2017年02月28日

GCC'17で興味深いセッション多数

 ゲーム開発の技術発表会としては、毎年東京で開かれているCEDECが有名だ。ありがたいことに、最近は、大阪でもGCCという勉強会が開かれている。その中から気になったセッションをいくつか挙げる。

 3Dのホラーゲームという新ジャンルを確立した「1」。日本発の新しいTPSとして好評を博した「4」。「バイオハザード」は、安定の人気作というよりは、実験作としての姿がよく似合う。「7」はVRにも対応した新規性の高い内容で、久しぶりに評判も良い。残念ながら怖すぎるため、私は今のところプレイする予定がない。

 任天堂とカプコンの連携。過去には、任天堂が「ゼルダの伝説」シリーズの開発をカプコンに依頼したことがあった。また、カプコンがゲームキューブに独占タイトルを連発したこともあった。
 今回の講演では、「スト2」以外に具体的なタイトルは出ていない。しかし個人的には「モンハン」の新作に期待してしまう。大画面でモンスターを狩るゲームとして始まったPS2版、そして、ゲーム機を持ち寄る楽しさで大ヒットしたPSP以降。Switchであれば、この両方の楽しさを一本で達成できるじゃないか。

 カプコンと袂を分ったプラチナゲームズだが、「ニーア オートマタ」など順調に実績を上げている。この記事を見ると、奇をてらった所はなく、昔のカプコンで培われたアクションゲームの基本が継承されていることがわかって安心する。

 デベロッパーだと、売ることについてはクライアントに一任しているのかと思いきや、さすがインテリジェントシステムズ。オリジナルなものを作るためには企画の根本がしっかりしていないと、と再確認。

 こうして、講演の要点がWeb上にまとめられているのもとてもありがたい。勉強のネタに事欠かず、いい時代になったもんである。
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2017年02月26日

憎いほどの貫禄 「Gravity Daze 2」その4

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 ドルガ・アンジェとようやくご対面。PS+加入者特典のテーマ(PS4用の壁紙みたいなもん)にもその姿があったので、ずっと気になっていたのだが、こんなに待たされるとは思わなかった!

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posted by Dr.K at 11:22| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月21日

ドント・ブリーズ

 主人公は、空き巣に手を染めている若者3人。次の標的となる屋敷は、盲目の老人が一人で住んでいる。盗みは楽勝かと思われたが、この老人が元軍人で事態は一変。彼らは生きて逃げられるのか。

 このような、アイデアが目を引くホラー映画は要注意だ。勢いで撮って完成度が低いものがけっこうあるからだ。だが、「ドント・ブリーズ」は心配ご無用。よく出来ていて感心しきりだ。文句があるとすれば、よく出来過ぎていて、映画の枠をはみ出すような恐怖がないということくらいだ。
 観客の反応が、この映画の質を雄弁に物語る。休日の映画館は、カップルも多く、親子連れさえいて盛況だった。では上映中、館内は悲鳴に包まれたか。そんなことは全くなかった。この映画、化物も出なければ、グロい死に様も控えめで、絶叫ポイントには乏しいのである。逆に館内は、水をうったような静寂ぶりであった。主人公たちが息をひそめて老人から隠れるとき、観客もまた息を殺して注視する。そんな緊張感が館内を支配し、独特の一体感を生んでいたのである。家で一人で観たのではこうはならない。貴重な経験をさせてもらった。
 これは映画が観客の心理を見事に操っている証左で、カメラワーク、小道具、タイミングのいずれもが的確に決まっていればこその結果と言える。屋敷という限られた舞台を生かした作りは、ゲームのステージ作りにも大いに参考になりそうな気がする。

 個人的には、これで終わり、今度こそ終わり、と思わせつつなかなか終わらないので、終盤だれてしまったのが残念。まあこれはホラーのお約束みたいなものだが。なお、日本人からすると、主人公は共感できない犯罪者たちだが、デトロイトの低所得層という設定は超リアルで、アメリカ人が見るとだいぶ違うのかもしれないな。

ヒロインのしぶとさ 8
老人のしぶとさ 10
エンターテインメント性 7
個人的総合 6
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2017年02月20日

憎いほどの貫禄 「Gravity Daze 2」その3

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 サブストーリーで、色々なコスチュームを見せてくれるキトゥンちゃん。アクションゲーマーを自認する諸氏には、またそんな余計な萌え要素を…と文句を言いたくなる気持ちは分かるが、ちょっと待ちたまえ。

 「グラビティデイズ2」には、フォトモードがある。オープンワールドのゲームに写真撮影のミッションが付いていることは、最近では珍しくない。だが、「グラビティデイズ2」のフォトモードは一味違う。
 まず、空中を自由に浮揚できるゲームなので、写真の自由度が桁違いである。隠し撮りのミッションなどもあり、ゲーム自体がかなりフォトモードを推していることがわかる。特筆すべきは、宝探し。他のプレイヤーが撮った写真をヒントに、宝の隠し場所を探すというちょっとしたオンライン要素だが、これが意外と楽しい。よく考えてヒント写真を作るのも面白い。
 そして自撮り。フォトモードにはズームの他、各種フィルタなどがあり、凝った写真が撮れる。街の人や風景を撮るぶんには、それで充分だが、なんと、三脚モードを使えば自分も映すことができるのだ。豊富なコスチュームは明らかにこのために用意されており、他にも演出用小道具が多数ある。オンラインゲームでもないのにジェスチャーまで使えるのもこのためだ。これらを組み合わせると、多様な記念写真を撮ることができ、さらに他のプレイヤーから評価までもらえるおまけつき。いかにキトゥンちゃんの魅力を引き出すか、という競争へプレイヤーは巻き込まれるのだ。

 世に出回っているアイドルゲームにケンカを売らんばかりの堂々たる完成度だ。
posted by Dr.K at 21:14| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月18日

セトウツミ

 これを映画館でやろうという胆力がそもそもすごいわ。

 原作は、瀬戸と内海という二人の高校生がただダベっているだけのマンガ。これを何らスケールアップすることなく、そのまんま実写化した。映像的な見どころなんてはなっから存在しない。
 だがこれが面白い。映画だからといって長編向けのオリジナルストーリーなどを作らず、連作の短編としたことで、テンポよく内容が積み重ねられていく。連続ドラマを一気に見せられるような感じだが、キャラクターを十分浸透させることができていた。
 瀬戸と内海は、将来お笑いにでも進むんじゃないか、という軽快な掛け合いを見せる。これにプロのお笑い芸人などをキャスティングせず、菅田将暉と池松壮亮にやらせたのがまた良い。どちらも映画やドラマに出まくっている俳優だが、セトウツミではさえない素人の雰囲気を醸していて素晴らしい。
 この二人、「デスノート」の新作映画でも共演しているが、そちらではほとんど良い評判を聞かない。やはり役者も使い方次第ということか。

映像美 2
興奮度 3
センス 8
個人的総合 6
posted by Dr.K at 14:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月12日

一話だけ我慢してくれ! 「ネットハイ」

 「ネットハイ」は、非リア、ネットオタクでフリーターの主人公がリア充を爆破していく怪作。
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 ゲーム的には、「逆転裁判」「ダンガンロンパ」あたりを想像してもらえばほぼ間違いない。近年のネットスラングがぎゅう詰めである他、ツイイッターを駆使しての情報収集や、ニヨニヨ動画でコメントを味方につけるなど、今どき感満載。あまりに濃すぎるので、拒否反応が出る人も多そう。
 前例のない題材は、導入に工夫を必要とするが、このゲーム説明がとんでもなく下手。俺氏とナビ子のくだらないやり取りが本作のテンポを決めているのだが、それだけでもけっこう長いのに、間に挟まれるチュートリアルの猫がすげー冗長。回数が多いし長いしもううんざり。早く本題を進めさせろや、このクソゲーが! と序盤の印象は散々だった。
 しかしながら、2話以降はストーリーも面白く、リア充かと思われた敵の偽装を暴いていくのも痛快。猫の雑談も普通に雑談になって邪魔さが薄れ、テンポも大幅によくなる。このスピード感をはじめから出せなかったのは勿体ない。皆さんも、1話だけ我慢してもらってこの面白さを味わってほしい。

posted by Dr.K at 16:03| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月11日

三部けい「僕だけがいない街」9巻

bdim9.jpg え、8巻で完結したんじゃなかったの?

 と一瞬びっくりする人もいたのでは。9巻は、完結後に雑誌掲載された外伝「僕だけがいない街Re」をまとめたもの。
 つまらないわけじゃないけれど、こういうのあんまり良くないと思うのよ。
 このマンガ、本編にものすごく余白がある。主人公が長い昏睡を経て起きるので、その間他のキャラがどう過ごしてきたかわからない。でも、そういう隙間をあれやこれや想像するのも読者の楽しみのうちだし、主人公と犯人とに焦点を絞るのも大事だと思うんだ。
 ところがこの外伝では、作者が自ら隙間を埋めてしまっている。他人が描いた同人なら、その人なりの解釈ということで済ませられるけど、作者が描いたらそれは唯一の公式なわけよ。なんか、作品が閉じちゃった感じがして残念。ただ、これも今どきの読者の要請なのかな、とも思う。何かというと説明不足、と文句を言う奴多いもんね。

 売り方もよくない。こんなの昔だったら、外伝とか別巻とかで出るもんでしょ。ナンバリングに入れて少しでも余分に売ろう、という出版社の必死さが嫌。アニメにも映画にもなって大ヒットしたのでファンサービスです、くらいの余裕を見せてほしいもんだよね。三部けい、もう泡沫作家じゃないんだから。
posted by Dr.K at 11:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月07日

憎いほどの貫禄 「Gravity Daze 2」その2

 「グラビティデイズ2」をプレイした皆さんは気づいただろうか。キトゥンちゃんのかわいさの質が変化していることに。

 キトゥンのキャラクターは独特である。まず外見は、アメコミに登場する悪役のよう。そして、コミックスタイルのデモは、メビウスのバンドデシネを彷彿とさせる。海外でうけることを意識したクールかつスタイリッシュなデザインと言える。ところが、彼女の性格付けは、日本の庶民キャラそのもので、ここにギャップが生まれている。
 前作でのキトゥンの行動は天然そのもので、ユーザーの間でそのかわいさが評判になったことは、開発側にとっても想定外だったのではなかろうか。

 それが「2」ではどうなったか。
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 相変わらずクッソかわいいのだが、明らかに開発側が自覚的であり、かわいさをアピールする作りになっている。前作の天然から、小悪魔的な位置へ昇格しており、手に負えない。
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 ヴォゴのオッサンも、こんな奴が敵ではさぞやりにくかろう。心から同情申し上げる。
posted by Dr.K at 21:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月04日

アサイ「木根さんの1人でキネマ」3巻

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 あ〜、これまずいなあ。長期連載の罠にはまっていってるかもなあ。

●マニア向けの罠
 木根さんがエヴァンゲリオンを初めて見るという話があるのだが、この面白さ、TV版を全部見ている人にしか伝わらない。マニアに刺さるように深く掘り下げると、やっぱりこうなっちゃうのかな。木根さんの素晴らしさは、題材となっている映画を知らなくてもマンガそのものが面白い、というところにあると思うんだけど。
 その意味では、この巻のホラー回は秀逸。

●キャラ追加の罠
 長期化にともない、木根さんと佐藤さんだけでは話がもたなくなってる。そこで、過去のゲストキャラクターが再登場し、準レギュラーに昇格しつつある。会社の同僚やら上司やら同窓生やらだ。スター・ウォーズのオッサンたちにはこれからも毎年一回出てほしいが(笑)、個人的に要注意と思っているのが、映画好きが発覚した工藤ちゃんと、アニメ大好き主婦。この個性は、木根と佐藤を食ってしまう恐れがある

 このままずるずると、キャラの多い薄いマンガになってしまうくらいなら、早く幕を引いた方がいいのでは、と思ったりするのだが、今後の展開やいかに。
posted by Dr.K at 20:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月02日

憎いほどの貫禄 「Gravity Daze 2」その1

 「グラビティデイズ2」をプレイ開始した。始まったばかりだが、名作の貫禄をそこかしこに感じる。

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 例えばこのオープニング。ほとんどのユーザーが、空間を自在に飛び回れるアクションに期待しているゲームなのに、この場面では不格好なスーツに身を包んだキャラでもたもた歩くことしかできない。この不自由さがあればこそ、後で飛び回れるようになったときの爽快さが強調される。楽しい場面までをじっくり盛り上げていく、腰の据わった演出と言える。
 それにしても、体験版のときのステージがなかなか出てこないのに驚く。かなり序盤のステージのように感じたのだが、それがなかなか出ないということは、全体のボリュームは相当なものだと予想される。前作のような、新規ゲームのお披露目といった感じはなくなり、自信たっぷりに続編をお届けします、という貫禄に満ち満ちている。それではこちらも、本気でじっくり向き合わなければなるまいて。
posted by Dr.K at 21:32| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする