13歳のバスティアンは、一家で夏休みを過ごすために、フランスからはるばるカナダへ。湖畔のロッジは知り合いのおばさんの家でしたが、そこには16歳のクロエがいました。バスティアンは年上のクロエに惹かれ、性の目覚めやら飲酒やら、背伸びした体験をしていきます。
さすがフランス映画、格別に雰囲気のある映像なのですが、序盤で突然それが台無しになります。バスティアンはゲームやアニメを好むインドア派。テレビで何やらアニメを観ているのですが、その音声が「進撃の巨人」なんですね。画面は別のものに書き換えられていますが、日本語で馴染みの声優の声が聞こえてきてムードを損ねます。フランスでも「進撃の巨人」は大人気なんでしょう。
しかも、そのアニメがストーリーに関わりを持ってきます。「進撃の巨人」では、エレンが手を噛んで血を流しますが、バスティアンは、痛みや防衛本能があるから、実際はそんなことはできないと主張します。一方、クロエは可能という立場のようです。ストーリー中、二人は何度か手を噛むことを試します。それは、リストカットに近い自傷行為となります。
クロエは、思春期らしく死に魅入られています。湖では死んだように浮いてみたり、死んだふりをする遊びをしたり、幽霊の噂を触れて回ったり。湖畔の陰鬱な風景もあいまって、キラキラした少年少女の恋愛、とは程遠い雰囲気です。
忘れられない夏休みを過ごし、どんな別れが描かれるのだろう、と思っていたら予想外の結末が待っていました。二人にとっては悲劇ですが、同時にこの夏が永遠のものになったと言えるかもしれません。ありきたりに見えたここまでがすべてフェイクであり、綿密に伏線が張られていたことに感心しましたが、この監督人の心とか無さすぎではないでしょうか。
思春期度 10
内向度 8
完成度 10
個人的総合 6
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