2020年07月30日

ガーンジー島の読書会の秘密

 イギリスの離島、ガーンジー島は、戦時中ナチスの占領下にあった。島民は、この災難をひと時忘れるため、こっそり集まって食事会などを開いた。その会は、ナチスの目をごまかすため、読書会の形をとった。
 そして戦後、作家のジュリエットは、この読書会に興味を持ち、取材して本を書こうと思い立つ。一度は現地で温かく迎えられたジュリエットだったが、会の創設者であるエリザベスがおらず、そのことについては誰もが口をつぐんでしまうのだった。

 邦題がまずくて、何やらサスペンスのような気配だが、実際は純然たるヒューマン・ドラマかつラブストーリーである。秘密の中心にいるエリザベスが、そこにいないことによって逆に大きな存在感を感じさせるという仕掛けが面白い。この点で、私が大好きなゲーム「Life is Strange」と近しいものを感じた。このゲームでは、行方不明のレイチェルが物語に大きな影を落としており、どんな娘だったのだろう、と想像させることがプレイヤーをけん引する。
 ジュリエット役のリリー・ジェームズは、さすがにシンデレラを演じただけあって、地味な田舎を背景にしても美人オーラが凄い。物語では、夫となる候補が何人か出てくるが、全員見劣りしてしまう(笑)

歴史もの度 5
ローカル度 8
恋愛もの度 7
個人的総合 5
posted by Dr.K at 20:36| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月26日

「Ghost of Tsushima」その二 能ある鷹は何とやら

 蒙古に捕らわれた叔父を救出すべく、仁は対馬を奔走。仲間を徐々に増やしていく。

got021.jpg
 しばらく遊んで気付いたのだが、このゲーム、とにかくストレスが少なく快適なのだ。
 まず、オープンワールドならではの自由度。戦うミッションに疲れたら、寄り道でのんびりするなど、自分のペースで楽しめばよい。
 次に、優れたUI。マップで任意の地点を目的地設定すると、風を起こして方向をいつでも確認できる。近くに未確認の何かがあるときは、鳥が案内してくれる。矢印やらテキストやらと違い、風情のある伝え方が好ましい。

「父は風となり、母は鳥となって道を示してくれるであろう」

たとえ話ではなく、本当にそうなっている!
 そして何より、見えないところを支える隠された(?)技術が素晴らしい。一度訪れた地点には、いわゆるファストトラベルができるのだが、この時のロード時間がかなり短い。「Watch Dogs」「Horizon Zero Dawn」「Red dead Redemption2」「Days Gone」「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」「Death Stranding」など、現行機のオープンワールドはいくつもプレイ済みだが、どれと比較しても最速だ。さらに、ゲームオーバーからリトライする際のロードも短い。今まで、待ち時間の蓄積でけっこうダルさを感じていたんだな、と再確認した。
 PS5では、ハード側の改良によってロード時間が短縮されるとのことだが、「対馬」があまりに快適なので、それって思ったより影響が大きいかも、などと想像してしまった。
posted by Dr.K at 11:28| Comment(2) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月25日

ベイビー・ドライバー

 主人公のベイビーは、交通事故で両親を亡くして以来、耳鳴りが止まらない。しかし、一度音楽をかければ、天才ドライバーとして覚醒する。犯罪組織の逃がし屋として使われていたベイビーは、恋人との出会いをきっかけに足を洗おうとするが…。

 とても評判が良いので気になっていたこの映画、このたび、ドルビーシネマ版として再上映。かなり料金が上乗せになってしまうが、せっかくなので思い切って観に行く。
dcinema.jpg
シアターの入り口からこの物々しさ。通路の映像が専用のものになってなくてちょっと残念。
 「ベイビー・ドライバー」の見どころは、音楽とシンクロするアクション。ドルビーシネマの音質が生かされ、迫力満点で楽しめた。また、ドルビーシネマの特徴として、黒が本当に真っ暗になるのだが、そのせいでシーン切り替えのブラックアウトが強烈すぎる

 犯罪組織なので、基本的にイカれた悪人しか出てこない。そんな中、ヒロインのデボラがめっちゃいい子で、野獣の檻に放たれたウサギ状態。ベイビーの気がかりが身につまされる。クライムアクションの割には、後味の悪くない結末で、最後まで見やすい良作である。

つかみ 10
盛り上がり 9
結末 7
個人的総合 8
posted by Dr.K at 23:44| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月20日

「Ghost of Tsushima」その一 サムライ温泉巡り

got011.jpg 「ゴーストオブツシマ」は、時代劇オープンワールド。時代劇と言っても、戦国時代や幕末ではなく、元寇という渋すぎる題材だ。モンゴルに攻められ、占領されつつある対馬で生き残った侍、境井仁となって再起を目指す物語が始まった。
 吹替などのローカライズが完璧で、一瞬和製のゲームのように見えるが、まぎれもない洋ゲー。開発したのは、「インファマス」等で実績のあるサッカーパンチだ。

 とにかく、海外で作られたとは信じがたい内容だ。血なまぐさい戦いはもちろんある。しかし、戦わない場面にこそ、このゲームの凄さがある。紅葉や銀杏は林を彩り、平野にはススキがなびく。美しい自然の中、仁は馬を駆って、神社へ参り、和歌を詠み、尺八を奏でる。そして、秘湯を見つけては入浴するのである。
got012.jpg
いまだかつて、こんなに日本の心を理解した海外ゲームがあっただろうか。和製のゲームにもこれほどの日本らしさはなかった。脱帽である。
posted by Dr.K at 23:55| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月19日

「未来少年コナン」11 脱出

 サルベージ船から逃げたコナンたちは、隠してあったフライングマシーンを起動。ジムシィたちを救出するべく、インダストリアへと向かう。

msc101.jpg
 どんな原理で浮いてるんだ、フライングマシーン。子供のころ、一番乗ってみたかった乗り物だ。スピードもないし、高く飛べないし、武器もない。でも、なんだかとっても楽しそうな浮遊感に虜になった。この時点で、後にジブリファンになるように刷り込まれていたのだな。ストーリー上では、故障していて本来の力が発揮できていない、という設定があるのだが、そんなことはどうでもよくなる。起動シーンで、なかなか飛べないのがかわいいやらいじらしいやら。
 「映像研には手を出すな!」の冒頭で、この場面が引用されたのだが、さすがわかってる、と感心したものだ。
posted by Dr.K at 20:23| Comment(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月16日

「THE LAST OF US Part II」に心が折れる その4

 心折れる旅路はついに終点に達した。
lou2045.jpg

注:以下に結末までのネタバレを含む

続きを読む
posted by Dr.K at 20:51| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月12日

スケールダウンが奏功 「BG 身辺警護人」

 ドラマ「BG 身辺警護人」が健闘している。

 二年前のシリーズがこんな感想だったので、正直それほど期待していなかったのだが、今のところなかなかの面白さだ。
 続編を作るとき、多くの作品では、新キャラを加える・事件を大きくするなどして、スケールアップする傾向がある。ところが、「BG」は逆である。島崎(木村拓哉)は会社を飛び出し、個人で警備会社を始める。これにより、前作でテーマになっていた、民間VS警視庁という構図はなくなり、業界の問題を扱う作品ではなくなった。また、個人の会社なので、警護対象もVIPではない。事件は大幅にスケールダウンし、代わりに人情味が大きく前に出てきた。クライアントの人間性に迫る、刑事ものの如きストーリーになっている。
 この路線変更は、予算の都合もあるのかもしれない。しかし、大仰なテーマを掲げてすべるより、よほど良い。また、アクション主体では、いくらキムタクでも年齢的に限界がある。この路線なら、何年でも続けることが可能だろう。各話のクライアントに、演技派の俳優があてられており、今後も楽しみに観たいと思う。
posted by Dr.K at 11:19| Comment(0) | 馬鹿は黙ってろ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月08日

「THE LAST OF US Part II」に心が折れる その3

 エリーたちが根城にしていた劇場に、仇敵が自ら乗り込んでくる。絶体絶命。ここで、ゲームは意外な展開を見せる。

注:以下に、ゲーム後半のネタバレを含む。

続きを読む
posted by Dr.K at 00:27| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月05日

風の谷のナウシカ

 私が初めて「ナウシカ」を観たのは、学校だった。しかも、体育館や教室ではなく、理科室。文化祭の出し物の一つだったようだが、今にして思えば、化学の先生の趣味だったのだろう。素晴らしい内容に感動し、薬品の匂いとともに記憶に残った。

 今回の特別上映で、初めて映画館で観ることになった。テレビで何度も見ており、知り尽くしているこの作品を、映画館で観る価値はどれくらいあるだろうか。
 価値は充分すぎるほどにあった。
 大きなスクリーンは、いつもなら気にしないディテールをはっきりと映し出し、映画館ならではの音響は、テレビでは聞き取れなかったわずかな音も届けてくれた。こんなに面白かったのか、と感心してばかりの2時間だった。何よりすごいのは、内容が全く古びないことで、原発事故やら新型コロナやらを経てから観ると、腐海がただのフィクションとは思えない。現に観客も全員マスクをしているのだ。
 主要なキャラがことごとくかっこいい「ナウシカ」だが、今回の鑑賞で、ジジイがいい味を出していることに気が付いた。トルメキアに従えられたナウシカは、5人を連れて従軍するよう命じられる。そこでナウシカは、腹心のミト爺に加えて、3人のジジイを連れていく。

「やれやれ、姫様も惜しげもない者ばかりよう選んだわい」

達観した軽口が粋である。乗った船が腐海に落ち、ジジイたちはパニックに陥る。ナウシカが機転を利かせてマスクをはずし、彼らに指示をするのだが、このとき、姫様を思うあまりあわてふためく姿も微笑ましい。ただの役立たずに終わらず、いざとなれば敵から戦車を奪って大立ち回りを見せるのもかっこいい。捕虜となってからも、クシャナを諭すかのような物言いをし、年長者の貫禄を感じさせる。私も将来はこんなジジイを目指したいと思う。
 後の宮崎アニメのジジイは、監督の考えを代弁するようなところがある。しかし、「ナウシカ」の頃には宮崎監督もまだ若造だったはずで、なぜこんなに味のあるジジイ共を描けたのか、不思議でしょうがない。

風刺性 10
完成度 10
久石サウンド 10
個人的総合 10
posted by Dr.K at 12:58| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月01日

「THE LAST OF US Part II」に心が折れる その2

lou2021.jpg
 この瞬間、頭の中で「ジュラシック・パーク」のテーマが響き渡った。テンションが上がるエリーと謎のシンクロを果たす。

 エリーの旅は過酷だ。感染者はもちろんのこと、敵組織であるWLF、謎の狂信者セラファイトなど、道中は危険に満ちている。AIが特段の進化を遂げているため、これらの勢力が敵対していることを利用し、うまく立ち回ると、争いの隙に通過できることも。とはいえ、緊張感は相当なものがある。
 そこで、物語の節目ごとに入る回想シーンが重要な役目を果たす。回想ではあるが、プレイアブルだ。事件前ということもあってリラックスした場面が多く、貴重な息抜きとなっている。物語としては息抜きどころではない、重要なエピソードが含まれたりもするが、ゲーム的には容易であり、プレイヤーにひと時の休息を与えているのが上手い。

lou2022.jpg
 それにしてもこのゲーム、娯楽施設がよく登場する。博物館、ゲームセンター、観覧車、そして止めに水族館。廃墟マニアにはたまらないロケーションばかりだ。
 しかしそこには、楽しい印象のある施設だからこそ、悲劇が鮮やかなコントラストを成す、という制作側の冷酷な計算が働いていることは明白だ。手放しで喜んではいられない。
posted by Dr.K at 01:00| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする