2022年03月30日

冬ドラマ最終回の通信簿2022

 日本アカデミー賞で、菅田将暉が特別賞を獲りました。そのとき、プレゼンターの小栗旬がアフロで登場して爆笑。めっちゃ似合ってる。「ミステリと言う勿れ」、菅田じゃなくてもよかったな(笑)

「恋せぬふたり」:良い
 初めは、マイノリティを主題にするため、周囲の普通の人々が意図的に悪の側に追いやられており、ピリピリした緊張感がありました。しかし、結末は、性的指向など関係なく、個々の幸せを追求するという極めて普遍的な結論になっており、納得度が高かったです。ただ、高橋さんは農家に飛び込んでいったのですが、田舎の方が古い習慣が根強く、苦労が増えそうと感じました。

「ゴシップ #彼女が知りたい本当の〇〇」:普通
 最終回だからと言って、意外なことが起こったりはしません。視聴率が低かったようなのですが、妙なてこ入れもなく、ブレない内容で見やすかったです。凛々子のようにマイペースなドラマでした。

「妻、小学生になる。」:大変良い
 オチだけ見ると「黄泉がえり」みたいなものですから、いくらでも泣ける結末に仕立てられます。しかし、あえてそれをせず、明るく前向きに終わってみせたのが良かったです。毎田暖乃の演技力は本当にすごい。神木隆之介や蒔田彩珠といった元天才子役が共演しているのですが、たじたじだったのではないでしょうか。

「DCU」:駄作
 海中専門の捜査官という題材はとても良い。なので、毎週新しい事件を追って色々なところへ潜ってくれれば良かったのです。ところが、事件を無理矢理つなげようとするからおかしくなる。予算も尽きたのか、どんどんダイビングも減っていき、しまいには温泉を潜るなど失笑ものでした。背後に見えてきた国際的テロ組織も結局つかまらず、釈然としない最終回でした。海外と共同制作だそうですが、シーズン2を気にさせるという部分だけ海外仕様にしてもらっても困ります。
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2022年03月24日

林檎とポラロイド

 しょぼくれたオッサンの一人暮らしを淡々と見続ける内容で、どう転んでも面白くありません。しかし、終わってから振り返るときが本番という、小癪な映画です。

 物語は、ある男が急に記憶をなくすところから始まります。そういう奇病が流行っており、しかも記憶が戻る見込みはないらしい。医者の勧めで、男は一から人生を経験し直すプログラム、〈新しい自分〉に取り組むことになります。東欧風のうらぶれた風景が印象的なのですが、これ、ギリシャ映画なんですね。
 男は、病院が用意したアパートで一人暮らしをしながら、次々に指示されるミッションをこなしていきます。時代設定が一昔前になっており、コンピューターも電話も存在しません。医者の指示はカセットテープで届くので、ミッション達成の証をポラロイドカメラで撮り、アルバムに貼っていきます。自撮りのためにでかいカメラを持ち歩く姿はなんとも滑稽です。
 はじめのうちは、「自転車に乗る」「ホラー映画を観る」など他愛もなかったミッションですが、徐々に難度が上がり、「10メートルの高さから飛び込む」「車で事故を起こす」「行きずりの相手とセックスする」などヤバい感じになっていきます。病院は何をたくらんでいるのだろう。記憶のない患者が従順なのをいいことに、奴隷か兵士でも作ろうとしているんじゃないだろうか。

注:以下は結末の考察です

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2022年03月21日

Nintendo Switch Onlineで初プレイ 「MOTHER」その2

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 ギーグに勝ったらその場で即エンドロール。唐突な結末は白黒時代の映画みたいで味があるが、捕われた人々はどうなったのかとか、色々説明がなくて気になる。なお、ゲームボーイアドバンスに移植されたバージョンでは、エンディングが追加されている。

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 ゲームの終盤、各地に隠されたメロディの断片を集めるのが目的となる。そのうちいくつかは、普通に物語を追ったのでは通過しないところにあり、ノーヒントで見つけるのはなかなか骨が折れる。主人公がある程度のレベルに達すると、マジカントにいる画像の男が、メロディの場所について歌の形でヒントをくれる。
 この歌によって、ほとんどのメロディが見つかったが、最後の「イブ」が思い当たらない。そのころ私は、そこがラストダンジョンとも知らずに、ホーリーローリー山をさ迷っていた。強敵に苦労しながら、手書きでマップを作る、昔の遊び方を堪能した。やがてマップは完成したが、イブは見つからなかった。まさか山の手前の湖にいたとは。世界中を探したのでかなりロスをしてしまった。そして、イブが戦ってくれるのにびっくり。この山の敵は、イブが加わっている前提の強さだったのだな。

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 そして迎えるラスボス、ギーグ。私は先に2や3をプレイしているので、ほぼイベントのようなバトルになることを予想できている。しかし、当時のプレイヤーはかなり戸惑ったのではないか。長々とメッセージを伝えてきた挙句、ひっそりと追加される「うたう」コマンド。気が付かずに殺されたプレイヤーも多いことだろう。
 性能も容量も限られているからこそ、わざわざ作るイベントは重要だ。山小屋での巨大ロボ戦、イブの最後、消えるマジカント、そしてギーグ戦。畳みかけるイベントは、かつてのプレイヤーに確かなインパクトを残した。最近のゲームは、どうでもいいことにイベントを費やしてはいないか、とちょっと文句が言いたくなる。
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2022年03月19日

アンネ・フランクと旅する日記

 連日、ウクライナの情勢が報道される中でこんなアニメ映画が公開されている。
 なぜ今さら「アンネの日記」なのか、と思ったが、非常に志の高い作品になっていた。

 主人公はキティ。アンネが日記を書いたとき、架空の読み手として生み出されたイマジナリーフレンドだ。あるきっかけで日記を飛び出したキティは、現代のオランダを冒険することになる。キティは日記が書かれていた頃のアンネしか知らない。アンネのその後を探るうち、キティは不法滞在の外国人(難民?)たちと出会うのだった。
 日記に書かれた昔の出来事も映像になるが、あくまでも現代の物語として作られていることに感心する。ナチスの時代のようにユダヤ人が虐げられることこそなくなったが、今も移民や難民は相変わらず排斥されており、似た問題が繰り返されている。そんな状況で、日記が博物館の展示物としてありがたがられ、アンネの名が橋や公園や学校に冠されることは意味がない。形骸化した歴史認識をこの作品は痛烈に批判する。
 一方で、昔の人物が現代に迷い込む話の割には、そのギャップを話に使わない。例えば、コンピュータやスマホにキティが戸惑うような場面はない。せいぜいファッションを今風にあらためるくらいだ。メッセージ性に関係ないものを印象に残さないための工夫だろう。
 私は、「面白くてちょっとためになる」程度のバランスを好むため、この作品はやや主張が強過ぎるように思った。

 日記の中で、アンネはどのようにキティと別れたのだろう。最後にそのことが気になった。キティはおそらく日記へと帰っていくのだろうから。

アクション性 6
歴史性 7
メッセージ性 9
個人的総合 5
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2022年03月14日

Nintendo Switch Onlineで初プレイ 「MOTHER」その1

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 へぇ、こんなはじまりだったんだ。「MOTHER」シリーズは、2と3は発売当時にプレイしたが、実は1をプレイしたことがなかった。このたび、Nintendo Switch Onlineで配信されたのでやってみる。

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 スーパーファミコン以降、RPGは豊富なデモシーンによってストーリー性を表現していくジャンルになった。しかし「MOTHER1」はまだファミコン。演出につぎ込む性能もなければ容量もない。よって、ゲームはバトルが中心となっており、しかもこれが難しい。
 他のRPGと同様、各エリアに想定されているプレイヤーのレベルなどはあると思うが、意図的に突出した強さの敵が混ぜられており、油断できない。うっかり死ねば、所持金は減るわ、チェックポイントが少ないので大幅に戻されるわで、非常にきつい。ゲームを進めると仲間が加わるのは良いが、レベル1の状態で入るので、気を抜くとすぐに死ぬ。これまたきつい。
 そこで、Switchならではの機能をフル活用する。まず、もともとのゲームでは電話がないとセーブできないのだが、Swichならではの〈どこでもセーブ〉を使う。運悪く倒されたときは、Switchの巻き戻し機能でなかったことに。さらに、数少ないヒントを見落とさないように、スクリーンショットを保存する。
 Motherはファンタジーの世界観ではない。そのせいで、武器やアイテムが手に入っても、強いのか弱いのか、はたまた誰が使えるのかわからない。攻略サイトを頼り、説明書代わりとする。
 ここまでやって、ようやく今どきのゲーム並みにマイルドになる。

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 昔のゲームなので、親切な誘導がないのがかえって新鮮。次はどこへ行ったらいいのか、かなり考えないといけない。あまりに演出がないので、ダンジョンの奥に到達しても、クリアしたことになるのか判断に困る。例えば、工場でロケットを飛ばしたり、幽霊屋敷でピアノを聞いたりするのだが、それだけで帰っていいのか不安だ。
 そのように削ぎ落された内容にも関わらず、モブのセリフにいちいち味があって面白いあたり、糸井重里のセンスがしっかり根付いている。名作と言われるのももっともだ。
posted by Dr.K at 22:45| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月13日

Coda あいのうた

 邦題がよろしくないので見送っていたが、思いのほか評判が良く、ロングランになっているので観た。
 高校生のルビーは、先天的に聴こえない家族の中で、ただ一人の聴者である。タイトルのコーダとは、このような境遇を指す言葉だ。ルビーは、父や兄とともに漁に出て、家族の手話を通訳する日々を過ごしている。歌うことが好きだったルビーは、思い切って合唱のクラスを選択。先生から才能を見出され、音大の受験を勧められるが、家族の理解を得られない。しかも、父は聴者抜きでの出漁を禁じられてしまい…
 ストーリーとしては、予告編の通りで、意外なところはほぼない。しかし、演出が秀逸。先天性ということもあってか、家族はハンデをハンデと思わず、明るく過ごしていて屈託がない。そのせいで主人公の犠牲が大きく感じられる仕掛けだ。近年、ヤングケアラーが話題になっていることもあり、ルビーの苦悩にはリアリティが感じられる。
 この映画の上映権は、Appleが落札した。そのため、海外では劇場と並行してAppleTV+で配信されているのだが、断然劇場で観るべき。映画館の音響だからこそ、歌声のわずかな変化を感じることができるのだ。また、学内コンサートの場面での、恐るべき静寂も、劇場でこそインパクトが伝わる。公開中に見ることができて本当に良かったと思う。
 ジャンルとしては、泣ける話になるのだろうが、学内コンサート以降のスピード感ある展開にはカタルシスがあり、意外にエンターテイメント性が高い。陰鬱でもなく、説教臭さもない。多くの人に勧めたい映画だ。

キャスティング 10
ポジティブ度 9
歌唱力 8
個人的総合 8
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2022年03月12日

「ウマ娘」1周年 黒の章

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 あれれ? 続いてのプレイは、初めて育成するサクラバクシンオーだったが、あっさりクライマックスを勝ち切った。「Make a New track!!」、難易度低いのかも。

mnt05.jpg モバイルゲームとしてはかなり豪華という印象がある「ウマ娘」だが、実はコストが抑えられている
 例えば「Make a New track!!」。乙名史が、新レースの設立に奔走するストーリーとなっているが、一介の記者がやるには話が大きすぎて不自然だ。ここには、新キャラを作らないで済まそうとする意図がある。「アオハル杯」で、新キャラとして樫本と2人のウマ娘が追加されたのに比べると、大変安くつく。
 自由にレースが組めることと引き換えに、ストーリーが薄くなっている。新レースに関するイベントは少なく、ほとんどがウマ娘同士のたわいもないエピソードで構成されている。育成ウマ娘の個別エピソードも、他の育成シナリオに比べると非常に少ない。新しいウマ娘が追加されても、あまり作り足しをしなくても良いように、という配慮だろう。
 さらに、アオハル杯が団体戦という新システムの追加だったのに対し、トゥインクルスタークライマックスは順位のつけ方が変わっただけなのでシステムの変更も少なく低コストだ。

 ヒットしているからと言って、財布が緩くなったりはしない。「デレマス」のイラストを「デレステ」で再利用したり、「神撃のバハムート」のキャラを「シャドウバース」に流用したりという、Cygamesの抜かりのなさは、「ウマ娘」でも発揮されているのだ。
posted by Dr.K at 23:35| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月10日

「西遊妖猿伝 西域篇 火焔山の章」3巻

kaenzan03.jpg 諸星大二郎先生がお元気である。旧シリーズよりも一冊が薄いとはいえ、昨年のうちに2冊刊行というハイペース。これはひょっとすると、悟空が天竺に着く瞬間を見られるかもしれない。

 物語は、ついに対決となった牛魔王に加え、これまでに登場した敵勢力が追ってきて混沌とした状況になりつつある。印象的なのは、悟空が牛魔王と共鳴(?)する表現。
 牛魔王もまた斉天大聖を宿す一人なのだろうか。大唐編では、虐げられた民衆の怨念のように描かれていた斉天大聖だが、西域に来てから、その設定に触れられることはあまりなかった。戦いのクライマックスとともに、その謎の一端が明かされるのだとしたら、楽しみだ。
posted by Dr.K at 19:09| Comment(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月06日

「ウマ娘」1周年 白の章

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 初プレイでいきなりトゥインクルスタークライマックスに勝利。さすがは、使い慣れたスペシャルウィークだ。

mnt03.jpg 大ヒットしたスマホゲーム「ウマ娘」も、ついに1周年。このタイミングで、育成に3つ目となる新シナリオが実装された。その名も「Make a New track!!」。
 一見するとさしたる変化はないが、実はゲームのコンセプトが変化している
 これまでの育成は、どちらかというと恋愛シミュレーションに近かった。キャラクターごとに独自のストーリーがあり、元となった競走馬にちなんだエピソードが展開した。そのため、出場するレースもストーリー側である程度決まっていた。
 ところが、「Make a New track!!」では、制約が取り払われ、すべての出場レースはプレイヤーが任意に決めることができるようになった。新しくショップも開かれ、便利なアイテムをいつどこで使うかも考えどころになった。育成を何度もプレイし、より強く育てるという目的が明確になった。「ダビスタ」などの正統な競馬シミュレーションに近づいた、という印象だ。
 カレンダーをにらんで出場レースを自分で決めるので、自由度が高い。従来の育成では集めにくかった、G3やG2のトロフィーを回収することも容易。因子継承をうまく使って、本来の適正と違うレースを勝ちに行ったりすることも自由だ。
 カレンダーを見て自分で日程を組む手間が大変だ、という声を一部で聞く。確かにその通り。幸い、こちらは、「ダビつく」をプレイして以来、リアルの競馬も欠かさずチェックしている古参なので、レースの日程などすべて頭に入っている。今までより楽になった、と喜んでいるくらいである。
posted by Dr.K at 11:39| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月04日

アサイ「木根さんの1人でキネマ」9巻

kine9.jpg 「シン・エヴァ」の公開からもう1年経つってマジか。
 昨年末に出た「木根さんの1人でキネマ」9巻。その年の映画シーンを振り返るのにまことに都合が良いのですが、帯になるだけあって、さすが「シン・エヴァ」回は気合が入っています。木根さんはアニメにあまり詳しくないという設定なので、キョーコが代わってネタを深堀りしていきます。完全燃焼しすぎて、今後よほどのアニメが出てこない限りは彼女の出番はなさそうです。
 よほどのアニメ、と言えば「ガタカ」回は実質「鬼滅」回で面白かったです。炭治郎の羽織、ニワトリによく似合うな(笑)
 さて、それらのような時事ネタで終わらないのが「木根さん」の良いところ。シリーズのすべてを俯瞰した「ハリー・ポッター」回は、大きなスケールと普遍性を有しており、単行本を持っておく理由もあろうというものです。これを描くのに力尽きたのか、連載が止まっているのがちょっと心配ですが…
posted by Dr.K at 23:41| Comment(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする