2020年10月30日

「未来少年コナン」25 インダストリアの最期

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 何度見ても惚れ惚れするギガントの雄姿。多様な武器を備えている、故障個所をパージできるなど、わくわくするギミックが満載だ。
 レーザー砲で三角塔を一撃、最終兵器の恐ろしさを見せていたにも関わらず、コナンらの活躍であっさり墜ちてしまう。その様子はなんだかもの悲しい。
 最強と思われていたものが、真価を発揮することなく滅ぶ。この見せ方は、宮崎駿のこだわりなのだろうか。「風の谷のナウシカ」では、巨神兵がわずかな稼働で腐り落ちた。「天空の城ラピュタ」は、ラピュタの雷を見せつけた後、バルスで崩壊する。それらはいずれも、ハッピーエンドへの道筋のみならず、滅びの美学とでもいうべきものを感じさせる。

 委員会の長老たちは、沈みゆくインダストリアに残る決意をした。これもまた滅ぶ者の美だ。ギガントから脱出しようとあがき、みっともない最期を見せたレプカとの対比が効いている。

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 地殻変動によりインダストリアは海へ没する。このときの禍禍しい景色もまた、滅びの美学に満ちている。
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2020年10月25日

「新サクラ大戦」がイマイチな理由 その4

 前回で終わるつもりだったんだけど、気になるところが多すぎてもうちょっと続くんじゃ。

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posted by Dr.K at 11:18| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月24日

「未来少年コナン」22 救出

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 いや〜、笑う笑う。ラナがレプカに捕まったので助けに行くという、緊迫した状況なのに、この水中コントである。今見ても素晴らしい動きだ。

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 そして、子供の頃の私を震え上がらせたのがこのシーン。脅す方法なんていくらでもあるだろうに、なぜこんなやり方なのか。ひょっとすると、NHKで子供向けアニメなので、暴力的な描写を控える目的があったのかもしれない。だが、結果として、静かで美しい見かけが状況の異常さを際立たせる名場面となった。
 この回以降、ラオ博士は、拷問により視覚や聴覚を失っており、ラナとのテレパシーでのみコミュニケーションができる。そのような重症にも関わらず、博士には目立った外傷がない。これもまた、子供向けアニメなので残虐表現を控えたものと思われるが、見た目でわからない障害というのはとても不気味で、印象に残る演出となった。
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2020年10月20日

「新サクラ大戦」がイマイチな理由 その3

 最後は、ストーリーについて述べる。
 はじまり方は悪くなかったが、なんとも消化不良で釈然としない終わり方だった。

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2020年10月17日

鬼滅の刃 兄妹の絆

 映画館がえらいことになっている。「鬼滅の刃」がシネコンのスクリーンを6つも占領し、10分ごとに上映開始してる。まるで駅の時刻表だ。なるほどこれが「無限列車」か。

 宣伝を兼ねてか、テレビで「兄妹の絆」を放送したので観た。マンガもアニメも知らず、これが初めて見る「鬼滅」である。

●炭治郎登場
 名前通りに炭など売っているせいか、ファンにはお馴染みのあの模様がどてらにしか見えない。
●冨岡義勇登場
 ほらきた偉そうなイケメン。白虎隊あたりのイメージなのかな。どうしても学ランとどてらにしか見えんが。
禰󠄀豆子がよく知られた姿に
 巻物をくわえた忍者キャラだと思ってたのに違ったのね。
●鱗滝先生登場
 さすがジャンプ漫画。転生ものやなろう系と違って、訓練して強くなる王道感が良い。
 鱗滝に限らず、面をつけたキャラが多いが、その昔、表情を動かすのが面倒という理由で面を多用したアニメがありましてね…。
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 そして、天狗の面を見るとどうしても「ゲンセンカン主人」が頭をよぎる。
●最終選別試験
 炭治郎だけでなく、他の候補者にも痣があるのが気になる。聖痕みたいなものなのかな。
 総集編でディテールが省かれているせいか、時代設定がよくわからないまま観ていたのだが、ボス戦で大正とわかりびっくり。思ったより近代だった。そういえば町のシーンで電柱あったわ。

 私は、設定は近いものの、もっとひねくれたトーンで作られている「甲鉄城のカバネリ」の方が好みのようである。
posted by Dr.K at 17:12| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月14日

「新サクラ大戦」がイマイチな理由 その2

 続いては、バトルパートについて。「新」になって、最も変わったのがこの部分だ。
 シミュレーションゲームを廃止し、アクションゲームになったのだが、これがまた残念な出来なのだ。

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posted by Dr.K at 00:19| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月11日

ドラマ「おカネの切れ目が恋のはじまり」最終回

 いや〜、こうなりましたか。スタッフの皆様、本当にお疲れ様です。

 このドラマ、数話を撮ったところで、メインキャストである三浦春馬が亡くなりました。まだ第1話が放送されていないタイミングでのことです。放送をとりやめる、代役を立てる、といった選択肢もあったと思うのですが、本作は回数を減らしつつもあえてそのまま放送することに踏み切りました。
 先週放送の第4話は、その最終回となります。私は、あらかじめ撮ってあった内容が終わったら、物語は途中ですがこれで終わります、とテロップが出るような打ち切りエンドを予想していました。ところが、実際は全く違うものが用意されていました。
 衝撃のキスから一夜明け、玲子(松岡茉優)が起きると、慶太(三浦春馬)がいません。どこかへふらっと出かけたのでしょう。玲子はなぜ倹約家になったのか、自分自身の問題に決着をつけるため、小旅行に出かけます。
 おそらく本来は、この旅に慶太が同行し、玲子を支えるという話だったのだと思います。代わりに同行したのは、なんとロボットの猿彦でした。玲子と慶太が勤めているのはおもちゃ会社であり、ペットロボットは製品の一つです。慶太は猿彦と名付けた一台を、大切にしていました。画面をにぎやかすマスコットに過ぎなかった猿彦が、慶太の代わりという大役を勤めます。
 また、各キャストが、ときに回想をはさみながら、慶太への想いを語る場面が作られていました。もちろんドラマ内の話です。しかし、それらが三浦春馬への言葉に聞こえるのは、おそらく意図的なものでしょう。純(北村匠海)は、玲子と付き合うことはできないと悟り、一人涙を流します。このシーンすらも、三浦を悼んでいるように見えてきて困ります。
 最後は、慶太が帰ってきたと思わせる主観映像で終わります。笑顔で迎える玲子を演じた松岡茉優の心境はどんなものか、想像するだにつらいものがあります。

 苦心の末、どうにか作られた最終回。このような場合、ソフト化は中止されることが多いのですが、ちゃんと発売されるようで意外です。キャストのコメントとか、どんなものが収録されるのかちょっと気になりますね。
posted by Dr.K at 11:22| Comment(0) | 馬鹿は黙ってろ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月08日

「新サクラ大戦」がイマイチな理由 その1

 「新サクラ大戦」。PS2で「V」が出て以来、14年ぶりとなるシリーズの再起動で、大いに注目されたが評判はイマイチ。私も、過去作はすべてプレイしている古参なので、遅ればせながらやってみた。
 今回は、メインとなるアドベンチャーパートについて述べる。

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posted by Dr.K at 00:06| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月04日

「未来少年コナン」21 地下の住民たち

 インダストリアに着いたものの、フライングマシンが撃墜され、コナンが捕らえられてしまう。そのため、この回はコナンがあまり出ず、地下街を目指すラナたちと、単身レプカと対峙するモンスリーの方が主役となる。

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 モンスリーは、ハイハーバーのことを伏せてレプカに報告をする。様子を見るための行動だと思うが、この時点では、まだ完全に裏切るつもりはなかったのかもしれない。だが拷問されるラオ博士を見て、彼女は決断した。ひるまずにレプカを説得する表情が勇ましい。
 そして、コナンを逃がそうとして銃で撃たれる。

「インダストリアの弾も当たることがあるのね」

 この冗談めいたセリフ、19話で、至近距離からコナンを撃っても当たらなかった本人の実感から出ているのだろうか。どちらかというと、これまで何度もあった兵士たちの銃乱射シーンで、ちっとも命中しないじゃないか! という視聴者のツッコミに応えたもののように思える。だとすれば、まだメタ発言が許容される時代ではないのに、先を行き過ぎている。
 コナンを助け、自らが犠牲になる場面も、実にかっこいい。幼いころの私にとってあこがれのお姉さまとなった。
posted by Dr.K at 19:22| Comment(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月03日

「Life is Strange 2」その3 不毛の地〜狼たち

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 結末までプレイした雑感。
 「1」は、アメリカの女学生という主人公、背後で動く犯罪というサスペンス要素など、エンターテイメント性に富んでいた。しかし「2」は、かなり悲劇的な上に社会派の色合いが濃く、説教臭いところが残念だった。

 以下、ネタバレとなるので未プレイの方は注意されたし。

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posted by Dr.K at 22:44| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする