最高だったが、目が疲れて頭痛がしてきた。歳のせいでゲームの腕が衰えるのは致し方ないが、まさか映画についていけなくなるとは。しっかり休養を取り、体調の良いときに観ることをお勧めしたい映画だ。
ディズニーやピクサーのおかげで、少々の高品質CGでは驚かなくなった私だが、この映画はヤバい。ドラムをぶっ叩きながらここまでのあらすじを説明するオープニングの時点で観念した。
前作は、マルチバースを扱った映画の先駆けとなる作品だった。主人公であるマイルスの世界に、他の世界のスパイダーマンが集まってくる。それぞれのスパイダーマンが、全く異なる画風で描かれているのが面白かった。それから数年、現在はマルチバース設定が使われ過ぎて、新鮮さを失ってきている。そこで(?)「アクロス・ザ・スパイダーバース」は、マイルス自身が色々な世界を訪れるストーリーとなった。スパイダーマンのみならず、背景のすべてがいちいち異なる画風で描かれることになり、その独創性と物量に眩暈がしてくる。
お馴染みのワイヤーアクションも描写が極まっており、動体視力の限界に挑戦するかのような迫力と目まぐるしさ。戦闘シーンも、ヴィランが空間を超越する特殊能力を駆使するため、複雑怪奇で見たことのないアクションになっている。
物語も、全スパイダーマンを巻き込む大掛かりな事件に発展し、どう決着をつけたらいいのやら、全く想像がつかない。今回はすっかり悪役ポジションとなってしまったミゲルだが、本国では「スパイダーマン2099」のファンもいるだろうに、よくこんな使い方ができるな、と感心する。
〈面白い〉より〈すごい〉が先に来てしまう映画体験は久しぶり。文句をつけるとすれば、二部作の前編のため途中で終わってしまうことくらいだ。
前作知識必要度 8
映像先端度 10
物語先端度 8
個人的総合 9