大阪では、阪急うめだ本店にて4月2日まで開催。
1、図録が素晴らしい
展覧会にはつきものの図録。見ての通り、版型が特殊である。中を開くとわかるが、映画の画面の比率に合わせてあるのだ。紙面いっぱいに広がる絵は見ごたえたっぷり。
新海誠のこれまでの作品が網羅されており、記事も充実しているので、ファンには必携の一冊となろう。
2、注目すべき展示物
ロケ写真と作中の背景とを比較した展示がある。写真からのトレースなんて、と低く見られることもある新海の背景だが、そんな安易なものではない。「秒速5センチメートル」で特に感じたのだが、ロケ写真は本当に平凡な風景。それがあのような美しい景色になるのは驚異的だ。
「秒速」と言えば、手紙の展示にも注目。「桜花抄」でやりとりされる手紙の実物が置いてある。展示会のために作られたのではなく、作画の素材として使われたものだ。実写映画でもないのに実物があるというのは、なんとも不思議。ストーリーのカギを握る小道具でもあり、感慨深いものがあった。
3、スペシャルムービーは必見
最後のコーナーは暗幕で覆われている。ムービーが上映されているミニシアターだ。
内容は、新海誠全作品を編集したPVで、映像だけでなくセリフまでもが見事にシンクロした素晴らしいもの。新海誠が、限られたテーマにこだわってアニメを作り続けてきた足跡が一瞬にまとまる。
どこかに収録される機会はないだろうか。もう一度見たい。