2018年04月30日

諌山創「進撃の巨人」25巻

singeki25.jpg 調査兵団の諸君、お帰りなさい。

 決戦の舞台はまさかの壁外。満を持しての巨人の登場で大盛り上がりだ。
 数年の間に、ミカサもサシャもすっかり大人びており、連載が中断していた作品でもあるまいに、大きなブランクを感じさせる。公開を延期した挙句、キャラデザを一新して話題になった「ヱヴァQ」を思い出す。

 壁外にも大義があり、守るべき一般の人々がいる。その事情を知った上で、エレンは自ら手を汚した。少年マンガではあまり見ない主人公の決断は、どのような結果をもたらすのか。今後の展開に目が離せない。
posted by Dr.K at 17:54| Comment(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月29日

リメンバー・ミー

 事前の期待値はそれほどでもなかったが、やっぱり面白い、作り方がうますぎる。
 いつもながら導入がうまい。今回の舞台はメキシコのお祭り「死者の日」。その飾りである切り紙を使って、さらっと背景説明を済ませてしまう。
 そして題材の扱いがうまい。お祭りをきっかけに、主人公のミゲルが迷い込むのは死後の世界。暗くなったり恐くなったりしそうな題材だが、死者の国では生者より派手に祭りを祝っており、陰気さなどどこにもない。また、死者はすべてガイコツ姿だが、嫌悪感が出ないように巧みにデザインされていて見事だ。
 歌の使い方がうまい。邦題にもなっている「リメンバー・ミー」が、作中では何度か演奏される。同じ歌なのに、演奏のたびに鮮やかにニュアンスが変わる。もちろんこの映画のための新曲なのだが、まるで昔からある名曲のように、多様な表現を受け入れているのがすごい。そういう意味では、日本オリジナルのエンドロール演奏もありかも知れない。
 次に、仕掛けがうまい。ぼけたひいおばあさん、破れた写真、死者の国までついてくるのら犬、すべての伏線には意外性のある答えが用意され、納得感がある。のら犬はなんだかクレイジーでかわいくないが、「モアナと伝説の海」のペットもわけわからん奴だったので、今はこういうのが流行っているのだろうか。
 最後に、まとめ方がうまい。ミゲルはミュージシャンを夢見ているが、一族はご先祖イメルダの教えを守って音楽を禁じている。ここで、猛烈に厳しいおばあちゃんに拒否反応を起こしている感想をいくつか見たが、多分若い人なのだろう。大家族が残っていた昭和の日本だって似たようなものだったのだ。閑話休題。ミゲルは夢をとるか家族をとるかの選択を迫られる。これまでに、あまたのストーリーがこの選択を題材にしてきたが、多くの場合どちらかを捨てねばならなかった。この難題に対して、本作が出した答えはうまいと感心した。
 ただ、ハッピーエンドを貫きたいのはわかるが、悪役を現世でまで貶めるのは、やり過ぎと感じた。ヘクターは別に名声を求めてはいない。家族に受け入れられるだけで十分じゃないか。

映像美 8
吹替え 8
異国情緒 9
個人的総合 9
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2018年04月26日

バーフバリ 王の凱旋

 そもそも予告編のテンションがおかしいが、全く誇大広告ではなかった。主人公が登場するだけで高揚感が漲り、民衆ばかりか象までもひれ伏す偉大さ。王を称えよ、さらに称えよ!

 前編である「伝説誕生」は上映の機会が少なく、観ていない人も多かろう。だが心配は無用。冒頭で流れるダイジェスト映像で前知識は補える。「王の凱旋」も現在公開はほぼ終わっているが、あまりの好評に、6月から3時間にわたる完全版の公開も決まったので、皆様もぜひ劇場で王を称えてほしい。
 次の王に決まったアマレンドラは、世間を知るために、身分を隠して旅に出る。水戸黄門か、遠山の金さんか、ファイブスターストーリーズか。日本人には非っ常〜になじむストーリーラインだ。この部分は、珍道中と言って差し支えなく、前作と比較してコメディ要素がパワーアップ。花咲き乱れるクンタラ王国は、砂と石に覆われたマヒシュマティ王国と異なり、風景もド派手にパワーアップ。
 もちろんふざけてばかりではなく、アイデアの限りを尽くした戦闘アクションもパワーアップ。そして、デーヴァセーナ姫との運命的な恋愛が、戦闘の中で描写されるのでテンポがゆるまない。シヴドゥが恋に落ちたアヴァンティカも戦闘の達人だったことを思うと、やっぱり血は争えないのね、と微笑ましくもある。
 戦いに勝利し、印籠が出され(笑)、姫との恋は成就。歓喜の中、デーヴァセーナを国へ連れ帰るシーンは、インド映画お得意の歌と踊りになるが、演出が超絶パワーアップしており目が点になる。ここで終わっても充分映画一本分となろう。
 だが物語はここからが本番。前作の結末、カッタッパの告白の真相が、ようやく明らかになるのだ。

注:以下にネタバレを含む!

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2018年04月22日

GOD OF SEAMLESS !! GOD OF WAR

ps4gow1.jpg 日本全国のヘナチョコゲーマーの諸君。4月20日、諸君の一部は段ボール工作がウリの新作ゲームを親子で楽しむべく、店に向かったのではなかろうか。店では、大きくカラフルなパッケージを手に取った人々がレジに並び、のどかに平和な空間を作りだしていたに違いない。
 その列の中で、子連れのヒゲハゲマッチョのパッケージを持って並ぶのが、ゲーム神たるこのオレ様の雄姿。この日をどれほど待ったことか。PS4版「GOD OF WAR」、本日発売。

 PS2では知る人ぞ知る洋ゲーだった「GOW」、今ではすっかりソニーを代表するタイトルになって隔世の感がある。ストーリーもゲームも一新され、心新たにゲームスタート。
 これまでの、ヒゲが走り、ハゲが飛び、マッチョが暴れまくる(←すべて同一人物)脳筋ぶりはなりをひそめ、親子関係を軸にしたエモーショナルなドラマが展開。ゲーム開始時、クレイトスと息子アトレウスの関係はよそよそしく、「3」以降に何があったのか、息子アトレウスとその母はどんな暮らしをしていたのか、気になる謎が山積みだ。
 戦闘も大幅に勝手が違っており、TPSに近い操作でしっかり狙わなければ攻撃が当たらない。めくらめっぽうボタンを押していれば良かった前作までと異なり、非常にテクニカルだ。「バイオハザード4」や「LAST of US」のような肩ごしのカメラで、ザコと戦うだけでも迫力満点。気分はすっかりヒゲハゲマッチョに同化する。
 やめ時を見失う没入感があるのはその驚異的な完成度によるもので、言うなれば究極のシームレス。マップ間のロードがないどころか、カメラの切り替わりが一切なく、ゲームだろうがデモだろうが流れるように映像がつながっていく。この美しい演出の前では、ゲームオーバーの暗転を挟んでしまうのはダサいな、と変なプレッシャーがかかってしまう。

 先ほど、何やら事情を知るらしい謎の男とのバトルがあったが、「ドラゴンボール」の戦闘をリアルにしたらこうなる、といった感じだった。一見の価値ありとは、まさにこのゲームのためにある言葉だ。平和な工作も結構だが、ゲーム神たるこのオレ様は、ヒゲハゲマッチョを操って明日からも死闘を繰り広げることとしよう。
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2018年04月21日

宇宙イカ革命「Splatoon2」 その8

 今回のフェスでは、〈未知の生物〉陣営につく。インクリング(スプラトゥーンのイカ族の正式名称)自体がそもそも未知の生物ではないか。

spla2081.jpg
 そして、ミステリーゾーンで大いに戸惑う。奥へ攻めていったら敵陣がない! なんと、自陣敵陣が横並びになっていた。一番奥のでんでん太鼓広場に着くまでに殺し合いが始まるという、過激なステージだ。上級プレイヤーによる研究が進むと、えげつない封殺プレイが成立しそうだが、一日限りのフェスだから、少々バランスが悪くとも許される。
 隣り合った敵陣は、透明な壁で仕切られている。アオリアクションでこっちにアピールしている奴が時々いて、うざいやら微笑ましいやら。
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2018年04月20日

「ドラゴンクエストXI」その4 ヨッチ族を悼む

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 「時渡りの迷宮」が手強い。
 遊び方はこうだ。まず、ヨッチ族を集める。ゲーム内で拾ったり、すれ違い通信で手に入る。彼らを引き連れて、サイドビューの迷宮にもぐるのだが、これがまあとにかく弱い。ぽこぽこ死んでいく。お前らはレミングスか。死んだヨッチは一応復活させることができるのだが、非常に値が張るので基本使い捨てになる。人のいいヨッチを大量に殺傷するのは、あまり気分のいいものではない。
 それでももぐり続けるのは、報酬が魅力的だからである。「時渡りの迷宮」から「冒険の書の合言葉」を持ち帰ると、シリーズ過去作をモチーフにしたサブシナリオを楽しむことができるのだ。
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 フィールドの見た目や戦闘画面がきちんと古いスタイルになり、BGMもなつかしいものが流れる。
 最初の合言葉「ガライの墓」が、すぐ終わる内容だったので油断していたのだが、他の合言葉では、ダンジョンが丸ごと入っていたり、他の世界と行き来して解かなければいけないものがあるなど、予想以上の作り込み。古くからのファンにとってはこの上ない贈り物だ。
 本編そっちのけでプレイし続けたいが、そのためには「時渡りの迷宮」を深くもぐる必要があり、ヨッチが大量に必要となり、本編を先に進めないと強いヨッチは出てこない。これは厳しい。チートのヨッチを作る人、使う人がいるのもわかる。
posted by Dr.K at 23:43| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月15日

バーフバリ 伝説誕生

 昨年末に公開されたインド映画、「バーフバリ 王の凱旋」の評判が尋常でなく良いので興味を持ったが、調べてみると、この映画は二部作の後編にあたることがわかった。ならば、前編から通して観たいというのは人情。
 春休み、塚口サンサン劇場が前作との連続上映を行っていたので、行こうと思ったらなんと満席。貴重な機会を逃して悶々としていると、今度は九条のシネ・ヌーヴォが連続上映を始めたではないか。仕事を休んで遠征を敢行し、ついに観られた。合計5時間にわたる長丁場であったが、退屈する瞬間など全くなく、最高に楽しむことができた。王を称えよ!

 「バーフバリ 伝説誕生」は、インドで上映されたバージョンよりカットされているが、それでも2時間半もある。これだけ長いと、余計に感じるシーンや退屈なシーンがありそうなものだが、息もつかせぬアクション、またアクション。中身がパンパンに詰まっていて驚いた。
 例えば、主人公のシヴドゥに対し、育ての母が「滝を登ってはいけません」と諭す。次の瞬間、もう登り始めているというテンポの速さ、逡巡やら葛藤やらという言葉はこの作品には無縁である。
 シヴドゥの恋も斬新。ヒロインのアヴァンティカは凄腕の戦士で、うかつに前に出れば殺される。そこでシヴドゥは、気付かれないように近づき、彼女の体にペイントを施す(笑) ついに見つかった時も、戦いながら相手に化粧を施し、女性として目覚めさせるという超絶アクション。そんなんありか、と目が点になるが、古代インドの英雄なら仕方がないと納得させられる。
 後半は、王国の奴隷にして最強の剣士、カッタッパが語る王位争いの話。シヴドゥの父となるアマレンドラ・バーフバリが戦場を駆ける。「マッドマックス」か「300」かという演出で爽快感抜群。ただの無双ではなく、作戦もひねりが効いていて面白いのなんの。
 戦争の顛末を語り終えると、カッタッパが重大な一言を発する。え〜! ここで終わり? インドでは続編までに2年待たされたと聞くが、こりゃ気になってたまらんわ。続きは「王の凱旋」だけど、これより面白いの? マジで?

アクション 8
スケール 9
オリジナリティ 10
個人的総合 8
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2018年04月11日

「ドラゴンクエストXI」その3 どこかで見た話

 中盤の山場に到達。
 ついに魔王が姿を現し、命の大樹は地に堕ち、世界は闇に包まれる。ここまでに集まった仲間も、散り散りになってしまう。
 大変な展開なのだが、う〜ん、こんな話どっかで見たぞ。

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 思い出した! FF6だ。このゲームも、中盤で魔大陸が崩壊し、世界が破滅してしまう。そして後半、再び仲間を探しながら再起するのだ。
 これだけメジャーなゲームでストーリーが似るってのも珍しい。なんと、FF6が出たのは25年も前のこと、とてもなつかしい。面白いゲームだったなあ。シャドウのエピソードは今でも覚えているよ。
posted by Dr.K at 21:24| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月07日

高畑勲監督の訃報に思うこと

 高畑勲監督が逝去。82歳だそうである。こうしてジブリも過去のものになっていくんだなあ、と本当に寂しい気持ちになる。片渕須直が「この世界の片隅に」をヒットさせたことで、路線の後継者を見届けることができたのだけは良かったと言えるかもしれない。

 テレビでは、追悼として「火垂るの墓」を放送するそうだが、いやいや、ただでさえ落ち込んでいるときに勘弁してほしい。せめて明るい「ぽんぽこ」にしてはどうか。どうせなら、最新作の「かぐや姫」を希望したい。天人の音楽で監督を送り出すというのもいいかもしれない。
posted by Dr.K at 22:03| Comment(0) | 講師の独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月01日

「鋼鉄公演きらりんロボ外伝」の研究レポート

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 デレステのエイプリルフールもついにここまで来た。
 「鋼鉄公演きらりんロボ外伝」は、4月1日限定のイベント。グラッシー帝国の侵略者に対し、きらり博士がスーパーロボットきらりんロボを起動して立ち向かうというストーリー。
 まずは3種のミニゲームにチャレンジ。シンプルながらしっかりチューニングされており、本日限りなのがもったいない楽しさ。スコアの加算に応じて、きらりんロボのエネルギーが充填されるという設定だ。
 きらりんロボが起動すると、変則的な音ゲー仕立てのボスバトルをプレイすることができ、これをクリアするとエンディング。寸劇もフルボイスで、完成度の高さに感心していると、最後にムービーが流れ出した。

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 ロボットアニメ調の歌! 躍動する3Dきらりんロボ! ステージで踊るアイドル! 今日だけのために、こんな豪華なものを作ってくれるとは!
 途中で何人かのモブが登場するシーンがあるのだが、毎回ランダムにアイドルが変わる。つまり、これはプリレンダではなくリアルタイムのムービー、普段の音ゲーの演出システムを駆使しているのだ。こりゃあ今後の音ゲーのステージにも期待してしまうじゃないか。

 きらりんロボは、我々に夢を見せてくれる。ゼノグラシアの悪夢を払拭してくれるのだ。
posted by Dr.K at 23:28| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする