「レベルアップ」のゲームデザイン。オライリー社から出ているこの本を現在読んでいる最中である。絵が上手くなるための本と誤解する人がありそうだが、海外ではゲームデザインとは企画のことなので注意。
著者のスコット・ロジャースは、「ゴッド・オブ・ウォー」等を手がけたクリエイター。ゲームの企画者には、過去のゲームをあまりプレイしないタイプの人もいるが、この著者はそうではない。本書を読むと、引かれるゲーム名が非常に多く、日本のゲームも多数出てくることに驚く。しかも、とりあえず例を挙げておきました、みたいな浅いものではなく、仕様の細部の工夫を指摘していくのだから、全部実際にプレイしているのだろう。桜井政博みたいなのが海外にもいたのか、と驚嘆する。
本書は、理論書ではない。極めて実践的な、ゲーム企画についての実例集である。企画書を書いた後、プランナーは何をするんですか? という質問は、答えが長く多くなってこれまでは大変だった。しかし、これからは「この本を読め」の一言で済む。コピーに偽りなく、ゲーム企画のすべてが一冊で網羅されている。
洋ゲーの知識が必要ではあるものの、イラストも豊富で非常に読みやすい翻訳なので、ゲーム企画ってどんな仕事だろうという疑問をもった高校生から、ステージ作成のネタ出しに苦心しているクリエイターまで、幅広くお勧めできる好著である。