2020年08月30日

「未来少年コナン」17 戦闘

 コナンたちが暮らすハイハーバーに、ついにインダストリアの軍勢が現れる。

msc171.jpg
 13話からのハイハーバー編は、子供の頃面白くないと感じていた部分だ。それまで、戦ったり逃げたりのアクションを繰り広げていたのが、ハイハーバー到着以降、インダストリアの脅威をひと時忘れ、平和で静かな内容に変化する。
 ハイハーバーは、農業や漁業によって復興した島。人のほとんどいない環境でサバイバルしてきたコナンやジムシィは、この島で初めて社会を知り、働くという事を学ぶ。今見ると、彼らの成長にとって必要なエピソードとわかるのだが、子供の頃は、ヒーローだった彼らが常識に囚われてしまったように見えて寂しかったのだろう。
 島の住人の中で、オーロをはじめとする数人の青年が、共産主義的なルールを嫌い、無法な生活を送っている。コナンくらいの少年は純粋だが、青年はグレているというあたり、当時の日本のような感じで妙なリアリティがある。

 コナンとオーロの小さな対立をあざ笑うかのように、インダストリアの襲撃。待ってました! ここからは毎週わくわくして見ていたものだ。
posted by Dr.K at 17:04| Comment(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月23日

「Ghost of Tsushima」その六 誉れは浜で死にました

 なんという美しい結末。こんなものを海外で作られてしまって、日本はこれからどうすればよいのか。たとえ、プロジェクトの規模や技術レベルで負けるとしても、日本には日本でしか描けないストーリーがある、と思っていたのだが。

got062.jpg
 スタッフロールの役職も日本語化されている。例えば、プログラマーは「演算設計」。画像の「助太刀」はさすがに笑う。

注:以下にネタバレを含む

続きを読む
posted by Dr.K at 00:09| Comment(2) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月22日

研究のはずがまるでオカルト 「ぱいどん」

aitezuka.jpg 「ぱいどん」は、手塚治虫の作風を学習させたAIによる実験的マンガ作品。新聞などで研究は話題になっていたが、このたび書籍になったので読んでみた。

 本編は50ページに満たない。しかし、AIをどう活用してできたのか、というレポートが興味深い。
 例えば、キャラを作るにあたって、AIに手塚作品の大量の「顔」を学習させたところ、人間の顔に見える絵は生成できなかった。マンガのキャラは個性的過ぎて、正しく顔として認識できなかったらしい。そこで、実写の「顔」を追加で学習させると、キャラらしきものが出来たという。漫画家も、実在の人物などを参考に、キャラを描いているわけで、結局同じステップになってしまうところが面白い。
 そして、ストーリーについては、手塚作品を学習させたAIによって、プロットを生成している。ただ、あくまで断片的な設定やプロットなので、この作品の出来は、担当した漫画家の力によるところが大きい。AIのプロットは多数生成されたが、手塚眞のアドバイスで、意外性があり斬新なものが選ばれたらしい。制作担当者の苦労がしのばれる。

 ここで思い出すのが、「ノストラダムスの大予言」。予言自体は抽象的な言葉でしか書かれておらず、他の預言者やオカルト研究者によって、様々な解釈が成された。今回のAIも、お告げのようなものとは言えないか。最先端の研究がオカルトじみた結果を生んだとしたら、いかにも手塚治虫にはふさわしい。

 手塚がAIを扱った短編ということで、「サスピション ハエたたき」が併録されているが、デジカメも存在しない時代に「顔認証」の概念を使っているあたり、これはもう本物の預言者と言っていい。

posted by Dr.K at 11:22| Comment(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月18日

「Ghost of Tsushima」その五 六根清浄

 思うこと…

 「ゴーストオブツシマ」は、世界で販売されている。四季の表現から、神社仏閣の造形に至るまで、これぞ日本という描写が、このゲームを通じて海外に広まることになる。ただ、誤解を招きそうな表現が一つあって…。それは神社の立地である。

got053.jpg
 いくらなんでも絶景過ぎるだろ。神社の場所がこんな秘境ばかりと思われたら、日本の民間信仰はどんだけすごいのかと誤解されかねない。

got052.jpg
 神社に登頂すると、効果の大きな護符が得られるというメリットがある。ゲームはこの部分だけ、「アンチャーテッド」と化す。「ブレスオブザワイルド」のほこらを思い出す人も多そうだが、こちらは謎解きはなく、純粋にルート探索のゲームだ。

got051.jpg
 一応、蒙古によって参道が破壊されたので…というような理屈があるのかもしれないが、あまりに複雑怪奇。必死に登るせいか、妙に達成感があり、なんだか神々しい気持ちになってくる。実は死なずに下山することが最も難しいが、そこはご利益で、降りる方はワープさせてくれる親切設計だ。
posted by Dr.K at 10:03| Comment(2) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月17日

おにいちゃんのハナビ

 いつもだったら各地で開催されているはずの、花火大会は中止。お盆なのに里帰りできない、という人も多いことでしょう。そんなときにこの映画をチョイスして上映してくれるパルシネマは素晴らしいですね。

 難病の妹、華(谷村美月)に励まされて、ひきこもりの兄、太郎(高良健吾)が奮闘します。私、こういう物語は苦手なんですが、「おにいちゃんのハナビ」は、なんというかバランスがいいですね。妹がいい娘過ぎるだけだと、現実離れしてしまいますが、兄の引きこもりぶりがリアルで、地に足が付いている感じがします。
 舞台となる、新潟の片貝まつりがまたいいですね。祝い事だったり、追悼だったり、個人が奉納した花火には想いがのっています。こういう祭りだったら、時代が変わっても続いていきそうです。会場のシーンでは、そこまでの話で出てきた住人が、それぞれに花火を楽しんでいる様子が映されます。ここで華を気にかけていた担任(佐藤隆太)が出ないのが気になりますね。話が湿っぽくなりすぎると思ったのでしょうか。
 ストーリーは予告編の通りで、意外性はありません。しかし、スクリーンいっぱいに広がる花火は感無量。そして、最後に待っている小さなサプライズにも泣かせられます。

 内容もさることながら、上映のタイミングが素晴らしく、映画館で観る価値がありました。ありがとうございました。

季節感 9
地方色 9
感動度 9
個人的総合 9


posted by Dr.K at 11:28| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月13日

夏休みは「Fall Guys」でクソガキ気分

fallguys01.jpg
 盛り上がってますねぇ、「フォールガイズ」。PS4版は、発売したばかりなのに今月中PS+フリープレイで無料配信という超太っ腹にびっくりです。
 60人が蹴落とし合うバトルロワイアルゲームですが、銃で撃ち合うことなどありません。小さなキャラがわちゃわちゃと群れている様は、背景のトロピカルな色彩もあいまって、夏休みの遊園地のように見え、気分はすっかり小学生のクソガキに戻ります。
 誰が言ったか、「風雲たけし城オンライン」。まことに的確な表現なのですが、ちょっとその例えはオッサン過ぎて伝わらないでしょう。と思っていたら、開発チームがマジで「風雲たけし城」を参考にしており、あのくだらない番組が、海を越え時を越えて最新のゲームに影響を与えたとはこれまたびっくりです。
 私はPS4なので遭遇しないのですが、PC版では、さっそくチートを使う者が現れ問題になっているようです。


これはいかんクソガキですね。そこで、チートで勝った者には、特別なメッセージが贈られるそうです。この画像はtwitterでまたたく間に拡散しました。
fallguys02.jpg
でもちょっと待ってください。これが表示できるということは、チートが判別できていることを意味します。だったら、他の対策をするべきですよね。さらに、PC版「Fall Guys」は今のところ日本語化されていません。そうなんです、どうやらこれはコラ画像です。
 調べてみたところ、この文面は、「SEKIRO」の事件で有名になったものでした。


いやはや、凝ったいたずらでした。これもまたいかんクソガキですね。
posted by Dr.K at 00:44| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月11日

ファミ通の「ラブプラス EVERY」特集に可能性を見た

 先週のファミ通は、お盆前なので恒例の合併号。夏の4大特集の一つに、「ラブプラス EVERY」が採り上げられたので驚いた。

fami22008.jpg 「ラブプラス EVERY」は、人気シリーズを題材にしたスマホゲームとしてそれなりに期待されていたが、諸事情により1年もたずサービス終了。そんなタイミングで記事が出るのは、おそらく初めてではないか。
 思えば、ゲーム雑誌は長く苦境にある。ニュースの速さ、攻略の詳しさ、いずれもネットには敵わない。そんな中で、雑誌は何を載せて生き残っていけばよいのか。様々な企画が検討されたに違いない。
 「ラブプラス EVERY」の記事を見て、私は可能性を感じた。スマホゲームは、サービスが終わると、起動することすらできない。ヒットゲームであれば、画集など出版物も多いだろうが、この程度のゲームだとそれも望めない。終了を惜しむユーザーのために、メモリアル記事をまとめるのは非常に有効だ。数は限られていても、このファミ通を購入するというファンは確実に出る。

 結果次第で、今後もサービス終了タイトルの小特集が組まれるようになるかもしれないな。
posted by Dr.K at 09:54| Comment(0) | 馬鹿は黙ってろ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月10日

「Ghost of Tsushima」その四 乳母の想い出

 仁が境井家に戻ると、そこには乳母の百合がいた。百合は、仁の生還を喜び、父、正の鎧を授けるのだった。

got041.jpg
 この境井家の鎧がとんでもなく強い。スキルの効果と鎧の強化を合わせると、一騎打ちで5人の敵を葬ることが可能になる。街道でエンカウントする小集団くらいなら、まさに瞬殺、一網打尽。トロフィーの八面六臂とは、よく言ったものである。

 さて、このエピソードをクリアすると、百合をメインにしたサブストーリーに派生する。クリアに必須ではないのだろうが、ぜひともプレイしていただきたい名編である。

注:以下にネタバレを含む

続きを読む
posted by Dr.K at 23:19| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月03日

「西遊妖猿伝 西域篇 火焔山の章」1巻

sydshks1.jpg いつの間に連載が再開していたのか。実に5年ぶりの続編刊行である

 本屋でこれを手に取り、しばらく悩んだ。これは新作か? それとも再編集か? 読んでみると、「西域篇」6巻からちゃんと続いており安心した。新たな敵として、「西遊記」の中でも有名な牛魔王がついに登場。既存のイメージを覆すもの悲しい様子で、非常に気になる。きっとオリジナリティのある展開が待っているのだろうが、それについては、次巻以降の話となる。
 それにしても、わざわざ装丁を変えて1巻から数えなおすのはなぜだろう。
 ここで連想したのが、ゲーム会社の日本ファルコム。「ドラゴンスレイヤー」シリーズの一作だった「英雄伝説」が、いつの間にか「英雄伝説」シリーズになり、「英雄伝説」の一作だった「軌跡」が、いつの間にか「軌跡」シリーズになった。
 これもそんなようなものなのだろうか。いや、違うか。
posted by Dr.K at 23:46| Comment(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月02日

「Ghost of Tsushima」その三 東に歩けば風が吹く

 仁たちは、叔父の志村の救出に成功。蒙古から島を取り戻すべく、反撃の準備を始める。

 「ゴーストオブツシマ」のミッションは、3種に分かれる。メインストーリーは「仁の道」、多様なサブストーリーは「浮世草」と名付けられている。そして、特殊なサブストーリーが「傳承」である。

got032.jpg
 「傳承」は、仁が琵琶法師の語りを聞くところから始まる。ちゃんと古風な言葉遣いになっており、とても海外ゲームの翻訳とは思えない。何より、墨絵で描かれる物語は雰囲気たっぷりで、これから始まる冒険の期待が大いに高まる。
got031.jpg
 語りを聞き終えたら、ヒントに従って言い伝えの地を探し、伝説の技や武具を手に入れるという内容になる。さすが、伝説になるだけあっていずれも役立つものばかり。しかし、ただ実利が得られるのみならず、過程のゲームも楽しいので言う事なしだ。
 クリアに必須のミッションではないが、今後も「傳承」は最優先で取り組みたい。

 ちなみに、記事タイトルは手塚治虫「どろろ」の琵琶法師の歌。
posted by Dr.K at 22:28| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする