2023年06月29日

「鬼滅の刃 刀鍛冶の里編」11 繋いだ絆 彼は誰時 朝ぼらけ

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 アニメ3期の最終回は、70分のスペシャル。

 「鬼滅の刃」の特徴は、回想の入れ方だと思っている。鬼が倒されるまさにその瞬間、人間の頃の悲しい過去を見せるのはインパクトがあった。正直ストーリーのテンポは悪くなるんだけど。
 ところが、「刀鍛冶の里編」は、ちょっと異なる。味方のキャラを掘り下げる回想には力を入れる半面、鬼側の回想は減量されているのだ。
 個人的には、これが非常に残念で。玉壺は、生前は前衛的な芸術家だったに違いないので面白そう。半天狗などは、どういう訳で幾体にも分裂した鬼になったのか興味深いが、そのへんは一切描かれない。ちゃんと敵を倒して、話は前進しているのに物足りないぞ。
 まあ、代わりに無惨様が過去を明かしてくれたので良しとするか。
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2023年06月26日

春ドラマ最終回の通信簿2023

 「unknown」や「ペンディングトレイン」の最終回が不評ですね。私はどちらも見ていませんが、鼻がきいたのか、運が良かったのか。

「それってパクリじゃないですか?」:普通
 毒にも薬にもならない結末で(笑)、最後まで普通でした。とはいえ、知的財産という面倒くさいテーマを、気軽に学べる良いドラマだったと思います。又坂(ともさかりえ)は、絶対裏切るキャラだと思ってたんですけど、そんなことはなかったですね。

「波よ聞いてくれ」:良い
 ラジオ番組を舞台に、ミナレ(小芝風花)が暴れまくるコメディードラマ。最終回は、ラジオの意義に向き合い、ミナレもパーソナリティーとしての自覚を持つという良い結末でした。でも、作中で一番成長したのは瑞穂(原菜乃華)かもしれないな。ジューンブライドラジオがどうなったのか知りたいので、特番とか作ってくれませんかねえ。

「ラストマン 全盲の捜査官」:良い
 こういう、ミステリー仕立ての連続ドラマは、最終回でコケることが多いので警戒していたのですが、なかなかうまくまとまりました。序盤は全盲という設定でかなり特別感が出ていたのですが、ハイテク機器が強すぎるせいか、見慣れてしまったせいか、話が進むにつれて普通に感じられてしまったのが惜しいです。まさかアメリカを舞台にした劇場版とか作りませんよね?

「藤子・F・不二雄SF短編ドラマ」:
 BSからのおすそ分けで、しかも短編集ですから、最終回も何もあったものではないのですが、毎話、マンガのコマと一致するラストシーンに何とも言えない余韻がありました。特に、「定年退食」が凄かった。当時は、人口増による食糧危機を想定して描かれた物語だったのに、人口減、高齢化の現在だとますます真に迫って来ます。藤子先生には何が見えてたんでしょうか。
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2023年06月23日

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース

 最高だったが、目が疲れて頭痛がしてきた。歳のせいでゲームの腕が衰えるのは致し方ないが、まさか映画についていけなくなるとは。しっかり休養を取り、体調の良いときに観ることをお勧めしたい映画だ。

 ディズニーやピクサーのおかげで、少々の高品質CGでは驚かなくなった私だが、この映画はヤバい。ドラムをぶっ叩きながらここまでのあらすじを説明するオープニングの時点で観念した。
 前作は、マルチバースを扱った映画の先駆けとなる作品だった。主人公であるマイルスの世界に、他の世界のスパイダーマンが集まってくる。それぞれのスパイダーマンが、全く異なる画風で描かれているのが面白かった。それから数年、現在はマルチバース設定が使われ過ぎて、新鮮さを失ってきている。そこで(?)「アクロス・ザ・スパイダーバース」は、マイルス自身が色々な世界を訪れるストーリーとなった。スパイダーマンのみならず、背景のすべてがいちいち異なる画風で描かれることになり、その独創性と物量に眩暈がしてくる。
 お馴染みのワイヤーアクションも描写が極まっており、動体視力の限界に挑戦するかのような迫力と目まぐるしさ。戦闘シーンも、ヴィランが空間を超越する特殊能力を駆使するため、複雑怪奇で見たことのないアクションになっている。
 物語も、全スパイダーマンを巻き込む大掛かりな事件に発展し、どう決着をつけたらいいのやら、全く想像がつかない。今回はすっかり悪役ポジションとなってしまったミゲルだが、本国では「スパイダーマン2099」のファンもいるだろうに、よくこんな使い方ができるな、と感心する。
 〈面白い〉より〈すごい〉が先に来てしまう映画体験は久しぶり。文句をつけるとすれば、二部作の前編のため途中で終わってしまうことくらいだ。

前作知識必要度 8
映像先端度 10
物語先端度 8
個人的総合 9
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2023年06月22日

毒舌〈Nintendo Direct 2023.6.21〉短評

 PlaystationとXboxを記事にしたからには、Switchを無視するわけにはいきますまい。任天堂には、ハードの性能差がゲームの面白さの差ではない、というところを見せつけていただきたいものですな。

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 3Dのキャラを再利用すれば安上がりなのに、わざわざドットで描き直していて酔狂ですな。そしてこのゲーム内容、どう見ても「くにおくんの大運動会」ですな。今人気があるIPと、ファミコンゲームのリバイバルを組み合わせるとは、Cygamesらしい儲け話でんな。

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 グッドフィールは、「毛糸のカービィ」など、任天堂のゲームで実績のある会社。満を持しての自社パブリッシングは、「ゴエモン」の精神的後継作といった感じですな。「Bloodstained」や「Mighty No.9」と近い境遇と言えそうですが、売れるかどうか見ものですな。

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 数々の派生タイトルをこうして集約してくれるのは、コレクターとしてはありがたいでんな。しかし、「メタルギア」をしゃぶり尽くさんとする阿漕さも感じます。サイコマンティスの読心術とか、どうなっているんでしょうな。そして何より、こんなパックがでたらΔ要らねぇ、となったりしませんかな。

 発表されるタイトルのほとんどがリメイクで、任天堂とそれ以外のメーカーとの差が歴然ですな。Switchでは、「ティアーズオブザキングダム」が動くんでっせ。
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2023年06月19日

令和に「燃えろ‼プロ野球」が顕現

 6月15日の阪神vsオリックス。試合は9回表を迎え、2-1で勝っている阪神は、抑えの湯浅をマウンドに送り、逃げ切りをはかります。対するオリックスは、頓宮のホームランで同点に追い付き、さらに杉本からも特大のホームランが飛び出し、劇的な逆転となりました。

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 まさにラオウという貫禄の杉本、がっくり膝をつく湯浅、思わず立ち上がってしまった阪神ユニフォームの少年、何もかもが絵になり過ぎています。

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 そして杉本はダイヤモンドを一周するわけですが、どこかで見たぞこの場面。

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 そう、ファミコンの「燃えプロ」です。本当にそっくりです。今のCGでリマスターした、と言ったら信じる人もいそうです(笑)
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2023年06月16日

岸辺露伴 ルーヴルへ行く

 テレビドラマと変わらない、という言い方は、映画評では否定的なニュアンスで使われることが多いが、この作品は別。高品質だったドラマの良さをそのまま映画へと引き継ぐことができている。

 ルーヴルに所蔵される、呪われた〈黒い絵〉をめぐって、奇怪な事件が起こる…。そんなストーリーにしては、驚くほど地味な映像だ。映画向けに派手なアクションを追加したりしないし、CGで豪華に見せたりもしない。シリーズ初の海外ロケだというのに、辛うじて凱旋門に寄る程度で、観光の要素もなく、肝心の美術館でさえもそんなにあちこち映らない。
 代わりに力が入れられているのが人物の掘り下げ。前半では、露伴の過去がじっくりと描かれ、事件の解決後は、〈黒い絵〉の作者の顛末を掘り下げる。ドラマの時には、宙ぶらりんで謎を残す結末が多かったが、映画ではきちんと締めることが意識されているように思う。そのせいで、余韻がやや乏しいのが残念。
 京香のキャラクターが相変わらず良い。原作では、一つのエピソードにしか出演しないらしいのだが、ドラマではすっかりレギュラーとして馴染み、ホームズとワトソンのような名コンビになっている。オリジナルのエピソードでシリーズを続けることすら可能ではないかと思えてくる。

ジョジョ度 4
スケール 3
安定感 8
個人的総合 6
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2023年06月12日

毒舌〈Xbox Games Showcase〉短評

 Xboxというハードは、日本ではほぼ存在感がありませんな。ですが、〈Xbox Games Showcase〉は意外と見どころがありました。〈Playstation Showcase〉からさほど時間が経っていない割に、新規発表のタイトルが多いのは感心しましたな。PS5でも発売予定のタイトルが多いのはありがたいですが、このイベントでそれはええんですかな。

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 背中に怪生物をしょった少年が、孤独に絶壁を登り続けるゲーム。この空気感は、明らかに上田文人のフォロワーですな。開発が「ライフイズストレンジ」のDON'T NODとくれば、しょうもないパクりゲーで終わることはないでしょう。ぜひとも買わせていただきまっせ、PS5で

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 期待の大型DLCは、9月に発売決定。キアヌ・リーブスの続投に加え、イドリス・エルバも追加出演と、ますます豪華ですな。シナリオの追加だけでなく、エンディングの追加や基本システムの見直しも行われているそうで、これまた楽しみです。PC版は、ついにHDDがサポート外となったそうで、もうPS5でやるしかないですな。

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 「ペルソナ6」がいつまでも出ないと思ったら、こんなのを作っていたんですな。ファンタジーRPGの新作ですが、見れば見るほど「ペルソナ」風です。ファンなら、魔法の中に「マハタルカジャ」があるのを見逃しませんな。もしかすると世界観もつながっているのかも。こちらはPS5版がアナウンスされておらず、Xbox独占タイトルなのかも知れませんな。

 新作ラッシュも「FF16」で落ち着くかと思いきや、秋から忙しくなりそうですな。ほなまた。
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2023年06月11日

創造的すぎるゼルダ 「ティアーズ オブ ザ キングダム」その4

 このゲームの場合、ストーリーのネタバレはもちろんのこと、謎解きの答えを明かしてしまうのも無粋というもの。そこで、今回は小ネタの紹介となります。

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●カバンダ
 どこにでも現れ、看板を持っている怪しい男。「邪魔をしないで」とか言うし、看板はウルトラハンド対象外ということもあって、しばらくはスルーを決め込んでました。
 しかし、何度目かの遭遇で、看板の形が毎回違うことに気付き、ようやくこれもパズルだと気が付いた次第です。気前よく報酬をくれるのはありがたいのですが、場所によっては意外と難易度が高く、発想力が問われます。

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●最強の武器
 祠の謎解きなどで、ウルトラハンドやモドレコを駆使すると、正攻法とは異なるズルいクリア方法が可能、というのは良く知られています。ですが、まさかミニチャレンジでもズルができるとは思いませんでした。
 「最強の武器!?」では、武器マニアの依頼人から、ライネルの角を使った武器を見せてほしい、と頼まれます。さあ困った。ライネルは、前作「ブレスオブザワイルド」にも出ていた強敵です。どこかのタイミングで一頭くらいは倒したと思いますが、何しろ勝てないので、最後まで避けて通っていたくらいです。
 そんなわけで、このミニチャレンジもクリアできない見込みだったのですが、別のミニチャレンジで敵の砦を攻略したところ、なんと、ライネルの武器が手に入ったのです。そして案の定、これを見せたらクリアできました! すっかりライネルを倒したと思われていて心苦しいですが(笑)
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2023年06月07日

65/シックスティ・ファイブ

 驚くほど客が入っていないのは、映画館の値上げのせいだけじゃないだろう。SFとして期待すると裏切られるが、恐竜のホラー映画と思えばなかなか楽しめる。

●始まり
 ミルズは、宇宙の各地を調査する任務に就いていたが、事故により不時着。そこは、恐竜時代の地球だった。ミルズは、唯一生き残っていた少女のコアとともに、地球からの脱出を目指す。

●ゲーム
 「ジュラシック」シリーズの恐竜からは、古く偉大な生命に対する畏怖のようなものが感じられたが、こちらは恐竜が純粋に凶悪なモンスターとして描かれており、まるでゲームの「ディノクライシス」のようだ。
 ミルズは、難病の娘の治療費のために、高給な宇宙調査の仕事に就いた。しかし、帰りを待つことなく娘は病死。コアに娘の姿を重ね、ミルズは必死に守ろうとする。この設定は「ラスト・オブ・アス」を思い出させる。

注:以下に結末を含むネタバレあり

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2023年06月03日

試遊会では作り手を見る

 「3密」という言葉も、いつからか聞かれなくなりました。
 私の勤務校では、学生が作ったゲームを互いにプレイする、〈試遊会〉が長らく中止されていたのですが、このたび久しぶりに復活しました。どんなゲームが出来たのか、はもちろん気になりますが、私は作り手の態度を見るようにしています
 例えば、ゲームがよく出来ていて好評だった学生。大いに喜んでいてほしいですね。誰かを楽しませることができたという充実感は、プロを目指す動機となることでしょう。もちろん、就職では給料などの条件は無視できませんが、お金だけが理由で働くようでは、この仕事は続かないと思います。
 一方、多くの学生は不本意な出来に終わります。プレイヤーからも色々指摘されることでしょう。そんなときは、格好つけずに大いに悔しがってほしいですね。成長するためには、次は同じ間違いを繰り返すまい、という固い決意が必要です。人のせいにしたり、ふてくされたり、言い訳ばかりしている奴は成長性がないので、就職活動するまでもなく見込みがありません。
 自分を育てることができるのは自分だけ。どれくらいの学生が気づいてくれているでしょうか。
posted by Dr.K at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 講師の独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする