絶賛している人も多い「ローグ・ワン」、個人的にはもう一歩だった。作中の反乱軍と同じで、スター・ウォーズファンも一様ではない。
まず良いところ。外伝やスピンオフといった作品にありがちなショボさがない。宇宙に地上に、大規模戦闘シーンで盛り上がれる。
ストーリーの狙い所がいい。EP4で、なぜデス・スターに弱点があり、設計図が反乱軍の手に渡っていたのかが明かされる。EP1〜EP3が、ダース・ベイダーがいかにして誕生したかという物語であったことを思うと、スター・ウォーズは結局のところ最初の作品であるEP4に回帰する運命にあるのかもしれない。
また、EP4のキャラの扱いがいい。ダース・ベイダーは活躍するものの、その登場はわずか。レイア姫もちょっとだけ出る。キャラを出しまくればそれだけで売れるはずだが、「ローグ・ワン」はあくまで独立した映画。品性を損なわない範囲で人気キャラを出すバランス感覚がなかなか見事だ。
一方で気に入らないところ。
これはもう何の客観性もない個人の好みだが、スター・ウォーズにアジア人はいらない。私にとってのスター・ウォーズはハヤカワの翻訳小説と並ぶようなSFの古典なのであり、登場人物は西洋人と宇宙人だけでいいのである。「ローグ・ワン」では、座頭市のごとき盲目の戦士が活躍するが、彼一人だけが東洋武術の所作で浮いている。時代劇をモチーフにしてみたが、剣道とかよくわからないので、ライトセイバーを派手に振り回してみました、というアバウトさがスター・ウォーズのリアリティレベルなので、マッチしないのである。
上記とも関係するのだが、「ローグ・ワン」ではリアリティが重視されていて、子供の妄想のような意匠の面白さがない。私がスター・ウォーズに期待するのは奇想天外なメカや宇宙人、そして風景だ。例えばEP7では、
謎のパンだけでも面白かった。一方、「ローグ・ワン」は物語に関係のない描き込みが少なく、そういう遊び心が乏しかったように思う。デザイン的にも、EP4の直前という設定なので新規のものは出しにくく、既視感のあるものでまとめざるをえない窮屈さがあった。
全スター・ウォーズの中でもトップクラスのきっちりしたストーリーを持つが、最も夢のない作品になってしまったように思う。
恒例のオープニング なし!
ファンサービス 8
予備知識必要度 6
個人的総合 6
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