「ABZÛ」にはゲーム性がほとんどない。戦闘もなければ、大した謎解きもない。操作に特別なテクニックも要さない。だがそれは中身がないのとは違う。代わりにあるのは、ぎっしり詰め込まれたダイバーの夢だ。
例えば、魚と一緒に泳いでみたい。よろしい、叶えましょう。
海流の中、魚群とともに流されるのは爽快感抜群だ。小魚の群れを渦の中心から見ることも体験できる。
最初に、このゲームわかってるな、と思ったのは冒頭のチュートリアル。操作説明で、「L2:つかまる」が出た瞬間だ。ある程度大型の魚には、つかまることができる。魚は回遊しているだけなので、ゲームを進める上では何の役にも立たない。しかし、ダイバーならつかまってみたいあんな魚、こんな魚、全部つかまることができるので感激だ。
いっそのこと魚になりたい? それもまたよろしかろう。
ステージには所々にサメの石像があり、そこに着座すると瞑想に入る。瞑想中は、カメラが特定の魚を追従するものに切り替わり、その魚の名前も表示される。次々に切り替えていくと、さながら動く魚図鑑のようだ。ゲーム性にこだわるならば、この瞑想を使って謎を解いたり何か発見させたりできそうなものだが、このゲームはそうしない。瞑想はあくまで休憩であり観察なのだ。
そして、ダイバー最大の夢と言えば、冒険や発見であるわけだが、それについてはネタバレになるためまた次回に。