2022年01月27日

角川映画祭:ファイブスター物語

 昨秋から始まったリバイバル上映企画、角川映画祭。有名邦画の数々に混じって、「ファイブスター物語」がラインアップされていると知り、あわてて観に行く。
 なんという懐かしさ。遡ること三十余年、高校生だった私は友達に連れられてこれを観た。アニメポリス・ペロに立ち寄った記憶があるので、おそらく今は亡き東映会館で観たのであろう。肝心の内容は大まかにしか憶えていない(笑)

 改めて観ると、当時と違った面白さがあった。
 この映画はマンガの1巻をアニメ化しており、言わば壮大な序章である。ストーリー自体の大風呂敷に加え、大仰なナレーション、オーケストラ演奏の楽曲によって、スケール感がとんでもないことになっている。1時間しかない話とは信じられない。
 当時と異なり、その後のストーリーを知っているので、ちょっと顔を見せるだけのキャラクターも、後で活躍するんだよな〜、とにやにやしてしまう。例えば、名前も紹介されないミラージュナイトたち。こいつはログナー、こいつはランド、とバッチリ分かる。後に黒騎士として恐れられるデコースも、映画の範囲ではただの当て馬である。
 アニメーションの質が思った以上に高い。すべてが手描きの時代だが、実に丁寧に動かされているのだ。一方、デザインは非常に古臭く感じた。メインキャラが昭和の少女漫画のような出で立ちなのに対し、悪役やモブキャラは「北斗の拳」のような絵柄になっている。
 ストーリーについては、こんなに恋愛ばっかりの話だったかな、と驚いた。当時はバトルやメカにしか目がいってなかったのだろう(笑)

 マンガの人気がすごかったので、続編は必ず作られるものと信じていたことを思い出す。それも、数本で終われる量だろうと思っていたからこそ。三十数年後となる現在、マンガがまだ終わる気配もないとは、誰が予想しただろうか。
 館内では、同じ世代と思われるご夫婦が、思い出を語り合っており微笑ましかった。

同窓会度 10
アニメの質 8
説明臭さ 9
個人的総合 6
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2022年01月25日

名越稔洋の新会社に注目せよ

 セガを退社した名越稔洋が、新たに設立した会社が明らかになった。

ファミ通.com:名越スタジオ設立!

 その名も名越スタジオ。NetEaseが出資しており、昨年のリーク通りの結果となった。

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 まずこの9人でスタートする、ということに驚いた。「龍が如く」シリーズのファンは、セガから重要メンバーがこんなに抜けるなんて! と驚いているようだが、私はむしろたったこれだけということに驚いている。ある程度の規模のゲームを作るなら、彼らが各セクションのリーダー格となり、その下に数十名のスタッフが必要になるだろう。では、その人員をどこから集めるのか。
 一つ目。中途採用する。現在、名越スタジオのサイトで求人情報が公開されているが、方々から集まった人材がチームとして機能するにはしばらくかかりそうだ。
 二つ目。NetEaseから借りる。現在、中国では新作ゲームがリリースできない状況にあるので、わざわざ日本に来てくれるかは気になるが、開発者が余っている可能性は大いにある。
 三つ目。セガから奪う。これだけのメンバーが移動しているのだから、プロジェクトの方向がまとまったら移籍する、という約束をしている部下がいてもおかしくはない。大丈夫かセガ

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 さて、こちらは名越氏の退社時、新生「龍が如くスタジオ」をPRした写真だ。次の組長を襲名、といった雰囲気。黒ずくめのスーツ姿でイキり倒している。
 ところが、「名越スタジオ」の写真はどうだ。背景は白く、カジュアルな服装で笑顔さえ見せている。「龍が如く」の頃とはイメージが全く逆だ。
 これは新たな対決だ。2枚の写真を見比べるだけでも、ゴングの音が聞こえてくる。ユーザーとしては、面白いゲームを作った方に軍配を上げるだけの事なので、双方の新作の発表を意地悪く見守りたい。
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2022年01月22日

魔女見習いをさがして

 いや〜、この映画、気になってたんですよ。
 「おジャ魔女どれみ」の20周年を冠した作品でありながら、タイトルに名前が入ってない。それどころか、どれみ達もほぼ出ないというじゃありませんか。このたび、Eテレで放送したものをようやく視聴しました。


 開幕から不意を突かれます。なつかしい歌がしんみりアレンジされていて、大人になっちゃったなあ、という感慨とも諦観ともつかない感情が沸き起こります。本作の主人公は、かつて「どれみ」のファンだった3人の女性です。彼女たちが出会って、聖地巡礼を楽しんだり、人生の問題を友達同士で乗り越えていく、というのが大まかなストーリーになります。3人は年齢も立場も違っており、観客がいずれかの人物と自分を重ねることがしやすい仕組みになっています。
 ところが私は、「どれみ」世代ではなく、テレビで観たこともなく、そもそも女性ではありません。ですから、この映画に張り巡らされた小細工は全く意味を為さないのですが、それでも、この物語が3人を飛び越えて観客に訴えかけてくる、強いメッセージ性を感じました。幼少時に観たアニメは、大人になった私たちにもそっと寄り添ってくれる。「どれみ」と友情の力で、現実感のある悩みを乗り越えていく3人の姿には、大いに励まされました。
 全くターゲットの外であろう私ですら、これだけの事を感じられるのですから、「どれみ」経験者にとっては忘れられない一本になるに違いありません。リメイク映画の流れを変えそうな、見事な実験作でした。

実験性 9
ノスタルジー 8
女性向け度 7
個人的総合 7
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2022年01月21日

ドラマ「恋せぬふたり」に興味津々

 「恋せぬふたり」、NHKらしく攻めた内容に興味津々である。
 何しろこちらは、いまだにLGBTもよくわかっていないオッサンなので、アロマアセクなんて言われてもほぼ初耳。画面だけ見ていれば何の変哲もない出会いのドラマだが、説明されることが未知のことばかりで、ほおお、へええと感嘆してばかりだ。単に恋愛に関心が薄い人、消極的な人とはどう違うのか、今後掘り下げて描かれそうだ。
 主人公の咲子(岸井ゆきの)が、見ていて非常に不憫。同じ独り身であっても、男性は放っておかれて終わるようなところがあるが、女性は何かと周囲の圧が厳しそうで同情を禁じ得ない。他のドラマだったら気にも留めないような、普通の人々の発言がとんでもない悪意に感じられるので謎の緊張感がある。
 こんな内容のものを、恋愛至上主義の権化とも言えるテレビドラマの枠でやろうというのが、一番すごい。高橋一生の演技にも期待している。
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2022年01月16日

コンフィデンスマンJP 英雄編

●プロモーションなど不要
 スパイダーマンよりもコンフィデンスマン(笑) これまでの劇場版2本が良かったため、観ることは初めから決まっていた。もう少し後で行くつもりだったのだが、オミクロン感染の急拡大により、いつ映画館が閉まってもおかしくない状況と判断したため、速攻で観てきた。

●安定のストーリー運び三度ならず
 策士策に溺れる、とでも言おうか。視点を変えて繰り返すことにより、だんだん真相に近づくといった形式の筋運びになっており、非常にゲーム的。行きつ戻りつするストーリー運びは良く言えば凝っており、悪く言えばもつれている。後半に意外なキャラの視点で振り返る仕掛けも、ゲームだと何度も見たスタイルであまり感心できない。
 いつもの3人が、協力ではなく対戦することになるため、原点である騙し合いが話の中心になる。それを喜べるファンからは評価されそうな内容だが、私は「プリンセス編」のような人情寄りの展開の方を好むようである。
 なお、スタアとジェシーが、姿こそ見せないものの、この世界で引き続き活躍していることになっていた。ファンサービスだがちょっとしんみりしてしまう。

●見事などんでん返し三度ならず
 劇場版も3作目となるとさすがにネタが尽きてくるのか、今回はどんでん返しやトリックを読める場面が多かった。よく工夫されてはいるのだが、観客も熟練になっているわけで、これはなかなかつらいところだ。
 エンドロール後の生瀬勝久は今回も健在。ライオンキングかキャッツかというあの舞台、2.5次元と呼ぶには無理があり過ぎる。そんなことを言い出したらアンパンマンの舞台も2.5次元ということになってしまうぞ

キャスティング 8
リアリティ 2
エンタメ度 8
個人的総合 6
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2022年01月13日

中国政府がゲーム業界を葬る


 年明け早々、やることが派手過ぎてめまいがする。
 昨年、政府機関紙が、若者にとってオンラインゲームは害悪、という記事をブチ上げたのは知っていたが、これがただの主張ではなく、本当に新作ゲームのリリースが止められていたとは知らなかった。
 「原神」をはじめ、中国製のゲームは国外で大ヒットするものが増えている。また、中国はeスポーツでも強い。国に多大な収益をもたらす産業をつぶすなど、日本では考えられないことである。

 表向きは、「青少年を保護するため」となっているようだが、そんなはずはない。政府お得意の、言論統制が主たる目的と思われる。
 かの国では、インターネットで政府の都合の悪い情報を知られないために、Googleさえも締め出されていることが知られている。それが、オンラインゲームとなれば、ゲームごとに独自のチャットやメッセージが飛び交うのだから、外からの検閲は不可能だ。これが問題ということであろう。ユーザーが「どうぶつの森」のマイデザインを使って政治的な主張をしたらゲームが発禁になった、というニュースは相当シュールだった。

 さて、今後についてだが、大手企業は日本をはじめとする海外に拠点をうつして、生き残りをはかっていくものと思われる。気がかりなのは、中国企業と資本提携した日本のゲーム会社だ。例えば、マーベラスとプラチナゲームズはテンセントと提携している。まさか、突然放り出されて路頭に迷うようなことはないと思うが…
posted by Dr.K at 21:28| Comment(0) | 馬鹿は黙ってろ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月08日

キングスマン:ファースト・エージェント

 延期に次ぐ延期で予告編も見飽きた。ようやく全編を観られてほっとしている。
 キングスマン結成までを描くこの映画、評価が分かれる結果になっている。というのも、第一次世界大戦という史実を背景に、シリアスな風格をまとっているからだ。前2作の特徴である、ふざけたアクションや、悪趣味な残虐描写などが控えめになり、ファンには物足りなく感じられるらしい。
 私としては、おおむね満足。マシュー・ヴォーン監督作の魅力である、意外性が担保されていたからだ。

注意:以下ネタバレ含む

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posted by Dr.K at 21:00| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月03日

「KNACK ふたりの英雄と古代兵団」が不遇な理由

 「KNACK ふたりの英雄と古代兵団」を今さらプレイしている。
 前作「KNACK」は、PS4の本体に同梱されたほどの重要タイトルだったが、評判はイマイチ。その続編となる今作は、初週2000本という信じがたい不人気に終わった。ついには昨年、PS+フリープレイで配布、超がつくほどの不遇タイトルである。

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 ゲーム自体のデキが悪ければ仕方ないが、これがなんと非常によく出来ている
 まず、前作の不満であった「大きさの変化がゲームにあまり使われない」点が解消されている。今回は、要所で新機能「小さくなる」を使う必要があり、ステージの探索が面白くなった。
 アクションの種類が少ない、という不満も解消。ゲームの進行に応じて新しい技が追加されるほか、スキルツリー的なパワーアップもあって、バリエーションが増している。
 難度の高さについても思い切った手段を講じた。HPが自動回復するようにしたのだ。よくあるFPSのように、連続してダメージを受けさえしなければ死ぬことはなく、クリアが容易になっている。
 デモシーンも力が入っており、簡単なQTEによって、各ステージのクライマックスをより体感的に演出している。
 さらには、2人同時プレイを前面に押し出し、ファミリー層によりアピールする内容になっている。

 優等生はつまらない、といういささか偏見じみたフレーズを思い出した。
 このゲームで最もほめるべきは、レベルデザインだ。ステージはちょうどよい長さで、あるべき所にヒントがあり、ギミックは見たらわかる動きをし、適度な難しさの敵が待ち構える。ステージ設計の教科書として使いたい丁寧さである。だが、だからこそ意外性がなく、ストレスもなく淡々と進めてしまう。前半はナックが巨大化するステージがないことも、単調さにつながっているように思う。
 話題になるゲームは、決して完璧な作りではない。極端に難しい敵がいたり、場違いな演出で驚かせたり、といった歪さが強い印象を残していることも多い。「ふたりの英雄と古代兵団」は、完成度の高さの反面、そうしたひっかかりがないことが弱点につながっているように思う。
 ゲームの後半、ナックが巨大サイズになったり、巨大兵器タイタンとの戦いがあったりと、盛り上がってくるのだがいささか遅い。通してプレイした人だけが本当の面白さに気づく。無料で楽しんでしまったことが申し訳なくなるような不遇の秀作である。

posted by Dr.K at 13:57| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月02日

マトリックス レザレクションズ

 どきどきして気が気じゃなかった。
 トーマス(キアヌ・リーブス)は、天才ゲームプログラマー。「マトリックス」三部作を大ヒットさせた実績があり、会社では続編ゲームの企画会議が行われていた。「レザレクションズ」制作についてのメタな言及、という側面は置いておくとして。これまでの話はどうするのか? まさか、ゲームでした、となかったことにして新作をリブートするつもりではあるまいな、と本気で心配した。

注:以下にネタバレを含む

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posted by Dr.K at 20:52| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月01日

2022年

 あけましておめでとうございます。

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 昨日の紅白では、マツケンサンバが良かったですね。黄金のスケボーで登場、というインパクトも上々。紅白のトリは福山雅治とMISIAでしたが、どちらも皆が盛り上がれる曲じゃないのが弱いところ。マツケンのようにめでたいものこそトリにすべき、と思います。


 有馬記念とのコラボも素晴らしかった。なぜ今マツケンサンバなのか、こういう明るいものが求められる時期が来たのか? 当ブログも楽しく続けて参りたいものです。


posted by Dr.K at 23:39| Comment(0) | 講師の独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする