2024年09月28日

任天堂、満を持して「パルワールド」を訴える その2

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 東京ゲームショウに華々しくブースは出たが、訴訟沙汰のせいか、日本でだけPS5版は発売日未定

●声明文が炎上
 ポケットペア側の声明文が反感を買っている。特に問題とされている部分を以下に掲げる。

当社は東京を拠点とする小規模なインディーゲーム開発会社です。
私たちの目標は常に楽しいゲームを作り続けることです。この目標は今後も変わらず、多くのゲーマーの皆様に喜びを提供するために、ゲーム開発を続けます。
今回の訴訟により、ゲーム開発以外の問題に多くの時間を割かざるを得ない可能性がある状況は非常に残念ですが、ファンの皆様のため、そしてインディーゲーム開発者が自由な発想を妨げられ萎縮することがないよう、最善を尽くしてまいります。

 では、この文のどこが問題だったのか。 

●〈小規模なインディーゲーム開発会社〉
 訴えがないからといい気になっていたのが、訴えられるや否や、大企業にいじめられているという被害者アピールに転じるのがダサい。ソニーミュージックやアニプレックスと組んでIP商売を展開したり、東京ゲームショウにどでかいブースを構えたりするのが、小規模なインディーゲームのふるまいだろうか。

●〈ゲーム開発以外の問題に多くの時間を割かざるを得ない〉
 以前、「効率主義のモンスター」と書いたのは根拠の乏しい憶測だったのだが、本当だったようだ。キャラデザが面倒なのでパクリで済ませる。システム考案も面倒なのでパクリで済ませる。結果として、もっと面倒なことになったのは自業自得と言わざるを得ない。ゲーム開発のおいしいところだけをいただいて、責任をとらないというのは会社としてありえない
 こんな連中にインディーゲームの代表みたいな態度をとってほしくない、という他の制作者の気持ちは非常にわかる。

●今後の予想
 ゲームの開発というのは、多かれ少なかれ先行の作品をなぞるものである。私は、過去のクリエイトにリスペクトのない行為を唾棄するが、この観点は訴訟には影響を与えないだろう。よって、「パルワールド」の販売差し止めはないと予想する。
 一方で、パクりキャラを、本家でござい、という態度でIP商売につなげるのは許されないだろう。和解条件として、パルワールドエンタテインメントの営業停止は大いにありうる。
 何より気になっているのは、実は「パルワールド」がアーリーアクセスであり、未完成であること。今後、原形をとどめない完成品に変貌してしまう可能性がある。それどころか、作り手がモチベーションを失い、訴訟を理由に制作の継続を放棄してしまうかも。ここでも企業としての責任感が問われる。
posted by Dr.K at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 馬鹿は黙ってろ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月25日

任天堂、満を持して「パルワールド」を訴える その1


 やはりこうなってしまったか、としか言いようのない今回の訴訟騒動。話題になっているぶん、混乱も見られるので、自分のために状況を整理しつつ所感を書く。

●著作権ではなく特許権
 「パルワールド」は、当初からキャラがポケモンに似すぎてヤバい、と評判だった。法律的には、著作権侵害の疑いありだ。しかし今回、任天堂が訴えるのはそこではない。
 訴訟の内容は特許の侵害。見た目ではなく、ゲームの仕組みのパクりを訴えたことになる。

●著作権の訴訟は困難
 実は、ゲームの見た目が似ている、という理由で訴えて勝つのは難しい。私も大昔に、「ファイターズヒストリー」を訴える資料作りを手伝ったことがあるが勝訴にならず、この難しさを実感したことがある。
 なお、「パルワールド」開発元のポケットペア社長は、automatonのインタビューに次のように答えている。

 弊社は真剣にゲーム作りに取り組んでおり、当然ですが、他社の知的財産権等を侵害する意図は全く御座いません。法務のレビューも受けており、現時点で他社様から何らかの具体的なアクションを頂いた事も御座いません。インターネットでは様々な噂が飛び交っておりますが、安心してご購入頂ければ幸いです。

ここで言う「法務のレビュー」とは、おそらく、どのくらい似すぎていたらまずいかの確認作業であろう。訴えられても負けないギリギリを攻めて儲けてやろう、という姿勢はインディーズ精神とは程遠い
 ともかく、自由な創作を妨げないようにという配慮か、少々見た目が似ていても著作権侵害は認められにくいものなのである。

●なぜ今訴えるのか
 タイトルに〈満を持して〉と書かせてもらったが、任天堂はなぜ今のタイミングで訴訟を起こすのか。
 Gigazineのこの記事の末尾にあるが、任天堂は7/30に特許の更新を出願している。「パルワールド」がどの特許を侵害しているのか精査し、当該の特許を更新し、万全の体制となってから訴えたものと思われる。
 パルワールドエンタテインメントの設立が逆鱗に触れた、東京ゲームショウへの出展を邪魔するため、などの言説が散見されるが、それより前に準備は進められていたと見る。また、こういった訴訟は訴える側にもイメージダウンのリスクがあるため、通常は水面下で交渉が持たれ、それによって解決することが多い。表に出てはいないが、事前にやりとりがあった可能性も高い。

●任天堂の怒り
 著作権での訴訟が難しいので特許権を持ち出してきた、というやり口は、警察による別件逮捕のようでフェアじゃない、という意見もある。しかし、任天堂の考えは、プレスリリースの中に現れている。

当社は、長年の努力により築き上げてきた当社の大切な知的財産を保護するために、当社のブランドを含む知的財産の侵害行為に対しては、今後も継続して必要な措置を講じていく所存です。

 冷静ではあるが、断固たる意志が感じられる声明だ。ディズニーがミッキーを守るのと同様、任天堂はポケモンの価値を守る。「パルワールド」のせいでポケモンのイメージが毀損されたり、一般の人がポケモンと混同したりするようなことが起こってはならないのだ。
 任天堂は長い歴史の中で、ゲーム開発の基本となる特許を多数取得しており、訴えようと思えば、他社のほとんどのゲームを訴えることができる。しかし、実際に訴訟を起こしたのはコロプラのときくらいで、特許料すら請求していないことがほとんどだ。業界の発展のため、ゲーム制作者を委縮させないため、多少の侵害は黙認する、というのが基本姿勢なのだろう。その任天堂が訴えるというのは〈よっぽどのこと〉なのだ。

全然書ききれなかったので〈続く〉

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2024年09月22日

「墓場鬼太郎」が今だけ無料公開!

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 「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真生版」、楽しみです。私が昨年のベスト1に選んだ映画がどのようにバージョンアップしたのでしょうか。劇場で確かめねばなりますまい。
 さて、公開に先駆けて、YouTubeでは「墓場鬼太郎」の期間限定配信がスタートしました。これは嬉しい。2008年の放送時には見逃しており、部分的な動画を目にしては、ちゃんと見ておけばよかったと後悔していた作品だからです。さっそく2話までを視聴しましたが、古いマンガの味わいをよくもまあここまで再現できたな、と感心するばかりです。一方で、主題歌を電気グルーヴに任せるなど、斬新な試みも目立ち、ただ古臭いだけのアニメにはなってません。続きも忘れずに視聴しようと思います。
posted by Dr.K at 23:45| Comment(2) | TrackBack(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月19日

未来イカ革命「Splatoon3」 その21

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 グランドフェスティバル! 「スプラトゥーン3」発売から2年、定期開催のフェスはこれが最終回となる。いつもと違う会場で繰り広げられるのは、シオカラーズ、テンタクルズ、すりみ連合による合同ライブ。懐かしい曲の数々と、力の入った演出で、すっかり見入ってしまう。

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 ステージ以外の部分も作り込みがすごい。屋台では、タコワサ将軍も懸命に働いていた(笑) 探せば色々小ネタが仕込まれていそうで、隅々まで見て回りたいが、フェスの時間は短い。そろそろバトルに行かねば、と思ったがそのための入り口が見当たらない。困った困った。ひとしきりうろうろしてしまったが、Xボタンを押してメニューから〈ロビー〉を選べということらしい。これ、気が付かない人けっこういるんじゃないか。

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 私個人は試合でかなり負けてしまったが、結果は〈過去〉派が勝利。WiiUの頃のプレイは思い出深く、シオカラーズが応援してくれる〈過去〉を選ぶのは必然というもの。すっかり歴史あるシリーズになったが、いまだライバルとなるゲームが不在なので、まだいける。新ハードでの新展開に注目していきたい。
posted by Dr.K at 22:44| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月18日

手塚治虫記念館で「島本和彦 炎の原画展」

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 手塚記念館、今年で30周年だそうです。宝塚ファミリーランドの片隅で始まったこの施設ですが、周囲の景色はすっかり変わってしまいましたね。

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 ただ今の企画展は、「島本和彦 炎の原画展」。ここだけ写真可だったので撮っておきました。
 私もかつては趣味でマンガを描いていたので、「燃えよペン」「アオイホノオ」は特に面白かった。その迫力ある原画をゆっくりながめることができました。
 さて、島本和彦は、本名が手塚という嘘みたいな縁こそあるものの、手塚治虫とはあまり接点がありません。…と思っていたのですが、島本版「マグマ大使」が展示されていたのです。しかも、この内容見覚えがあるぞ。

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 掲載誌が家にありました。COMIC CUEの手塚治虫リミックス特集号。いや〜、なつかしい。そして大体の作品がくだらない(笑)。「預言者ピッピ」の第一回も、この号に載っていました。貴重です。
posted by Dr.K at 08:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月15日

「FINAL FANTASY VII REVERTH」その4 撤退!クラシックモード

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 おお、ヴィンセント! PS1のとき以来、四半世紀ぶりの再会なので、すっかり忘れ果てていた。昔と違ってイケメンだあ、と感心していたら、直後の戦闘で容赦なくボコられる。

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 「ファイナルファンタジー7リバース」、ボス戦が全体的に難しすぎるのである。ボスに会うたびに全滅、ウェブで攻略を見る、を繰り返していたが、それでも厳しくなってきた。ボス戦が多いことは、RPGにおいては大サービスのはずだが、「またか…」とため息が出るようになってしまった。これではせっかくのストーリーも楽しめない。
 何か方法がないか、と考えた末、戦闘をクラシックモードにしてみた。違いを理解するのに結構かかったが、わかったら簡単・快適になったので、以降はこのモードでプレイしている。移動・通常攻撃・ガードや回避を自動でやってくれるので、アクション部分でしくじっていた私にはぴったり。特に、ボスが使いがちな範囲攻撃からきっちり逃げてくれるのが助かる。

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 それでも決して楽勝とはならない。こいつらなどは、二人で即死級の連携攻撃を仕掛けてくる。勘弁して。
posted by Dr.K at 15:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月13日

PS5 Pro、お値段何と12万円!


 ランチが1000円を越えるご時世とは言え、ゲーム機が10万を越えることはなかろう、と思っていたので約12万という価格にはかなりびっくりした。忍さんなどは、ショックのあまりたとえ話がPCエンジンSGまで遡ってしまっている。
 だがちょっと待ってほしい。本当にPS5 Proは高過ぎるのか。

 比較のため、2006年を振り返ってみよう。この年、新発売のPS3は62790円であった。一方、任天堂のWiiは25000円であった。両者には2.5倍ほどの価格差がある。
 そして現在、PS5 Proは119980円。任天堂のSwitchは有機EL版で37980円だ。価格差は約3倍となる。うん、それほど高くないな!

 実はもっと別の指標がある。2006年当時、最も売れていた携帯電話が32000円。一方現在、iPhone16は139800円である。誰も文句を言わないし、売れるだろうと思うけど、この値上げの方がはるかに恐ろしいな!
posted by Dr.K at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 馬鹿は黙ってろ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月12日

デレステ9周年の研究レポート

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 おめでとう、9周年。無料10連で季節外れのサンタを迎えました。声がついてからのイヴは、活躍が目覚ましいですね。イベントのライブカーニバルでは、初のSランクに到達しました。遅い! 編成をまじめにやってないとこうなります。

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 昨年末にイベントの縮小を宣言して以来、いつサービス終了になるのか、とファンを心配させている「デレステ」ですが、今年も新衣装を配布してくれました。モノトーンで渋いです。

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 今回、ライブカーニバルで解放されるストーリーが物議を醸しています。
 ダークなファンタジーの物語で、世界が滅亡に向かっている中、それでも希望を持ち続けようというメッセージが発せられます。9周年にしては、縁起でもない不穏な内容です。
 この、滅亡に向かう世界とはサービス終了に向かいつつある「デレステ」そのものを示しているのだと思われます。どうせ終わるのだから、と自棄になっているプレイヤーに、終わるまではしっかり楽しんでほしい、と伝えているのです。颯は、私の記憶に間違いがなければ、「デレステ」で最後に追加された新キャラであり、彼女を主役に抜擢したのも、最も未来を渇望するキャラだからでしょう。
 「アイドルマスター」は、ゲームやアニメ以外に、声優によるライブや、グッズ展開が柱となっているプロジェクトです。ゲームが終了してもアイドル活動は続く可能性があり、あっさりプレイヤー達を切り捨てるわけにはいかない。とっとと「学園アイドルマスター」に乗り換えるような薄情さは、プレイヤーでは許されても、運営には許されないのです。
posted by Dr.K at 23:15| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月08日

モンキーマン

 この映画を観た感想。
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 あれ? 最近同じことを書いたような?

 前半。キッドは、闘技場でモンキーマンに身をやつし、八百長で稼ぐ日々を過ごしている。その目的は、母を殺した者たちへの復讐だ。ついにその機会を迎えたキッドだが、作戦は失敗に終わり半死半生となる。
 監督・主演・脚本のすべてを手掛けたデヴ・パテル。俳優としては、「スラムドッグ・ミリオネア」や「ライオン 25年目のただいま」など、格調高い名作で好演してきたが、いざ、初監督となったらこんなバイオレンス・アクションだったので驚いた。しかも、陰鬱でシリアスなトーンなので気が滅入る。

注:以下にネタバレを含む

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posted by Dr.K at 16:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月02日

「FINAL FANTASY VII REVERTH」その3 ミッドガルはもぬけの殻

 「ファイナルファンタジー7リバース」では、クラウドたちがミッドガルを出て以降の物語が描かれる。新しい土地で新しい出会い、となるかと思いきや、「リメイク」のキャラとやたら再会する。

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 まずキリエ。行く先々でクラウドに先んじて勝手になんでも屋を開いている。前作でもデマ情報を売る迷惑キャラだったが、悪い意味でパワーアップ。とあるクエストでは聞くに堪えない専用曲まで作られている。キャラ被りを嫌ってか、ユフィがパーティーに入ってからはなりを潜めるが、次回作にも出演しそうな勢いがある。

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 そしてアニヤン。この怪しさ、忘れるはずがない。「リバース」は何かとミニゲームが多いため、ダンスゲームをまたやらされるのか、と身構えてしまった。同時に、マダム・マムとも再会しており、こちらも闘技場をまたやらされるかも、と警戒した。

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 止めに、盗賊団。サブクエストとは言え、こんな連中にまで再会の機会があるとは思わなかった。こんなに誰も彼もが外に出ているのでは、ミッドガルの町はもぬけの殻になってしまっているのではないだろうか。いや、「リメイク」で作ったキャラを再利用して開発効率を上げたい、というのはわかるんだけどね。

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 一方、ゴールドソーサーの劇場では、ジェシーのポスターが飾られていた。そう言えば、元女優だと言ってたけど、話半分に聞き流していたな。こんなスターとは思わなかった。前作のジェシーを思い出し、目頭が熱くなる。
posted by Dr.K at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする