この「シティーハンター」は、他のリバイバル映画とは一味違う。筋金入りというか、気合の入った懐古趣味である。
現在を舞台にした新規のストーリーなのに、何一つ新しくなってない。劇画調の絵柄、ギャグのテンポ、勢ぞろいしたかつての声優、何もかもが昔のままだ。エンドロールの「Get Wild」だけでなく、劇中でも聞き覚えのある曲がガンガンかかり、その瞬間、空気までもが90年に逆戻りする。「シティーハンター」シリーズをあまり見なかった俺でもそうなのだから、往年のファンならイチコロだろう。若い層にアピールしようと、余計なことをしていないのが好ましい。
世の中は変わっていくものだが、アニメの中くらい変わらなくてもいいじゃないか。冴羽獠は、いつまでも若くカッコつけていて、最強でいい。老け込んで時代に取り残されたりしないし、古臭いギャグを恥ずかしがったりしないのだ。技術的にも昔のままで、ドローンなどの現代的な兵器にこそ3DCGが活用されているが、車は手描きとこだわっている。
オープニング、現在の新宿駅に伝言板はないので、依頼人はスマホのアプリから合言葉を書き込む。ところが結末、伝言板が復活した。時代に逆行するエンディングは、「シティーハンター」はこれからも変わらない、という宣言だ。そこまで言うなら付き合うしかないではないか。
話の古さ 8
ギャグの古さ 10
曲の古さ 10
個人的総合 5