新幹線っぽい特急列車が、うさん臭い東京を出発。乗客はなぜか殺し屋ばかりで、走る密室を舞台にバトルが繰り広げられる。
公開後、あっという間に上映回数が減少。人気が出なかったのかと思ったら、細々とロングラン上映が続いている。少数ながら根強いファンを獲得しているのだろうか。
まず、主演のブラッド・ピットが素晴らしい。アカデミー賞受賞作をプロデュースするような、ハリウッドの重鎮であるのに、こんなバカ映画に嬉々として出演するとは。殺し屋でありながら殺意に乏しく、成り行きで人を殺してしまう、レディバグの役を軽薄に演じた。これで還暦近いのかよ、信じられん。
他の殺し屋もいちいちキャラが濃く、わずかな出番であっても印象が強烈。東京オリンピックのマスコットみたいな着ぐるみまで出てきて笑う。外人に支配されるヤクザを見て、「レッドスティール」を思い出した。そんな中、一人重厚な演技を見せる真田広之。日本語が妙にたどたどしいのは、周りに合わせた演出だろうか。
こういう物語は、謎が解けてくると落ち着いてしまう傾向があるが、「ブレット・トレイン」は結末に近づくにつれて映像面で現実感がなくなっていく作りのため、最後の最後まで勢いを保った。
レディバグは、他の殺し屋の代理として列車に乗り、事件に巻き込まれた。では、本来乗るはずだった男は、どうしているのだろう。結末での言及がなかったため、黒幕的な裏があるのではないかと勘繰ってしまう。
世界観 7
キャラクター 9
バカ映画度 8
個人的総合 6