朝日新聞をとっているので連載中から知ってはいたが、やはり新聞という形ではどうにも読みにくい。こうして本になってくれるとようやく読む気になる。
物語は、第二次世界大戦前の上海から始まり、楼蘭、そして日本へ。タイムリープを駆使しての歴史改変ものという側面もあり、小説だから上下巻で済んでいるが、マンガだったら何巻かかるかわからないスケール感だ。語り手が何度も交代するので戸惑うが、それもまた火の鳥らしいと言えばらしい。また、火の鳥がキャラクターとしては出てこない作りは、「乱世編」を思わせる。
ライトノベルではないので挿絵などない。個人的には何か所かだけでも絵を入れてほしかった。手塚キャラをあてはめて書いているとのことだが、絵が登場人物紹介のページだけで、想像が難しいところがある。歴史上の人物がどんな顔で想定されているかも興味があるし、主要な人物以外でどんな手塚キャラをイメージしたのかも知りたい。たとえば、結末にちょっとだけ出てくる浮浪児は「どろろ」だと思われるが、他にそういうのがあっても見逃していそうだ。いや、文章だけなのでそもそも見ることはできていないのだが。