「フック」は、92年公開の映画で、監督はスティーヴン・スピルバーグ。アーケードゲームはやったことがあるが、肝心の物語を知らなかったので、学生がDVDを貸してくれたのをこれ幸いと視聴。
ピーター・パンの後日談になっているストーリーで、すっかり大人になったピーターをロビン・ウィリアムズ、フック船長をダスティン・ホフマンがそれぞれ演じており超豪華。
ストーリーもなかなか巧みで、子供たちはピーターの息子やネバーランドの子供の立場で楽しむことができるが、メインは中年ピーターを軸にした大人の物語であり、結末の生意気な一言も含め、なんともビターな味わいがある。
見どころとなるのは何といってもネバーランドのセットで、海賊船はパイレーツ・オブ・カリビアンに負けない豪華さ、港町のこちゃこちゃと入り組んだ雰囲気、コースターのギミックが立体的な子供たちの隠れ家など、作りこみがすごい。種類・大きさ・質のいずれをとっても、当時の映画として最高レベル。それでも、セットの大きさには限界があるため、カメラが限られた範囲しか撮ることができず、世界が狭く感じる。遠景ではそれなりに広そうなネバーランドなのだが、その規模感までは表現しきれていない。
映画がセットに大金を投じる時代は、この頃まで。翌年には「ジュラシック・パーク」が公開され、作るのが面倒なものはどんどんCGになっていってしまう。3Dのゲームが普及する直前に、2Dのゲームが最高潮に達したのと同じような、一瞬の輝きがこの映画にはある。
ピーターは飛び方を思い出す。合成感丸出しの画面に時代を感じるが、それ以上に、無邪気にオッサンが飛ぶシュールさが何とも言えない。ピーター・パンと言えば、CGを駆使しているであろう新作「PAN」が控えているが、こういう懐かしさ、おかしさは、がんばっても再現できまい。
アクション性 4
成熟度 9
原作踏襲度 8
個人的総合 7