインタビュー記事の他、コンセプトのスケッチ、仕様書、絵コンテ、資料などが公開され、まさにクリエイター必読の内容となっている。
楽しんで作ったものだけが良いエンタテインメントになるという発想は、僕にはありません。生みの苦しみをくぐり抜けたものが、良い作品になるんです。
僕が手数をかけても作りたいのは、部屋を暗くして”ゲームをやるぞ”と構えて、その世界に没入させるようなものなんです。手間や時間を割いてでもやりたい、そう思ってもらえるものを発信したい。
最近の、萎縮したゲームの制作環境にあって、上田文人の発言は実に頼もしく、胸が空く思いがする。私は、「トリコ」の開発が長引いて心配している一人だが、無用の心配に終わりそうだ。
ゲームのファンにとっては、折り込みの上田文人書き下ろしイラストが必見だ。一見、ラフに描いた簡単な絵だが、よく見ると、それぞれゲームのエンディングのその後を描いていることに気付く。数年越しの素晴らしいプレゼントだ。
さて、「ICO/ワンダと巨像 Limited Box」 を買うにあたり、気になっていたのが各ゲームの説明書。
PS2版では、それぞれ大変に凝った編集がされていた。「ICO」では、絵本のような物語の体裁の中にゲームの操作と攻略が埋め込まれており、「ワンダ」では、各ページを巧みに切り落とすことで、独特な見開きの効果を出していた。
今回、HDリマスターとは言え、一種の廉価版のようなものであるし、説明書が普通のものに変えられてしまうのでは、という危惧があったのだ。
しかし、説明書は以前のものが忠実に再現されていた。これなら、新規のユーザーも納得であろう。
パッケージ裏にBluePoint gamesの名を発見。移植を担当したのはこの会社らしい。同社は「GOD of WAR」のリマスターも手がけており、良くできていたので今回も期待できる。
いや〜、手抜きのない商品というのは本当にありがたい。