卒業生グループに誘われて観に行ったが、あきれたことにシリーズの知識があるメンバーがほとんどいない。あまりに無謀な挑戦だ。とはいえ、卒業生はそれぞれゲーム会社で活躍している中堅なので、今どきの若いもんをリサーチしようという意図があったのやも知れぬ。そんなわけで、以下は小説もアニメも全く知らずに観た感想。
●VR→AR
とりあえず内容はわかったのでほっとする。
小説「ソードアート・オンライン」は、FF11をはじめとするMMORPGの発展を背景に書かれた。未来のMMORPGではVRが活用され…という設定だ。
映画「オーディナル・スケール」では、別のゲームが舞台となる。今度はポケモンGOにインスパイアされたのか、ARを活用したゲームとなっている。
舞台が移ったので、これまでの話を知らなくてもついていける反面、VRやARといった技術については既知のものとして扱われており、素人お断りの映画となっている。決して作画の悪いアニメではないのだが、アニメの絵柄で、実景とARとVRの世界を描き分けるのはかなり無理がある。
●変化しないキャラクター
小説やアニメでキャラクター性や人間関係が確立しているため、それを動かさない方向でストーリーが作られている。
すでに英雄であるキリトが成長したり、アスナとの関係が危機に陥ったりという展開はない。
●記憶の危機
過去の「ソードアート・オンライン」では、クリアしなければプレイヤーが実際に死ぬという危機があった。
「オーディナル・スケール」にはそのような設定がない代わりに、アスナが「ソードアート・オンライン」の記憶を失っていくという危機が示される。ゲームではあるが、キリトとアスナが出会い、育んできた大切な時間。キリトはそれを守るために奔走し、戦う。
守るべきものが命から記憶へと変わった。これが共感を得るかどうかがこの映画のカギとなる。例えば、一つのオンラインゲームを何年もプレイしているような人なら、その感覚が実感できるだろう。しかし、実際には、無料のゲームを次々に遊び散らし、大して思い入れもないという人も多い。キリトの心情に近づける観客は意外と少ないのではないか。
●アイドル
作中では、初音ミクのごときバーチャルアイドルが人気を博し、戦闘シーンをライブで盛り上げる。流行の要素をどん欲にとり入れた作りには恐れ入る。
時代性 10
アクション性 7
ドラマ性 3
個人的総合 5