「P.T.」は、PS4で無料配信中のゲーム。謎の新作ホラー、という触れ込みで配信され話題になったが、タイトルは「プレイアブル・ティザー」の意味であり、つまり宣伝を目的としたもの。将来本編が作られるわけではなく、これのみで独立した作品である。
プレイしてみたが、評判通りの怖さ。行き詰ってしまったので攻略サイトを見たところ、やるべきことができておらず、やってはいけないことはことごとくやっている(笑) セーブデータを消してやり直せば良いのだが、正直怖いのでもう一度見たくない。よって、クリアできる見込みは大変少ない。物語やホラーとしての感想は、よそに任せることにしよう。
私が感心したのは、作り方のうまさ。
画像を見ての通り、背景は緻密で雰囲気たっぷり。何しろPS4、ここで手を抜くとホラーにならない。しかし、無料タイトルにこのクオリティでは、大赤字である。
「P.T.」のうまいところは、質を落とさずに舞台を極端に狭くしたことだ。歩いて1分とかからないL字型の廊下のみを延々とループし、その間に少しずつ状況が変化。なるほどその手があったか。
そして、この限られた場所をフル活用して恐怖を演出する。怖いものが出てくることももちろんあるが、音や照明が特に効果的で、たったこれだけの空間でこんなに色々仕込めるのか、と舌を巻く。
キャラが多く、舞台が広く、プレイ時間が長い。そんな、フルプライスのゲームみたいなものを作ろうとして頓挫してしまうのが、学生などによくあるミスだ。「P.T.」は物量に頼らないゲーム作りの見本とも言える作品なので、これからゲームを作ろうという学生さんなどに、ぜひ参考にしてほしい。