2023年07月28日

時間が溶ける凶悪パズル 「Dorfromantik」

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 Switchでインディーズゲームのセールをやっていたので、「Dorfromantik」を買ってみました。
 このゲームは、六角形のパネルを並べて、ミニチュアの田園風景を作っていきます。のんびりした音楽が流れ、川ができれば船が通り、線路を作れば汽車が走ります。何かを争うこともなければ、時間制限もありません。ゆったりと癒されるゲームなのでしょうか。

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 ところが、ある時を境に、このゲームは凶悪な本性を見せます。
 手持ちのパネルをすべて使い切ることが、このゲームの終了条件です。しかし、六辺すべてをマッチさせる〈パーフェクト〉を達成するとパネルが追加されます。さらに、時々出てくるクエスト(森をいくつ以上つなげろだの、家を指定数並べろだの)を達成するとこれまたパネルが追加。つまり、うまくプレイするとどんどんパネルを増やして終了を遅らせることができ、ハイスコアが達成できるという訳です。
 そのためには、ベストの位置にパネルを置くべく、一手一手を真剣に考えなければなりません。結果、一回のプレイが2時間近くにまでなり、冗談抜きに時間が溶けていきます。

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 それにしてもこのゲーム、なんだかアナログゲームの手触りがするんですよね。それも、「カタンの開拓者」など輸入物の由緒あるボードゲームの。タイトル画面から、開発者の情報を見て納得しました。ドイツの学生4人で開発したそうです。さすがボードゲームの本場、その感覚はコンピュータゲームの開発にも生かされているんですね!
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2023年07月23日

松山洋社長がお怒りのようです

 短期間に二度も炎上するなんて、他にはプラチナゲームスの神谷ディレクターくらいでしょう。

 サイバーコネクトツーの説明会を知っている身からすると、平常運転としか言いようのない発言です。
 むしろ驚くのは、読み手の理解力のなさ。「PS5は普及していないのだから別に良いのでは」「スマホゲームなどを目指すのであれば不要」「FF16はそれほど名作ではない」 いやいや、それは問題を読み違えています。
 ゲーム業界を志すのであれば、最新のハード、最新のゲームを知っておくべき、というのは当たり前の話です。例えば、今から10年ちょっと前、東京ゲームショウをグリーやモバゲーが席巻し、これからは携帯電話だ、コンシューマの時代は終わる、と言われていたことを憶えていますか。その頃、低スペックなブラウザゲームの開発に明け暮れていた、Web系のエンジニアたちはその多くが去りました。なぜなら現在、スマホが高性能になり、「原神」のようにPCやゲーム機に匹敵するゲームが開発可能になったからです。一時の不振にめげず最新の技術を追い続けた開発者が結局生き残ったのです。どれくらい未来になるかはわかりませんが、いずれPS5並みの性能を持ったスマホが出現し、対応するゲームが作られるようになります。ゲーム業界を志す者は、未来のゲームの準備のために、最新のものをいちはやく見ておく必要があるのです。
 私は、「お金がない」発言もかなり疑わしく思っていて、優先順位が間違っている人が多いんじゃないかと。あなたがプレイしている、某ゲームへのガチャを何度か我慢すれば、PS5買えるよね? というケースを何度か見ています。
 業界を目指す学生たちは、松山社長にとって後輩であり同士です。だからこそ手加減や忖度などしません。「言い方が悪い」から聞かないなどという甘ったれたお客様たちなど眼中にないはずです。

 これ以上はない愛憎の表明で面白かったです。
 松山洋は、ジブリが大好き。「ソラトロボ」や「戦場のフーガ」には、その憧れが前面に出ていると思います。
 一方で、サイバーコネクトツーは版権ゲームの会社です。主力製品は「ナルト」や「鬼滅の刃」で、自分たちの主張をゲームに込めることは許されず、原作の美点をユーザーに伝えることに徹してきました。「エンターテインメント」とは、客が求めるものを提供する職人的なもの作りを意味します。本当にやりたいことは形にせず、エンターテインメントを通すことにプライドを賭けてきたとも言えます。
 ところが、「君たちはどう生きるか」はやりたいことをやり通した映画でした。そこにエンターテインメントとしての気配りはありません。大好きなジブリだからこそその事が許せないのでしょう。松山洋の怒りはもっともです。
 なお、私はただのエンターテインメントには飽き飽きしていますので、「君たちはどう生きるか」を評価しています。
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2023年07月21日

未来イカ革命「Splatoon3」 その9

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 アイスフェスは〈バニラ〉の勝利。私はストロベリー陣営でプレイしたが、最低の戦績に終わった。ここのところ、「ティアーズオブザキングダム」ばかりプレイしていたために、ジャンプしようとしてマップを表示してしまう間違いが頻発。まともに操作できないのでは勝てようはずもない。

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 気晴らしに新しい武器でも使ってみるか、と鉛筆を装備してみた。長射程で威力もあるが、5発ごとにリロード(溜め)が必要というテクニカルな武器だ。これでうまくなれば相当かっこいいな、と思うが、使っているプレイヤーをほぼ見かけない。

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 広場は相変わらずイラストでにぎわっているが、なんちゅー懐かしさ。これは「NIGHT FLIGHT」の衣装ですな。私は「シークレットシークレット」の方が好きでしたな。
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2023年07月18日

K.G.F

 昨年公開されたCHAPTER2が、あの「RRR」を越える興行収入を叩き出したということで、注目されているインド映画。日本では先週から、CHAPTER1と2が同時に公開された。続けて観ようとすると5時間以上になる超大作だ。

 主人公のロッキーは、10歳で母を亡くし、以来ギャングの組織で育った。長じてからは殺し屋として便利に使われるが、彼の野望はすべての権力の頂点に立つことであった。ロッキーは、K.G.Fと呼ばれる秘密の金鉱に奴隷を装って入り込み、反乱を起こして富と権力を手中にするが…
 セガは直ちにこの映画の権利を獲得し、インド版の「龍が如く」を作るべき。一対多の状況で無双していくバトルは、桐生一馬に全くひけをとっていない。また、ロッキーのファイトスタイルは、その場で適当に鈍器を拾って殴るというもので、「龍が如く」のシステムと親和性が高い。そのうえ、大げさなスローモーションが、ヒットストップのような効果を上げていてこの点でもゲーム的である。
 とにかく暴力に次ぐ暴力なので胃もたれがするが、そんな中で現代のシーンが息抜きになっている。ロッキーは歴史から抹殺された犯罪者であり、その唯一の記録となる手記を書いた著者が、今それを語っているという形なのだ。著者も、聞き手となるジャーナリストも真剣だが、その場でただ一人一般人であるお茶汲みの男が、ハラハラドキドキ感情移入しているのが面白い。一方で、著者の語りが先走り、時系列に沿わないエピソードが混ざったりするため、ストーリーは必要以上に難解で、よくわからないけど敵を殺したからヨシ! 程度の理解で進むことがままあった。徹頭徹尾ヤクザなので、「RRR」みたいに誰にでも勧められる話ではない。同じ抗争劇としては、「サーホー」の方がチャラくて陽気なので好みである。

暴力度 9
イキリ度 10
明解度 4
個人的総合 5
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2023年07月17日

BitSummit Let's Go!!

 京都で開かれる、インディーズゲームの展示会BitSummitに行ってきました。最近は、コロナ禍による、オンライン開催、出展制限、入場制限などがあったため、足を運ぶのは4年ぶりとなります。
 それにしても盛況、というかすっかりメジャーなイベントになっており、入場前の行列も過去最長? 人気ブースは東京ゲームショウを思わせる待機列ができています。その一方で、クリエイター同士が立ち話をするような、身内イベントの雰囲気も残っており、変化の過渡期を感じました。
 なお、最も人を集めていたのが配信者のステージだったのですが、試遊のジャマにしかならないのであれはやめた方がいいです。

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posted by Dr.K at 20:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 講師の独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月11日

「インディ・ジョーンズ」を一気に観る

 公開中の新作を観る前に、過去作をおさらいすることにしました。何しろ最後の「インディ・ジョーンズ」、心して準備せねば。

「レイダース 失われたアーク」

 まず、映画史に残る冒頭の遺跡探検。大岩のトラップなんて、何度真似されたかわかりませんね。おそらく、シリーズ化するつもりはなかったのでしょう。ジャングルに雪山に砂漠に海。やりたいことをこれ一作に全部詰め込んでおり、大変な充実度です。ようやく手に入った聖櫃が、飾られることも調べられることもなく、機密として倉庫に眠る結末もシニカルで好きです。

アクション性 9
グロ度 7
オカルト度 7
個人的総合 9

「インディ・ジョーンズ 魔宮の冒険」

 ヒロインのウィリーがコミカルな立ち回り。また、幼いショート・ラウンドが活躍するせいか、対象年齢が下がったように感じます。一方で、宮殿の料理のグロさ、虫の気持ち悪さ、儀式の恐ろしさなど、インパクトのある場面は枚挙にいとまがありません。そして、これまた映画史に残るトロッコアクション。これはもう娯楽のフルコースです。

コミカル度 8
グロ度 10
オカルト度 7
個人的総合 9

「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」

 冒頭はインディの青年期で、ハリソン・フォードじゃないんだ、とびっくりします。ヴェネツィア、オーストリア、ベルリン、そして砂漠へとスケール感は壮大。しかも、ショーン・コネリーが演じるすっとぼけた親父と一緒というところが面白いです。最後の遺跡では、短いながらも謎解きが練られた試練に感心し、遺跡の外観がCGでもセットでもなく実在のものである点もポイント高い。ラストシーンの美しさも特筆ものです。

アクション性 8
ドラマ性 9
オカルト度 8
個人的総合 10

 なお、「クリスタル・スカルの王国」については、公開時にレビューを書いておりますので、こちらをどうぞ。
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2023年07月09日

創造的すぎるゼルダ 「ティアーズ オブ ザ キングダム」その5

 困ったことに、敵にやられてゲームオーバーになることが増えてきました。そこで、メインストーリーの進行を止めて、各地のミニチャレンジを消化しながら、装備の強化や金策につとめることにしました。そんな気ままな探索の中、よく出来ている、と感心する場面にいくつも遭遇しましたので、一部を紹介します。

●龍
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 地下への穴を見つけたので、飛び込んでみると、登って来る龍と鉢合わせして心臓が止まりました。あの龍、地下と行き来してたのかよ。体にしがみついて、そのまま上空へと追いかけます。
 さて、龍の背中も探索対象なのですが、空高くを飛んでいるので、何かの拍子に落ちてしまうと再び乗るのは容易ではなさそうです。ところが、龍のまわりには上昇気流が発生しており、ミスしてもリカバリーができるのです。この親切さには感心します。

●イーガ団
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 不気味かつ強敵だったイーガ団がまさかの再登場。「ブレスオブザワイルド」で一番難しかったのが、イーガ団へのステルス潜入だったこともあり、今作でも警戒してました。しかし、「ティアーズオブザキングダム」では、ずいぶんコミカルで可愛いですね。地下世界は不気味なので、会えるとなんだかホッとします。
 頭領のコーガ様は、ゾナウギアを活用した自作メカで戦いを挑んでくるのですが、これがいい塩梅に、クラフトの見本になっているんですね。ウルトラハンドを渡されたところで、自分であれこれ作ってみるほどの創造性は、ライトなユーザーにはなかなかないと思うんです。でも、コーガ様を追っていれば、ブループリントも設計図も手に入ります。本当に親切(笑)
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2023年07月07日

怪物

 いい映画なんだろうけど、観たタイミングが保護者面談の直前というのは最悪
 早織は、小学生の湊と暮らすシングルマザー。最近、湊の様子がおかしく気がかりだったが、保利先生からの暴言、暴力があったと聞き、学校へと乗り込む。早織は教員たちの対応に怒りを募らせていき…
 予告編でも、「怪物だ〜れだ」の掛け声が印象的だったこの映画、〈怪物〉とは生徒を虐待する教師か、それともモンペと化す母親か、あるいは教師を陥れる生徒たちか、状況は二転三転し、物語の視点も変化して極めてスリリングだ。
 とはいえ、やっぱり語るとすればあの結末になるだろう。

注:以下にネタバレ含む

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2023年07月06日

ドラマ「シッコウ‼」の始まり方が凡庸過ぎる?

 新番組「シッコウ‼ 犬と私と執行官」を観た。
 ひかり(伊藤沙莉)は、犬好きの女性。ペットサロンに転職が決まり、新しいアパートに引っ越してきたところ、怪しい男と遭遇する。その男、小原(織田裕二)は、ひかりの隣の部屋の住人に退去を迫る、執行官だったのだ。
 職業もののドラマも、いいかげんネタが尽きてきた感じがあるが、なるほど、執行官は新しい。ひかりは、風変わりな小原を怪しみつつも、徐々に執行官という職業を理解していく。そして結末、なんと、ひかりの勤めるペットサロンが小原に執行予告されて夜逃げ。小原は、職を失ったひかりを強引に執行補助者に起用するのだった。今後は、小原とひかりのコンビが、色々な現場に遭遇していくのだろう。
 それにしてもこの結末、なんだか既視感が凄い
 実は、先月最終回を迎えた「それってパクリじゃないですか?」とそっくりなのだ。こちらのドラマでは、月夜野ドリンクの開発部に勤める藤崎(芳根京子)が、特許をめぐるトラブルに巻き込まれる。親会社から派遣された弁理士の北脇(重岡大毅)は、かなりの変人だったが事件を見事に解決。今後のために、月夜野ドリンクは知財部を発足させることになり、藤崎は開発部から異動させられ、上司として北脇が現れた。
 素人の主人公にまず外から珍しい職業を眺めさせ、次いで主人公自身をその職業に就ける。職業ものドラマのテンプレなのかもしれないが、あまりにも似たパターンを続けて観ることになってしまった。伊藤沙莉は曲者なので、ここからだんだん個性的なドラマになってくれることを期待したい。織田裕二は変過ぎるので、これ以上やらなくていいぞ。
posted by Dr.K at 22:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 馬鹿は黙ってろ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月02日

憧れを超えた侍たち 世界一への記録

 WBCのドキュメンタリー映画。好評のため公開が延長されたので観てきた。

 まず、多彩な観客に驚く。大谷目当てで来ている(?)若い女性。運動部と思しき少年のグループ。プロ野球ファンのオッサンも居れば、オバサンもいる。さらには家族連れも目立つ。野球はまだ充分に国民的スポーツなのだと思い知った
 試合の中継は連日高視聴率を記録し、スポーツニュースは毎日トップで報道し、まとめの特番もいくつも作られた。テレビでさんざん見たはずのWBCを、今さら映画館で観る価値があるのだろうか。
 それがあったのである。開幕、選手を選出する会議で、まずおおっとなった。この段階からカメラが入っていたのか! 栗山監督の掲げる理想に感心させられる。試合の映像は思ったより少なく、カメラは主に舞台裏を追いかける。そのため、見た事のない場面が多かったのが良かった。特に、準決勝のメキシコ戦、打たれた佐々木がベンチ裏でうずくまるシーンは痛切だった。

 大谷VSトラウトで決着がつき、まるで映画と言われたWBCが本当に映画になった。タイトルはもちろん大谷の名言から採られているし、エンドロール後のオチまで大谷がつける。出来過ぎである。

栗山監督 9
大谷選手 10
源田選手 10
個人的総合 7
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