マリオの映画をイルミネーションが作るというので期待していた。大御所感のただようディズニー・ピクサーと違い、このスタジオは作風がやんちゃなところがある。それがアクションゲームという題材に見事にマッチし、マリオとしか言いようのないものになっていた。
●CMのマリオ
本編の前に、ゲームの特別なCMが流れる。素晴らしいので、将来この映画のDVDが出るときにはぜひ収録してほしい。タイトル前には任天堂のロゴも流れる。任天堂の映画が出来た! と始まる前から気分が盛り上がる。
●初めてのマリオ
物語は、マリオとルイージがブルックリンで配管工を営んでいるところからスタート。二人は異世界へと迷い込み、マリオはキノコ王国でピーチ姫と会い、ルイージはクッパに捕まってしまう。
ゲームのマリオは、幾度となく冒険していてベテランの風格が漂うが、この映画のマリオは初めての冒険。やることがいちいち初々しくて新鮮だ。こんなマリオは見たことがない!
●若造のマリオ
マリオは会社を辞めて配管工を始めており、それにルイージを巻き込んだことを父に責められている。マリオにこんな両親がいたのか、という驚きを上回ったのが、父母がけっこう若いこと。てっきりオッサンだと思っていたマリオ、どうやら20代の若造らしいのだ。女子高生が20代をオバサン呼ばわりしているのと同じようなことを自分がやっていたとは。
●マリオだけじゃないマリオ
横スクロールの出勤シーンから、ゲームらしさ爆発のこの映画、出てくるのはマリオのステージだけじゃない。「ドンキーコング」に「スマブラ」に「マリオカート」と、他のマリオ出演ゲームもどんどん映像化される。盛りだくさんで非常にお得。
●テーマ性もマリオ
ゲームを映画化する場合、元のゲームはあまりテーマ性が無かったりするので、映画独自のテーマを設定することが多い。ところが、この映画のテーマは〈忍耐〉。クリアするために繰り返し挑戦する、アクションゲームの本質をそのままテーマにしてしまった。これはちょっと過去にはなかったんじゃないか。
●音楽もマリオ
ゲームの曲がアレンジされて使われており、どこの曲だったか思い出せなくても、どこかで聴いたことがあるという塩梅。上映終了後、小学生くらいの子が、BGMを口ずさんでいた。40年にわたって通用する楽曲、すごい。
ピーチ姫が戦闘モードだったり、クッパが弾き語りがうまかったりと意外性はあったが、おおむねどのキャラもゲームに忠実でしっくりきた。そんな中で、青い星の子(たぶん「スーパーマリオ ギャラクシー」のキャラ)だけが、常に死にたがっていて異様に目立った。続編があったら何かしでかしそうだ。
アクション性 10
娯楽性 10
一般性 9
個人的総合 9
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