2024年05月30日

「銃夢 火星戦記」10巻

kaseisenki10.jpg 掲載誌が廃刊になり、継続が危ぶまれていたが、思ったより早く続きが出て一安心。

 あちらへこちらへと放浪し、そのたびにキャラも増えてきた「火星戦記」だが、この巻は折り返し点となるらしく、話をまとめ始めた気配がする。
 ジャポロとの戦いは決着。クアンは再登場の機会がありそうでひとまず良し。
 陽子は機甲術の才を見出され、ボディを換装することに。長らくの幼児姿も見納めとなりそう
 一方のエーリカは、ゾーイとの戦いに挑む。ムスター編の続きとなる展開が描かれるとは思わなかったので、びっくりするやら懐かしいやら。
 2巻の時制に戻るのも、意外と早いかもしれない。楽しみだ。
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2024年05月28日

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章

 楽しみにしていた後章の公開が始まった。原作と異なる結末と宣伝されていたが、私は読んでいない。果たしてどの程度違っているのか。

 前章が表とすれば、今回は裏の話。隠されていた侵略者狩りが明るみに出て、民衆の間でも和平派と対立派の活動家が激突する。さらには、侵略者にも日本政府にもそれぞれ思惑があった。混沌とした状況の中、刻々と〈人類滅亡の日〉が近づいてゆく。
 物語の特徴として、これらの真相を観客には伝えるが、門出とおんたんは知ることができない。結果、主人公だったはずの二人は、活躍の機会を奪われる。なるほど、ただの大学生が世界を救う、なんて話はリアルではない。だからといって、主人公格の人物に何もさせないというのは、思い切った決断だと思う。一般大衆は破滅を受け入れ、その後をただ生きていくしかない。私たちはすでに、地震で、コロナで、他国の戦争で、それを経験してきている。

(注:以下にネタバレ含む)

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2024年05月24日

未来イカ革命「Splatoon3」 その18

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 「明日世界が終わるとしたら?」という物騒なお題のフェスは、〈やりたいこと全部やる〉派が勝利。とはいえ、私が選んだ〈いつもどおり過ごす〉派も肉薄している。こんなに競ったフェスは初めてでは。

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 初めてと言えば、試合の評価で〈バトルNo.1〉を獲ったのも初めて
 とある試合で、猪突猛進型のチームに遭遇。自陣をほとんど塗らず、敵地へまっしぐらというメンバーばかりで、私もつられていつになく前へ出た。「スプラトゥーン」の常として、一人だけ前へ出れば的にされてしまうが、複数で出れば相手の攻撃も分散しがちで意外と耐えられるものだ、と実感した。
 以降、積極的にうって出たところ、いつもならさっぱりのキル数がみるみる上昇し、面白いように勝つことができた。突然うまくなるはずはないので、チームのめぐり合わせがよかったのだろう。

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 最後に、偽水木先生の総括。フェス中お見掛けしなかったが、こんなものを用意されていたとは。終了後の広場も要チェックだな。
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2024年05月23日

「鬼滅の刃 柱稽古編」2 水柱・冨岡義勇の痛み

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 アニメ4期となる「柱稽古編」は、話数が少ないためか中途半端なタイミングで始まった。
 1話は不死川と伊黒のお披露目、そして「刀鍛冶の里編」の展開を思い出すための話となっており、今回が実質のスタートと言えよう。
 クローズアップされたのは、なぜか柱の中でただ一人普通な名前の冨岡。最初期のキャラクターの背景がようやく明かされた。錆兎(さびと)が姿を見せたのは何年ぶりだろう。1期のエピソードを持ち出すことで視聴者を初心に戻し、無惨との戦いに向けて視聴者もまた稽古をつけられているようなストーリーだ。
 もともと心の声が多い炭治郎だが、今までは、目まぐるしいバトルの解説として機能していた。だが今回、橋の上での冨岡とのやりとりはやり過ぎだ。想像の余地を一切奪う心の声は、視聴者を低く見積もり過ぎており、映画学校だったら0点のシナリオである。ただ、炭治郎の思考がズレていて、ギャグになっていくあたりはさすがにジャンプ漫画だな、とも思う。

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2024年05月20日

「MAX マジックマーカーと兄弟の絆」

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 My Nintendo Storeのゴールデンウィークセールで、100円になっていたので購入。横スクロールのアクションパズルで、Xboxで2014年、switchで2018年に配信されたゲーム。本来の価格は1500円。
 タイトルにもなっている魔法のマーカーは、特定の位置で、地面を隆起させる、木の枝を生やす、ツタを伸ばす、水流を起こす、火球を飛ばす、といった機能を持つ。主人公のマックスは、これらを駆使してステージを踏破する。
 見た目が子供向けっぽいので、サクッとクリアできるだろう、と思ったが甘かった。マーカーの5つの機能それぞれは、そんなに奇抜でもないが、組み合わせることでできることがどんどん増えていく。木の枝を曲げて切り落としたり、木の枝とツタをつなげたり、木の枝を火球で燃やしてから運んで火種にしたり…。ステージは、細かい謎解きの連続で成るが、同じことの繰り返しにはなっておらず、常に新しい発想が求められる。隅々まで考え抜かれていて、まさに作者との真剣勝負だ。
 敵に追われるステージなどで、考える暇が与えられず、初見殺しが多発するのがぶきっちょにはしんどい。攻略サイトこそ存在しないが、通しプレイを動画でアップしてくれている人がいて、どうにかクリアすることができた。アクションパズルを作ってみたい人には、大いにお手本になるゲームだ。
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2024年05月19日

スクウェア・エニックスが経営不振で開発タイトル見直し


 スクウェア・エニックスが、決算に先駆けて特損を発表するほどの不振に陥り、話題になっている。昨年度は、「ファイナルファンタジー16」「ファイナルファンタジー7リバース」といった看板タイトルがリリースされ、本来なら収益がアップするタイミングのはずだ。
 もちろんこのままではまずいので、決算報告では、今後の方針や、それにともない開発タイトルを見直すことが表明された。これを受けて、ユーザーの間では、「ドラゴンクエスト12」や「ファイナルファンタジー7完結作」が中止になってしまうのでは、と心配する声が上がった。

そして今回の新中期経営計画では、かねてより明かされていた約221億円の特別損失を含め、388億円の評価損・特別損失が計上されることが明かされた格好だ。ただし今回の新中期経営計画では、減損の対象コンテンツは2027年3月期以降に発表予定のタイトルが多くを占め、本中期経営計画期間のパイプラインに与える影響は“僅少”とされている。

 とは言え、上記を見る限り、すでに発表済みの人気シリーズを中止にすることはさすがになさそうだ。逆に中止されそうなのは、収益の計算できない新規タイトルや実験的タイトルである。2027年3月期以降ということになると、「FORSPOKEN」のような新規HDゲームが計画されていて、人知れず没になったのかな、などと想像する。
 ところで、このような開発タイトルの整理が行われる際、心配なのはスクエニ本体よりも傘下の開発会社である。開発中止によって仕事がなくなり、経営が厳しくなる企業がいくつも出てきそうだ。「ドラゴンクエスト12」は、ヘキサドライブとオルカが開発していたが、開発会社を変更する、ということもありえる。スクエニには、「ファイナルファンタジー7リメイク」をサイバーコネクトツーから引き上げた前科もあることだし。

 私は、スクエニのゲームは「ライフイズストレンジ」シリーズくらいしか買ってない。海外ゲームのローカライズについては、今後縮小されてしまうのだろうか。そのへんも気になるところだ。
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2024年05月12日

「FOREVER BLUE LUMINOUS」はソーシャルゲーム その2

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 連休が終わり、このゲームをプレイするのもやめた。この先に期待できなかったからである。
 「フォーエバーブルー ルミナス」は、マップが自動生成である。オンラインと変化するマップの組み合わせで、何度でも飽きずに遊べる…はずだったのだが実際は真逆。ランダムに要素を組み込んだことで、個性が失われ、変わり映えのしないマップをひたすら踏破させられる印象だ。過去作では、シナリオの展開に応じて、極地や河川や深海といった特徴的なマップが登場するのが楽しかった。こういう景色を見せたいんだ、という作り手の美意識が反映されるのも、手作りのマップだからこそだと思う。
 また、一つのマップに無理矢理複数の海域を収めているため、サンゴ礁の隣にいきなり氷の海が出現したりする。生物も同様で、古代魚も深海魚も川魚も一つのマップに共存していてリアリティがなさすぎる。謎解きやギミックがほぼないため、伝説の生物もすぐに遭遇できて希少さが感じられない。同じマップに繰り返し挑戦し、地形や生物の生息域を憶えながら徐々に奥地へ、といった冒険ができないのだ。

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 せめて、ストーリーが面白ければプレイを続ける動機になるのだが、それも絶望的。チュートリアルである一章が終わっても、ストーリーはスカスカで、それでいてアンロック条件だけは過酷。ひたすら自動生成の海に潜って、魚を注視し続けないと次のストーリーが解放されない。多様な実績をチェックしているツクモ盤も、マップが自動生成なので条件を満たせるかは運次第。ソーシャルゲームのエンドコンテンツのような不毛さで、すっかり継続する意欲を失った。

 おそらく、過去作と違い極端な低予算で作られている。マップの自動生成は、手作りするコストを省くため。船上や地上がないのも絵を省くため。ダイビングスーツを脱がなければ、キャラの顔を作る必要がない。案内人をAIということにすれば、音声だけで済むので安上がり。雰囲気が大事なゲームでそういう作り方をした結果、ガチャや課金アイテムのないソーシャルゲーム、といった感じでシステムだけは堅牢な謎のゲームができた。作業的過ぎて本当にがっかりだ。
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2024年05月11日

Tango Gameworksのスタッフは何処へ


 マイクロソフトが、傘下のゲーム開発スタジオを4つ閉鎖すると発表。その中に東京のTango Gameworksが入っており、ゲーマーたちを驚かせている。かく言う私も、せっかく就職した卒業生が失職することになり、なんともやるせない。

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 Tangoは、決して鳴かず飛ばずの企業ではない。「Ghostwire:Tokyo」ではいちはやくPS5へ対応して見せたし、昨年の「Hi-Fi RUSH」もユニークな内容で評価が高い。それなのに、マイクロソフトはリストラでも売却でもなく閉鎖を決めた。今後、開発会社の不信感は相当なものになるだろう。
 そして、Tangoのスタッフは今後どこへ行くのだろう。

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2024年05月08日

「FOREVER BLUE LUMINOUS」はソーシャルゲーム その1

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 連休中は「フォーエバーブルー ルミナス」をやると決めていた。かつてWii用に発売されていたダイビングゲームだが、Switchで15年ぶりとなる新作の登場なので期待していた。
 ゲームを開始すると、いきなり〈みんなでダイビング〉をおすすめされる。新機能のオンラインモードを試してほしい、ということなのだろう。魚を見つけては注視し、解説文を読む。自動生成っぽいが、音声による読み上げもあり、動く図鑑として楽しめる。初見の魚も多く、登場する生物の種類が増えていることを実感。さらに、突然変異の希少種や、ステージボスに相当する伝説の生物にもあっさり遭遇できた。他のプレイヤーをちらほら見かけるが、何しろこちらも始めたばかりなので、コミュニケーションの取り方が分からない。

 続いて、一人用のストーリーモードである〈調査本部〉へ。AIのSerA(セラ)の案内で、操作を学んでいく、要はチュートリアルである。説明がストレートでわかりやすいのはともかく、小刻みに分かれていて、ストーリーに全くふくらみがない。だがこの愛想のなさは既視感がある。そう、かつて粗製乱造されたソーシャルゲームだ。
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 メニュー画面もスマホゲームのようなレイアウト。一角には期間限定イベントの告知もある。今の言い方だと、ライブサービス型のゲームということになるのだろうか。
 一人でじっくり、海の神秘と向き合うことができた過去作とは別物とわかり、非常にがっかりしている。
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2024年05月06日

悪は存在しない

●空席は存在しない
 満席で立ち見を案内している映画館なんて久しぶりに見た。ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を獲り、しかもゴールデンウィーク中なので、観客が多いのは当然。なぜミニシアターでしか公開しないのだろうか。

●有名人は存在しない
 カンヌを獲った「ドライブ・マイ・カー」では、西島秀俊をはじめ知名度の高い俳優が起用されていたが、今回は一転して誰一人有名な俳優が出ていない。すべての人物がモブに見え、物語にフラットに向き合う体験となった。

●対立は存在しない
 巧の住む山村に、グランピング施設が作られることになり、住民相手の説明会が開かれる。杜撰かつ身勝手な計画に、住民は反発。会社から住民の説得を押し付けられた高橋と黛は、巧を訪ね、協力をとりつけようとするが…
 リアルに描かれはするが、わりとよくある話だ。高橋は巧との交流を経て、物語は和解へと進むように見える。これもまたよくある話だ。

以下に結末のネタバレあり

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posted by Dr.K at 20:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする