2011年12月31日

2011年のブログ

 今年は、昨年までと比べると極端なアクセス増となる記事が少なく、特に後半はのんびりマイペースに運営した感じがあります。面白いものを賞賛しても来客が増えない、というのはネットのいかんところですね! 毒舌を期待した皆様、残念でした。
 それでは、恒例の人気記事紹介です。

〈ゲームリパブリックが経営不振〉の情報にもやもやする(1/15)
 今年最多アクセスとなったのはこの記事。新作が発売されるタイミングなのに、Webが更新されず、社長の岡本吉起も表に出なくなった、ということで話題になりました。
 その後、会社は活動を停止し、スタッフは転職したり起業したりして、散っていることがわかりました。ここに就職した学生が何人かおり、心配していたのですが、先日転職できたとの連絡があり、ようやく安心しました。

●アドベンチャーゲームの歴史を振り返る
 その4(2/12) その5(2/14) その6(2/17) その7(2/19)
 昨年度の人気記事が未完だったので、けりをつけました。「かまいたちの夜」なんかは、つい先日、vitaで出ましたよね。なんと、「MYST」の3DS版も出るのだとか。アドベンチャーゲームはしぶとく生き続けます。

●俺の妹がこんなに可愛いわけがない 「NieR Replicant」
 その1(4/2) その2(4/3) その3(4/11) その4(4/21) その5(5/1)
 当ブログでゲームをとりあげる場合、気になった部分をちょこっと書いて終わり、ということが多いのですが、最終エンディングまでやり通す異例の記事となりました。それくらいインパクトがあったということです。ヨコオさんのブログでの紹介もあり、多数の方に読んでいただきました。

E3 2011の私的感想(6/12)
 vitaは先頃ついに発売になりましたが、WiiUの方は全然続報がありませんね…。

「ロックマンDASH3」開発中止、どんな判断だ(7/20)
 この直後、3DSは値下げされ、年末にはマリオ・マリカー・モンハンも登場。今や3DSは絶好調です。カプコン内部でも、開発再開の機運が高まっているのではないでしょうか。

 来年もマイペースに更新していきますので、よろしくお願いします。それでは皆様、良いお年を!

posted by Dr.K at 12:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 2011の注目記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月30日

希望なき世界を描く意欲作 「預言者ピッピ」

Pipi

 ピッピは、地震予知のために作られたロボット。彼が、すべてを計算し尽くしたとき、予言したのは人類滅亡の危機だった。

 COMIC CUEが「手塚治虫特集」だったので、手に取ったら、このマンガの第一回が載っていた。99年のことである。しかし、その後、雑誌の休刊などもあり、第1巻が出たのは2007年。書き下ろしを加えて2巻が出たのが2011年。続きがいつになるのか、全く見当が付かない作品だ。
 地震予知というモチーフは、時期的に阪神大震災を元に考えたものだろう。しかし、今日を予見したかのような問題をとりあげている。

 作中の世界では、ピッピが予知してくれるので、たとえ地震が起こっても、住民は完全に避難できる。
 人々は安全なところから、固唾を呑んで地震中継を見守る。それは壮大なショーとなって、無関係な観客を楽しませる。メディアを通すと災害や事件が見せ物化する、ということを本作は執拗に描写する。
 すべてを予知できるようになったピッピは、それを信じない真田に対して、99日後の自殺を予言する。その日に備えて、真田は檻に入り、前代未聞の自殺ショーが始まる。極めて悪趣味だが、その本質は見せ物化された災害と何も変わらない。

 人類の滅亡を避ける方法として、ピッピが提案するのは、人類が肉体を捨てて魂をデータ化すること。何やら〈人類補完計画〉のようだが、無邪気にヒーローショーを繰り広げているエヴァとは異なり、「火の鳥」を思い出させる思考実験へ突入しそうな気配だ。先行きがすべて分かってしまう世界で、人はどうすれば希望を持てるのか。これは極めて今日的な、そして現実の我々にとっても重要な問題提起と言えるのではないか。
 東北出身の地下沢が、震災の年にいきなり書き下ろしで続きを書き始めたというのは、何か新たな構想を得たからだと思いたい。続きの公開を期待して待つ。

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2011年12月27日

珍品堂が勧める2011年のコミックベスト3

 今年のマンガまとめ。
・手塚関連で超高額復刻本、ますます活況。マンガも選ばれしブルジョアの趣味へ。
・開幕ダッシュを見せた作品が、露骨に長期連載モードに突入して失速。
・未完の作品なのに、一から出版し直して、肝心の続きがなかなか出ないのは困る。
 では、今年のランキング。

第3位 宮崎克/吉元浩二「ブラック・ジャック創作秘話」
 まさに私のためのマンガ。確かに面白いんですけど、「このマンガがすごい!」で1位になっているのはなんか違う気がします。どう見ても一般にうける内容ではないですし、〈すごい〉のは手塚治虫でしょ?

第2位 岩明均「ヒストリエ」
 第7巻では、エウメネスがついに故郷に凱旋し、連載初期の因縁に7年越しの決着をつけます。蛇が生首を丸飲みするだけの回もあったりして、完全に単行本専用のストーリー運び。この大河感は破格です。

Pip 第1位 地下沢中也「預言者ピッピ」
 掲載誌が廃刊となり、誰もがあきらめていた中、書き下ろしで出版。なぜ今さら再開したのか、と訝しみつつ読んでみると、震災のこの年の空気を見事に預言していたことに気が付きます。問題作なので、詳しくは後日レビューしたいと思います!

posted by Dr.K at 11:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月26日

【訃報】剣乃ゆきひろ(菅野ひろゆき)

 「EVE burst error 」や「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」を手がけたシナリオライターで、(株)アーベルの社長をつとめる菅野ひろゆきが亡くなった。

 ちょっとまて、まだ40代くらいだろ。早すぎる。

 剣乃ゆきひろと言えば、美少女ゲームのジャンルにおいて、シナリオで名前を売った先駆けとなるクリエイターだ。
 「STEINS;GATE」のような、ギャルゲーのフォーマットでSF的展開をするゲームが受け入れられたのは、剣乃らの地ならしがあってこそのこと。その功績は非常に大きい。
 今後も野心的な新作が出てくると思っていただけに、急死による喪失感に戸惑うばかりだ。

posted by Dr.K at 11:11| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月22日

珍品堂が勧める2011年のTVドラマベスト3

 ランクには漏れましたが、宮藤官九郎の「11人もいる!!」は、特筆すべき最終回でした。毎週毎週、一言ずつ歌っていたものを全部まとめると、被災者への応援歌になっている。♪金がなくても家がなくても死んでいても家族なんです〜

第3位 スクール!!
 江口洋介が型破りな校長になり、小学校を変えていく痛快なストーリー。ライバル役の西島秀俊の好演も光っていました。金八先生がファイナルを迎えたこの年に、新しいヒーローの誕生です。

第2位 ドン★キホーテ
 児童福祉士とヤクザの親分の心が入れ替わってしまうというこのドラマ、ヤクザが改心することなく、己の思うままにふるまう。するとなぜか子供が助かるというシナリオが絶妙です。

Jin2第1位 JIN −仁− 完結編
 前作は江戸と吉原だけだったのに、今回は全国各地で話が展開し、大河ドラマ級のスケール感。いや、今年は大河がショボかったのでもはや大河越えか。原作と異なるオリジナルの結末も感動的でした。毎週息をつかせぬ展開で、大いに楽しみました。毎週のように放送時間の長さが違うのにも驚きましたが(笑)

posted by Dr.K at 11:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 馬鹿は黙ってろ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月21日

珍品堂が勧める2011年のゲームベスト3

 今年の傾向として、名作のリメイク、リマスターが多数出たことが挙げられます。個人的には、名作を再び遊べるのは嬉しいこと。「時のオカリナ」も「ワンダと巨像」も大満足です。しかし、以前のファンにもう一度ゲームを買ってもらおう、ということが主眼の商売には寂しさも感じます。こんなご時世だからこそ、新作をしっかり応援していきたいですね!

第3位 スーパースクリブルノーツ
 プレイしたとき、何をしたらどんなことが起こるのか。これを整えることがゲームの基本であるわけですが、本作はその点で底知れぬ恐ろしさを持っています。数万の言葉、数万のアイテムによって引き起こされる数多の事象を、作り手は把握しているのでしょうか??

第2位 ゼルダの伝説 スカイウォードソード
 まだプレイ途中ですが、今後、ストーリーが少々残念なことになったとしても、ランクをこれ以下にする必要はないと判断しました。Wiiのゲームで最高傑作です。独自の操作性と謎解きが見事にシンクロし、他のゲームがほとんど届かないであろう高みに達しています。

第1位 アンチャーテッド 砂漠に眠るアトランティス
 「え、この場面操作するの?」 何度も訪れる驚きの演出に目が点になり、ハリソン・フォードでなくても「スゲェ」と言わざるをえません。プレイ時間が短いとか、リピート性がないとか文句を言っている奴もいますが、これはもはや映画的なゲームではなく、プレイする映画という領域なので、これでいいんです。
Uncha3_2

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2011年12月18日

「ゼルダの伝説 スカイウォードソード」その3

 おわび:私は、ついにヒント機能に頼ってしまいました。

Zeldasky03

 謎解きに詰まったとき、ヒント映像を見せてくれるシーカーストーン。「時のオカリナ3D」から登場しているのですが、以前は怪しい光を放つだけだったのに、「スカイウォードソード」では、ペラペラと話しかけてきやがります。(画像は「途中で止めてもイイじゃない」から借りました。すみません) 石のくせにまことに馴れ馴れしく腹立たしいのですが、自力で謎が解けない私の不徳の致すところであり、やむを得ません。

 それにしても、やればやるほどスゴいゲームですね、これ。
 ストーリーが進むと、一度攻略したマップを再び訪れることになるのですが、これが単なるくり返しじゃない。同じマップ上で、新たなゲーム性、新たな謎解きが提示され、展開してゆくのです。こんな、二重三重に使えるように設計されたマップ、よくぞ作ったものです。

 現在の進行状況は、仏像っぽいステージをクリアしたところです。地下から登る場面が、まんま芥川龍之介の「蜘蛛の糸」で、気分はすっかりカンダタ。これ、外国のプレイヤーはどう思って見てるんでしょうか。

posted by Dr.K at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月17日

王者のコラボ実現 −ポケモン+ノブナガの野望−

カプコン「ストリートファイターと鉄拳が戦うぜ。すごいだろ」

セガ「龍が如くの世界にゾンビがなだれこんだぜ。みんな驚け」

任天堂「ならばこちらは、ポケモンが信長の野望と合体だ

カプコン・セガ「かなわねえ」


公式サイト:ポケモン+ノブナガの野望

マジでびっくり。しかも面白そう。コーエー式シミュレーションだったら間違いなく買う。

posted by Dr.K at 16:35| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月11日

ステキな金縛り

 開場を待っている間、映画館のロビーで主題歌が流されていた。ムーディーな曲だなと思って聞いていたら、一部歌詞がおかしい。「艱難辛苦を乗り越えて〜」とか聞こえる。

かんなんしんく:人生でぶつかる困難や苦労。

デュエットの片方が落ち武者だからこうなるわけね(笑)
 奇しくも、予告では「逆転裁判」が流れた。幽霊法廷対決にご期待下さい、ということか。

 内容は見事の一言。
 まずもって配役が素晴らしい。弁護士のエミ(深津絵里)は、いつも通り面白くて魅力的。そして、落ち武者の六兵衛(西田敏行)が、年齢を感じさせない現代的なテンポで笑いを生んでいるのに感心。そして、出演時間に比して一番オイシイ役所なのがタクシー運転手役の生瀬勝久。あの笑いの取り方は反則である。
  本作で、ついに三谷幸喜は国民的喜劇監督の地位を確立したと言えるのではないか。皆を笑わせるってのは生半可な事じゃない。堤幸彦も、宮藤官九郎も、それぞれに笑わせる腕を持ってはいるが、その作風を受け入れられない人が多数いることもまた確か。ところが、「ステキな金縛り」は老若男女問わず笑えて、しかも誰も傷つかない。
 本編2時間20分という長丁場。しかし、結末が近づくにつれて、終わってしまうのが惜しいという気持ちがわいてくる。三谷には、同じ法廷もので「合い言葉は勇気」という傑作があるが、こちらは連続ドラマ。「金縛り」も、キャラがことごとく立っているので、もう少し掘り下げて連続ドラマで見てみたかった、という気がする。

 なお、未来永劫心霊写真が怖くなくなるエンドロールは一見の価値有りなので、テレビ放送などでカットされないことを切に希望する。

キャスト豪華度 10
生瀬最高度   10
外伝ドラマ蛇足度 9
個人的総合   8

他の方の「金縛り」評:忍之閻魔帳

posted by Dr.K at 17:03| Comment(4) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月04日

火の鳥〈オリジナル版〉復刻大全集「復活編・羽衣編」を思い切って購入

Phoenix

 手塚治虫生誕80周年も済んだこの年に、どえらいもんが出てくれた。
 「火の鳥〈オリジナル版〉復刻大全集」がそれである。「火の鳥」を雑誌連載時そのままの内容で復刻したもの、と説明すれば簡単だが、何しろ何度も掲載誌を変えて1954〜88まで連載されたという代物。全12巻で98700円と、値段も桁違いのファンアイテムである。

 で、とりあえず「復活編・羽衣編」のみを購入。これだけでも8400円で、普通の人には手が出せない。
 「羽衣編」は、「火の鳥」の中では異例の短編だが、単行本収録にあたってセリフが大幅に変わっており、元のストーリーが見られるこの復刻版は貴重。
 さらに、併録されている「望郷編」は、現在出版されているものとは全くストーリーが異なり、「羽衣編」から続く内容。しかも、雑誌廃刊のためわずか2回で中断した、幻の作品だ。これまで、手塚関連の本で一部が紹介されることはあったが、通して読むのは初めて。面白い。しかも、絵は現在の「望郷編」で使い回されている箇所があり、興味深い。

 これらの掲載誌の「COM」を探して、古本屋を奔走し、結局全部はそろわなかったという経験をしたのも20年くらい昔。そういう者にとって、この値段は決して高くない。

posted by Dr.K at 16:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする