それほど期待していなかったが、やっぱりピクサーはうまい。
まず、世界観の伝え方がうまい。剣と魔法のファンタジーといえば、時代は中世くらいと決まっているが、それが現代になったら? という舞台設定。文明が進んで魔法が忘れられ、アメリカの郊外のような住宅地になっているのだが、野良ユニコーンがゴミを漁っているビジュアルのインパクトがすごい。
脇のキャラクターがうまい。室内犬並みにスケールダウンしているドラゴンが情けない。冒険のカギを握るマンティコアが、現代にすっかりなじんで(?)仕事に奔走しているのが面白い。暴走族のピクシー、小さな体でバイクに乗る方法が斬新だ。ファンタジーものでお馴染みの種族が、再解釈されてユニークなキャラになっている。
兄のバーリーは、ゲームから得た知識で冒険を導いていく。魔法カードの絵柄に既視感があるな、と思ったらエンドロールにウィザーズ・オブ・コースト社がクレジットされていた。MtGの許諾もらったのかな。
クライマックスの戦闘はかなりのお気に入り。敵も迫力があるし、ここまでに出てきた魔法を見事に応用して使いこなすイアンの姿に、大きな成長を感じることができる。この部分、ゲーム化したら面白そう。開発は、ビジュアルが似ている「ナック」の会社に依頼したい。
ハッピーながら、ちょっと切ない結末も粋で良い。吹替え版では、エンドロールで「全力少年」が流れるが、わざわざ選ばれただけのことはあって歌詞が見事にマッチしており、最後まで感心させられた。
世界観 9
吹替声優 7
王道度 9
個人的総合 8