このゲームには様々な部族が登場し、独自の暮らしが緻密に描かれている。「フォービドゥン ウエスト」の舞台となる西部は、その多くがテナークス族の領地だ。テナークスは戦闘的な民族で、あらゆる問題を力で解決しようとする。そんな土地にあって、戦わずひっそりと暮らしているのがウタル族だ。
ウタルは農耕民族であり、服は藁や草花のようなもので編まれている。巨大な城すらも竹や葉で作られておりインパクトがある。そして、宗教的な慣習が面白い。彼らは生まれたときに種袋を持ち、死んだときにはその種を撒く。死者を埋葬する代わりに種を育て、故人を偲ぶのだ。異常気象や汚染によって、農業は危機的な状況にあるが、樹が動くことがないように、ウタルも決して土地を動くことはない。長老たちは静かに滅びを待っており、生き方を変えてでも将来につなごうとする一部の若者たちと対立している。
ウタルの見た目は白人や黒人だが、この社会は、日本のように見えて仕方がない。戦うことなく滅ぶことを選びそうな国、なんてわが国をおいて他にあまりないだろう。祈りをささげる歌もお経のように聞こえてくる。
実は、「ゼロドーン」にも一人、ウタルが登場している。印象的なサブストーリーではあったが、前作の時点でウタルの社会について、どの程度考えられていたのか興味深い。