2023年10月29日

「君たちはどう生きるか」を観たあとで読むべき本

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●Switch 9月号 ジブリをめぐる冒険
 映画の公開からしばらく経って、パンフレットが発売されたのですが、あまりに内容が薄いと不評です。
 とにかく不思議な物語でしたから、内容の解説や出演者の感想が見たい。そんな人にピッタリなのが、この特集記事。鈴木敏夫、主要キャストの声優、主題歌の米津玄師、作画監督の本田雄、と一通りのインタビューが載っています。アオサギ役の菅田将暉がいないのは惜しいですが、パンフレットに求められていたであろうものが、ほぼここにあります。

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●失われたものたちの本
 「君たちはどう生きるか」の本当の原作と言われている児童文学。
 先日読了しましたが、いやはや驚きました。主人公の境遇と言い、城で待ち受ける王様と言い、アオサギを彷彿とさせるねじくれ男と言い、何もかもそっくりではないですか。映画は、この物語を宮崎駿の世界観に置き換えて作ったとしか思えません。エンドロールに原案として載っていないのが不思議なくらいです。
 大阪梅田の丸善ジュンクでは、この本が「君たちはどう生きるか」関連書籍として置いてあったのがさすがです。
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2023年10月28日

「Cyberpunk2077」その10 インパクト大統領

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 「仮初めの自由」の新エリアであるドッグタウンは、ハンセン大佐が軍事力で独裁している地域。アメリカ政府やナイトシティの大企業の力が及ばない無法地帯だ。怪しい雰囲気の闇市は活気に満ちていて、グラフィックの密度もえげつないことになっている。
 この地に大統領機が墜落し、救出に向かうというのが最初のミッション。女性の大統領らしいが、無事だろうか。

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 無事どころじゃなかった。怪我がないばかりか、自ら銃を持って敵へ突っ込んでいく。その勇猛な姿には強烈なインパクトがある。これもう助ける必要ないんじゃね? 守られる女性などもう古い、これもまたポリコレか。
 しばらくの間、大統領に引率される形で、ゲームは一本道で進む。それが終わると、ドッグタウンから外へ自由に行き来できるようになり、いつものオープンワールドが再開する。大統領もご無事のようなので、外のミッションもつまみ食いしながら、のんびり進めていくことにしよう。
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2023年10月27日

アサイ「木根さんの1人でキネマ」10巻

kine10.jpg 約2年ぶりとなる新刊です。
 連載のペースが落ちたためですが、内容にもその影響が出ているように思います。本数が増やせないので、一つのエピソードに詰め込んじゃえ、ということなのでしょうか、一度に大量の映画ネタが投下される話が目立ちます。私はそこそこ映画を観ているつもりですが、ついていけないことが増えました。そうなってくるとやはり面白くありません。
 一方で、「トップガン マーヴェリック」回は非常に面白い。やはり「木根さん」は、一本の映画をじっくり料理するスタイルが良いと思います。「RRR」が採り上げられなかったり、「ゲームをもとにした映画はダメ」という話が掲載された後で「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」が公開されたりと、色々とタイミングを逸した感じになっているのも何だか残念です。
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2023年10月22日

アリスとテレスのまぼろし工場

 最後まで観たけど、アリスもテレスも出やしねえ!
 冬の日、中学生の正宗が友人と勉強していると、近くの製鉄所が爆発事故を起こす。驚く政宗たち。さらに、空にひび割れができ、製鉄所の煙が龍のような姿をまとって、ひび割れを修復していくではないか。以来、この町は世界から隔絶され、いつまでも冬に閉ざされている。
 時間が止まった町では、正宗たちはいつまでも中学生で進級もしない。住人たちは、時間が再び動くまで変化を起こさないことが肝要と考えたらしかった。生徒たちは自分確認票で、変化がないよう見張られている。

注:以下にネタバレ含む

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2023年10月21日

「Cyberpunk2077」その9 バグも新規追加

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 UIがガタガタになり、コントローラーも震えている。これは、Vがジョニーの幻に悩まされる場面で、一時的に発生するエフェクトだ。ところが、Ver.2.0ではプレイヤーが特定の選択をした場合、このエフェクトが終わらなくなるというバグがあった。私も見事にひっかかり、画面は霞んで気持ち悪いし、ミニマップは震えて見えないし、コントローラーも振動しっぱなしですぐ電池が切れるし、と散々だった。何よりひどいのが、バグと気づかなかったこと。寄り道ばかりしているタイミングだったので、本編を進めればこのエフェクトも止まるのかな、と呑気に構えていたのだ。二度目のプレイなのに愚かしい。数日後、アップデートが配信されて挙動は正常に戻った。

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 アラサカのエレクトリカルパレード(違)も二度目。PS5なので、初回と違ってスムーズに進められるが、ここにもやっかいなバグが発生していた。特定の個所でドローンを破壊すると、エラーになってゲームが落ちるのだ。何度やっても落ちるため、そのエリアはドローンを撃たずに走り抜け、どうにか進むことができた。それにしても、このステージのボス、オダは強い。ひょっとするとアダム・スマッシャーより強い。刀ガードに相手を怯ませる効果があることに気付き、どうにか倒すことができた。

 ついにソングバードから通信が入り、物語は新エリアのドッグタウンへ。「仮初めの自由」はここからだ。
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2023年10月20日

アステロイド・シティ

 いや〜、笑った笑った。まさかウェス・アンダーソン監督作品でこんなことになるとは。のれなかった「フレンチ・ディスパッチ」とは違い、ニッコニコで映画館を出た。

 この監督の映画は、コメディ要素を多分に含んでいる。しかしながら、ゲラゲラ笑うような場面はほぼなく、くすりとする程度というのがいつもの感覚だった。
 ではなぜ「アステロイド・シティ」に限って笑えたのか。それはもう完全に個人的な理由による。
 時は昭和50年代。子供だった私は、当時流行っていたUFO目撃情報の特番に夢中になっていた。にもかかわらず、私は宇宙人が苦手だった。「未知との遭遇」の影響だろうか、番組に出てくる宇宙人の姿はほぼすべてがグレイ型で、これがもうとてつもなく怖かったのだ。
 「アステロイド・シティ」は、UFO目撃の原点であるロズウェル事件そのままの舞台で話が進む。どこかで見たようなUFOが飛来し、宇宙人が現れるのだが…
 この宇宙人てんで怖くないのである。衆人が注目する中、こそっと隕石を拾って持ち帰る、その仕草の間抜けなこと! 「アステロイド・シティ」は、同名の舞台劇のメイキングと劇の内容とを交互に流すという形式であり、従って現実感など初めから無く、作り物臭い宇宙人はキュートなオモチャのような様相を呈する。
 長年の苦手意識を一瞬で払拭してくれたこの物語には感謝しかない。この一点のみで私は「アステロイド・シティ」が好きと言える。

宇宙人 10
三人の天使 8
ロードランナー 7
個人的総合 6
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2023年10月11日

「Cyberpunk2077」その8 仮初めの自由を目指して

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 待望の拡張パック「仮初めの自由」が配信開始。それにともない、「Cyberpunk2077」本編もver.2.0へとアップデートされた。変更が大きすぎるためか、ニューゲームでのプレイを推奨、などというとんでもない情報が聞こえてきた。
 そう言えば、私は、このゲームの初回プレイをPS4で、数々の不具合に見舞われながら済ませたのであった。これを機会にPS5で冒頭から見てみるか。というわけで、新たに男性・コーポの主人公を作って再スタートした。「ブレードランナー」のロイ・バッティをイメージして作ったらけっこううまくいった。

 「仮初めの自由」へ進むことができるのは、ストーリーの後半。遠い道のりだと思っていたのだが、それほどでもなかった。PS5になり、動作が全般にスムーズ、かつロード時間が短くなっているので、とても快適。リトライの回数も大幅に減り、もしかすると敵の強さもマイルドに調整されているかもしれない。
 ゲームは、強化まわりが大幅に仕様変更されている。衣類を拾ったので着替えてみたのだが、驚いたことに防御力のパラメーターがない。これまでは、服装に防御力が設定されていたのだがそれが廃止され、純粋に見かけが変わるだけのアイテムとなった。防御力は、サイバーウェア(人体改造)で強化する仕組みになり、これまでよりもリパードク(医師)に通うことが増えそうだ。また、スキルツリーの種類や条件も一新されている。

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 画像は、ある雨の日の風景。映画「ブレードランナー」では、柄が蛍光灯でできた傘が印象的だったが、こちらのサイバー傘もなかなか情緒がある。通行人が傘をさすようになったのも、バージョンアップの成果だろうか。
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2023年10月09日

「葬送のフリーレン」第1話 冒険の終わり

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 フリーレンは、かつて魔王を倒したパーティーの魔法使い。エルフゆえの長命のため、仲間は先に老いて亡くなっていく。残されたフリーレンは、弟子のフェルンとともに、思い出をたどる旅に出る… ゲームの「勇者死す。」を彷彿とさせる設定だが、あんな意地悪いストーリーではあるまい。ぜひ観よう。
 初回は、「金曜ロードショー」の枠を使って4話分を一挙放送した。もちろん宣伝を狙ってのことだと思うが、内容から見ても、非常に効果的だと感じた。
 というのは、この物語は冒頭だけが特殊だからである。何十年かが一瞬に過ぎ、感情の波が押し寄せる派手なエピソードはここだけ。以降は、穏やかな時の流れとともに、低いテンションを保ちつつ、しみじみとしたエピソードが展開する。「ヴァイオレットエヴァーガーデン」ほど露骨に泣かせることもない。主線が細く、色味の薄い絵もこの雰囲気を後押しするかのようだ。疲れないのでいつまでも観ていられる。
 それだけに、トゲと起伏があり過ぎるオープニングは合っていないように感じた。YOASOBIにしては珍しくハズしたか。
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2023年10月07日

転生したらオランダだった件 「Bomb Rush Cyberfunk」

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 「Bomb Rush Cyberfunk」は、オランダ製のアクションゲーム。未来のアムステルダムを、スケボー、インラインスケート、BMXで駆け、トリックをキメてコンボをつなぎ、指定のポイントでグラフィティを描いて縄張りをアピールします。もう分かりましたね。昔セガから出ていた「ジェットセットラジオ」そのまんまじゃないですか!

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2023年10月01日

グランツーリスモ

 ゲームやレースの知識が要るかも、と少し警戒していたが、「グランツーリスモ」はプレステのレースゲーム、くらいの認識で十分楽しめた。
 この映画は、ゲームのトッププレイヤーを実際にレーサーとして育成する、「GTアカデミー」という実在したプロジェクトを題材にしている。

 アカデミーのメンバーに選ばれたヤンと、嫌々ながらコーチを引き受けることになったジャック。物語は、この二人に焦点を絞って進む。ゲームの達人からレーサーへ、乗り越えなければいけない課題が次々に提示され、その過程で二人の関係が好転していくという王道のストーリー。レースシーンではゲーム的な表現をうまく利用していて、迫力とわかりやすさとを両立させている。
 気になる事はたくさんある。そもそも、このプロジェクトが承認されるまでが最も大変だったはずで、ダニーの背景がもっと知りたくなる。また、アカデミーでは、仲間となるゲーマーたちが登場する。彼らについてももう少し掘り下げて欲しい。そして、ヤンと恋人との紆余曲折も描こうと思えば描けたはずである。
 しかし、この映画はそれらをばっさり切り捨てた。この取捨選択のおかげで、間口の広い娯楽作になった。とにかくテンポが良くて見やすいのだ。もしこれが完全なフィクションだったら、うまく行き過ぎてご都合主義のシナリオだ! と煽られかねないが、実話ベースなので文句のつけようがない。脱帽だ。

シンプル度 9
王道度 8
レース描写 8
個人的総合 9
posted by Dr.K at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする