このゲームが盛り上がらない理由の一端は、我々プレイヤーの側にある。まずは、発売直前に公開されたムービーを見てほしい。
『The Tomorrow Children(トゥモロー チルドレン)』 ローンチトレーラー
人類復興を目標に、街をつくっていくのがこのゲーム。その過程で、個性的な街が生み出されることが企図されている。ムービーからはそれが伝わってくる。
だが、実際にいくつもの街を見てきたが、そのような個性的な街はほとんどない。不特定のプレイヤーが協力した結果、街の構造は効率や利便性を重視したものになりがちだ。タウンホールや発電所は、燃料を必要とするので資材置き場の近くにしよう。食料集めの効率がいいように、樹はまとまった場所に植えよう、という具合である。結果、どこの街もあまり変わり映えがしない、という共産圏らしい状況となる。
これが、個人で街を作るゲームであれば、効率を無視して好みの形を作る人も多いだろう。あるいは、外国のプレイヤーであれば、その場のノリで変な街を作ったりするかもしれない。日本のプレイヤーは目標に忠実で、空気を読んで人に合わせ過ぎる。「トゥモロー チルドレン」を開発したQgamesは、社長以下多くの外国人スタッフを擁する多国籍企業なので、このへんは計算違いだったかもしれない。
このゲームでは、荒らしが許容されている。不要なものを作りまくったり、必要な施設を撤去したり、嫌がらせが可能だ。しかし、他のプレイヤーの反応が直接見られるゲームではないため、荒らし甲斐もないようで、最近はあまり見かけない。
上は、ある街で見かけた施設。防護壁と門を組み合わせて、勝手に個人ガレージを作っている。中にはご丁寧にもホバータンクと予備燃料が置いてあった。この国では個人の財は認められていないので、勝手に乗って去ってしまってもよいのだが、これだけ堂々と構えられているとかえって遠慮してしまう(笑) こういう創意あるプレイヤーが増えてくると面白くなるんだろうなあ。