好評につき拡大上映中、ということで観てきた。なかなかの怪作である。
名プロデューサーの血をひく、天才少女ポンポは、次回作の監督に、アシスタントのジーンを抜擢する。また、主演には伝説的な名優マーティンを起用する一方、ヒロインには演技経験なしの新人、ナタリーを選んだ。突然の出世にうろたえるジーンだったが、制作を通じて、徐々に才能が目覚め、監督としての自信をつけてゆく。
ニャリウッドって何なんだ。「SHIROBAKO」は、小さなアニメ制作会社の話だったし、「映像研」は、サークルでアニメを作った。ところが「ポンポさん」は、ハリウッドがモデルである。スケールがいきなりでかい。だからと言って超大作・CGバリバリ・アクション映画を撮ったりはしない。少人数でヒューマンドラマを作るのだ。なんだかFoxサーチライトみたいな路線だな。渋い。個人的には、ミスティア主演のバカ映画の制作過程の方が見たいぞ(笑)
登場人物はすべて外国人で、ちらっとうつる脚本や、ネットの書き込みなどもすべて英文。海外で売ることを意識しているのだろうか。にしては、キャラクターはどう見ても日本ならではのデザインだし、楽曲にボカロPやらバーチャルシンガーやらの若手を引っ張ってきているローカル感覚もちぐはぐだ。
創作のためにすべてを捨てる、という極論は、昔からよく言われるが、これが今の映画で出てきて、しかも支持されていることにびっくり。コンプライアンスに守られた社会で、若者がかつての根性主義を一種の伝説として楽しんでいるのだろうか。
この映画が面白かったという若者には、40越えたら、「キツツキと雨」を観ることを勧める。邦画の世界で、似たような監督の成長物語を見られる秀作だ。
主役陰キャ度 9
声優新鮮度 9
エフェクト過剰度 9
個人的総合 6