この映画を最高の環境で見せてくれるパルシネマに感謝を。
父の葬式の日、母のエセル・アンが全く悲しんでいないことに、娘は疑念を抱く。母は夫のチャックを愛していなかったのではないか。
エセル・アンは娘に過去を隠していた。若いころエセルにはテディという恋人がおり、チャックとジャックは親友として二人を見守った。やがて第二次世界大戦が始まり、テディは自分にもしものことがあったら、とエセルの事をチャックに託す。テディの戦闘機が墜落し、チャックは約束通りエセルと結婚し、最後まで家庭を守ったのだった。
そして現代、50年を経て墜落現場からテディの指輪が発見される。
エセル・アンは3人の若者から好意を集めるが、その老いた姿をシャーリー・マクレーンが演じているので妙な説得力がある。そして、一番のプレイボーイだったジャックの現在を演じるのはクリストファー・プラマーだ。こちらも元イケメンのオーラがにじみ出る。物語では、結果としてエセルが3人すべてと結ばれてしまうことになるが、そんな突飛な展開も彼女のビジュアルだと納得できてしまうのがすごい。
過去パートの映像が、田舎の風景のせいか、典型的な洋画の美男美女のせいか、あるいはパルシネマが今どき珍しいフィルムでの上映を敢行したせいか、2007年公開の映画とは思えないレトロ感。70〜80年代に作られた映画、と言われても違和感がない。意図的なものかちょっと気になる。
戦後50年が経ち、日本は平和だったが、イギリスはそうではなかったと知れる映画でもある。北アイルランド問題が継続しており、ベルファストの市民は爆弾テロの危険にさらされている。そんな中、指輪の発見者であるジミーはIRAと公安の両方からにらまれてしまう。彼の行動が危う過ぎて、よく生き残ったなあと、本筋以外の所ではらはらさせられてしまった。
映画館では、クリストファー・プラマー追悼企画として本作を上映。幕間では、通常の予告編に加えて、クリストファー・プラマー出演作の予告をいくつも流しており、気分が盛り上がった。愛のある運営で本当に素晴らしい。
キャスティング 9
レトロ感 9
ロマンス度 7
個人的総合 8