2025年02月28日

豪壮華麗な推理劇「大逆転裁判」

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 「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟」、ダウンロード版をセールで購入したまま、プレイしていなかったのを思い出した。ひとまず「大逆転裁判1」をクリアする。

 それにしても演出が豪華だ。もとは3DSの小品だったものを、わざわざリマスターしてまでやる意味があるのか、と訝っていたが、個性あふれるキャラクターが大画面で見られ、多彩なモーションも迫力満点。意味があった。

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 「逆転裁判」は、いつの間にか近未来SFの域に達してしまったが、今作は昔に遡るので、ミステリーファンにとっては馴染みのある世界観と言える。成歩堂がホームズや漱石と共演する様は、レイトン教授どころではない魅惑のコラボとなっている。特に、ホームズは間違った推理をする探偵、という建付けになっており、こんな使い方に許諾が下りるのかと心配になるが、すでに著作権が失効しているようで、畜生、うまいことやりやがったな! 事件もパロディとなっていて、大昔に読んだ「ホームズ」シリーズの記憶がくすぐられる。
 ロンドンの法廷がまた豪華で、証人も複数並び、裁判長に加えて陪審員が6人いるので常ににぎやか。一般人であるべき陪審に、いちいち因縁のあるキャラが出てくるのが面白い。
 いつも通りの軽いノリを楽しみたいのだが、タイトルに「大」を付けたからか、絶体絶命に追い込むことに全力を尽くしているようなシナリオで、進行が息苦しすぎるのが難点。

 ヒントの出し方が丁寧なので、自力で解決したいところだが、残念なことに、最後の事件で被害者と犯人の位置を指摘するところだけがわからなかった。ノーヒントを達成できず悔しい。3DSでは、続編がある前提のエンディングに不満の声が上がったが、このバージョンならはじめからセットなので問題なかろう。「2」が非常に楽しみになった。
 「大逆転裁判」では、いつもの霊媒ネタが出てこない。よって、オカルト要素のない正統派の謎解きとなっている…が、法廷で陪審員が火の玉を飛ばす仕組みだけが超常現象(笑)

 巧ディレクターの講演に出席したことを思い出し、その見事な手腕をじっくり味わえた。
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2025年02月26日

祝! 「プリンプリン物語」の再放送が継続

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 昨年の10月からスタートした、人形劇「プリンプリン物語」の再放送を見ている。アルトコ市に住むプリンプリンは、どこかの国の王女様。三人の友人とサルをお供に、祖国を探して旅に出る。
 79年の番組なので、実に45年ぶり。何しろまだ幼い子供だったので、毎回は見ておらず、ストーリーはほとんど憶えていない。ところが、歌は完璧に憶えていた。いやはやこれは懐かしい。
 改めて見ると、発見が多い。登場人物とディレクター(本物)が対話するメタ演出、こんなの昭和でやっていたのか。社会情勢や国際情勢を扱った風刺、批判性が強い。時間を飛び越えるトンデモ展開にあきれ、インド神話がモチーフになっていることに気付いて驚く。総じて、子供向けでは済まされない尖った内容だ。だからこそ、当時の子供たちは、教育的な番組にない魅力を感じたのだろうな。

 全部で600回を超える長い番組だが、今回の再放送は50話まで。序盤で終わりか、残念だな、と思っていたら、4月から間をすっとばして最も人気があった「アクタ共和国編」の放送が決まった。これはめでたい! 忘れずに観よう。

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2025年02月25日

海賊王にワシはなる! 「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」その1

poh011.jpg 真島がプレイアブルになる「龍が如く」はいつも名作。

 という訳で、「龍が如く8」をやっていないにも関わらず、外伝の「パイレーツ イン ハワイ」を買ってしまった。
 内容はもう無茶苦茶である。真島が古式ゆかしい海賊服に身を包み、仲間と共に帆船を操って海戦に繰り出す。異世界ものかと思うが、そうではなく、「龍が如く8」の後日談になっている。どんな結末になるのか想像がつかないが、夢オチにでもしない限り、「9」へつなげるには相当無理があるんじゃないだろうか。
 このシリーズには、過去に「龍が如く OF THE END」という問題作があった。神室町にゾンビが大量発生するというストーリーは、以降のシリーズで完全になかったことにされている。しかし作中で真島は大活躍し、私としては好きなゲームだった。

 「パイレーツ イン ハワイ」では、ホノルルのマップは「龍が如く8」から再利用、キャラクターも多数が再登場している。だが、海賊パートが完全新規であることと、コマンド式ではなくアクション式の戦闘になっていることで、ゲームとして新規性を担保しているのがうまい。
 値段も抑え目で、ボリュームも満点。これからじっくりと進めていくつもりだ。
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2025年02月24日

 映画「敵」を観てきた。タイトルが一文字だと検索に支障あるな!

 儀助は、元大学教授。妻は20年前に亡くなり、一人暮らしを続けている。規則正しく起き、料理をし、原稿を書き、時には友人や教え子と会う。しかし、淡々とした日常に、一通のメールが届く。〈敵〉の上陸を警告するそれを、儀助はいつもの迷惑メールとして無視するが、そこから徐々に日常がおかしくなっていく…

 この映画では、何が現実であり、何が〈敵〉なのか明かされないので、解釈の余地が非常に広い。それを面白いと思える人には大いにお勧めできる。
 〈敵〉とは、迫りくる死や老いであろう。儀助はあまりにきちんと暮らしていたが、それは老いを受け入れないための防衛的な態度とも言える。数々の悪夢を経て、儀助は老いを受け入れ、破れかぶれになって立ち向かったのである。
 しかし、そうとも言い切れない。物語の前半、儀助の遺言には、相続の対象として教え子の靖子や椛島の名前が挙がっていた。ところが、最後に読まれる遺言では、甥の槙男だけが指名されている。悪夢の中で、靖子や椛島との関係は無茶苦茶になってしまうので、書き換えたのだろうか。もしかすると、靖子や椛島の訪問自体がすべて夢だったのかもしれない。そうなると、槙男が双眼鏡で見た儀助は、かなり恐ろしいタイプの霊ということになる。
 全編モノクロの映像は、美しいと同時に、現実と夢の境界をあいまいにする。色がないのに料理の数々がおいしそうなのは驚いた。編集者が突然厚かましくなって鍋を食べる場面に、最も筒井康隆らしさを感じた。他の作品にも必ず出ている人物だ。

キャスティング 8
予測不能度 7
飯テロ度 10
個人的総合 6

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2025年02月22日

「Ghost of Tsushima Director's Cut」壹岐之譚

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 「Ghost of Yōtei」が、年内に発売されるそうで、非常に楽しみにしている。そのための準備、という訳でもないが、PS4でプレイした「ゴーストオブツシマ」をPS5版「ディレクターズカット」にアップグレード、未プレイだった〈壱岐之譚〉をやってみた。

 PS4版ですでに、ファストトラベルのロード時間が皆無で驚いたものだが、PS5になったらゲームの起動自体が一瞬になり、あきれるほどの快適さだ。

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 数年ぶりとなるプレイなので、操作を思い出すのにかなりの時間を費やした。しかしながら、本編クリア済みのデータなので、思い出しさえすればザコ戦は楽勝だ。受けからの反撃の気持ちよさはやはりこのゲームならでは。TPSやFPSで射撃が当たらない私としては、剣戟を中心としたゲームはまことにありがたい。馬の体当たりも非常に気持ちいい。壱岐で新たに獲得する技だが、対馬に戻っても使えるので便利。

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 壱岐では、新しい敵として呪師が登場する。呪文を詠唱する間、周囲の敵が大幅に強化されるので厄介だ。「Horizon Zero Dawn」のDLC「凍てついた大地」が似たような難度の上げ方をしていたのを思い出す。
 殺伐とした戦いの合間には、猫を歌に詠んだりしてリラックスするのも良いだろう。

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 壱岐は、幼い頃に仁が父を失った因縁の地だ。今回のボスであるオオタカは、毒によって幻覚を見せることで、仁を心理的に苦しめる。幻覚は、イベントとして要所で現れるのはもちろん、移動中、戦闘中にも予告なく挟まれ、プレイヤーを戸惑わせるが、これ、技術的にもかなり難しいことをやっているんじゃなかろうか。
 〈壱岐之譚〉は、本編未クリアでも、クリア後でもプレイすることができる。仁と父の過去を掘り下げる物語は、どのタイミングでプレイしてもおかしくないための工夫と感じた。実によく出来ている!

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 ↑某所で、いつもの刀の訓練を行ったら、物理計算のいたずらでこんなことになった。奇跡のバランスだ。

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2025年02月16日

野生の島のロズ

 ロズは、万能のサポートロボット。誰かに購入され、出荷されたのだが、荒天で無人の島に漂着してしまった。仕方なく動物とのコミュニケーションを試みるが、仕事を与えてくれる者はいない。拾った卵が孵化し、ロズはこの雛を育てることにした。

●抜群の始まり
 島の動物たちはかわいいデザインで描かれるが、その生き様は殺伐としており、ギャップが面白い。始まったばかりなのにロズが破壊されそうで心配になった。言葉が通じなくてコミュニケーションが困難、という状況も新鮮でいい。
 学習機能によって、ロズは動物たちと話せるようになる。これによってストーリーが進展するが、以降はやや普通に感じてしまって惜しいと思った。

●素晴らしいビジュアル
 蝶の大群や、雁の飛び立つシーンなど、スケールの大きな見せ場があり、スクリーンで観るに値する。2Dと3Dを併用した美術とのことだが、境界を全く感じさせない馴染んだ表現だった。アクションの迫力もかなりのもので、退屈する暇もない。

●予想外の感動系
 ドリームワークスと言えば、やはり「シュレック」。鋭い風刺を含んだギャグが印象深い。ところが、スタジオ創立30周年記念となる「ロズ」は、正統派の感動作だったのが意外だった。
 主人公が母代わりになるストーリーということもあり、子連れのお母さんを大いに泣かせていた。一方、ロズが母になった感想を聞かれて「重い責任」と答えるところは一番笑いをとっていた。

注:以下にネタバレを含む

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2025年02月11日

未来イカ革命「Splatoon3」 その24

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 先日は復刻版バレンタインフェス。Frosty Festから間がないので、フェスの定期開催が終了したゲームであることを忘れそうになる。とりあえず、偽水木先生も支持する〈ミルクチョコ〉陣営で参戦。

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 オープン参戦なので、どんなチームに組み入れられるかは運任せなのだが、いきなり100倍マッチとなるとやはりプレッシャーだ。ラッキーにも勝てたので、久々に神輿に乗ることができた。

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 結果は、二年前と変わらず、〈ホワイトチョコ〉の圧勝。合間にこつこつプレイしていたナワバトラーもランク40に達した。Switch2が発売される際に、「スプラトゥーン」の続編は当然用意されていると思うが、ナワバトラーはどうなるだろう。独立した別タイトルになったりは…さすがにしないか。
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2025年02月09日

動物界

 PG12となっていたため、怖い映画かと思っていたが、そうじゃなかった。

 人間が徐々に動物になっていく奇病が発生、政府は患者を〈新生物〉として施設に隔離している。フランソワの妻も病気にかかり、南仏の施設へ移されることになった。フランソワは息子を連れて施設近くの村へ引っ越す。ところが、移送中の病院の車が事故を起こし、積んでいた〈新生物〉たちが逃げてしまった。フランソワは行方不明になった妻を探しはじめる。

 手塚治虫で数々の〈変容譚〉に魅せられているので、観て良かったと思えた一本。
 フランソワの息子エミールは、自分も動物化していることを悟り、動揺する。動物化か進むと、人間性が失われていくのだが、その兆候となる出来事が特徴的だった。力が増し、運動能力が向上する一方、自転車に乗れなくなるのだ。しゃべれなくなる、筆記ができなくなる、などの表現なら他の作品でも見たことがある。フランス人には、自転車に乗れてこそ普通の人、という感覚があるのだろうか。
 この病気、特定の動物になるのではなく、人によって、タコに鳥にカメレオン、と脈絡なく変化するので科学的なリアリティがない。しかし、ファンタジーなればこそ、比喩的な効果を発揮する。例えば、移送前の妻は、毛むくじゃらの姿はさておき、ぼんやりして言葉が通じない様子だった。まるで認知症のようであり、施設も介護施設を想起させるところがある。一方、エミールの変化は、父に明かせない秘密を抱えることからも、思春期をビジュアル化したようなもので、物語の結末も、親離れ子離れを描いているように見えた。
 異質なものを排除し続ける〈人間界〉を、冷ややかに見下ろすような作品だった。

新生物デザイン 8
手塚想起度 8
ホラー度 4
個人的総合 6
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2025年02月04日

唯一無二のアドベンチャーピンボール 「Yoku's Island Express」

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 フンコロガシ(予想)のヨクは、モクマナ島に漂着しました。郵便の仕事を命じられ、島の各地を配達して回ります。やがて発覚する、島の守り神が傷を負う大事件、その解決のためにヨクは奔走することになります。

 「ヨクのアイランドエクスプレス」は、スウェーデン製のインディーゲームで、2018年の作品。本当は2000円くらいするのですが、セールで430円になっていたのを見つけ、Switch版を買いました。クリアまでに10時間くらいかかったでしょうか。

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 サイドビューの画面なので、ステージクリア型かと思いきや、マップがすべて一続きになったオープンワールド型と判明。思ったより島が広くて驚きます。住民から依頼を受け、数々のクエストをこなしていくと、徐々にストーリーが明かされるという塩梅。独自の世界観や、神話的な歴史設定に惹かれますね。住民たちも、動物というよりは精霊みたいなものなのではないでしょうか。

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 特筆すべきは、そのゲーム性。ヨクはちっぽけな虫なので、ジャンプできず、段差を登る事すらできません。ではどうやって島内を移動するのかというと、フィールドのそこかしこに設置されたフリッパーで弾き飛ばすわけです。球を落としてしまうことによるペナルティは小さいですが、先へ進むにはそれなりにピンボールの技量が必要。このゲーム特有の、ナメクジ爆弾の活用に慣れるまで、かなり手こずりました。他のゲームなら、謎解きや戦闘に相当する部分も、ここではピンボールに置き換わっており、楽しみ方が一貫しているのは見事です。

 うみのねさん、紹介ありがとうございました。本ブログにふさわしい珍品です。
posted by Dr.K at 23:48| Comment(3) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年02月01日

アンダーニンジャ

 雲隠九郎(山崎賢人)は、現代を生きる忍者組織の一員。新たな〈忍務〉は、学生として高校に潜入、抜け忍によるテロ組織〈アンダーニンジャ〉を見つけ処分せよ、というものだった。

 原作のマンガは、ギャグも豊富なゆる〜い日常描写と、残虐表現に満ちた戦闘描写のコントラストが独特の味になっていた。映画では、そこに福田監督お得意の内輪ギャグが追加されたために、バランスが崩れ、前半は特にテンポが悪い。結果として、油を入れ過ぎた二郎系ラーメンのように、人を選ぶ作品になっている。しかし、レビュアーの間で特に評判の悪い〈押し入れコント〉の場面でも、劇場ではそれなりに笑いをとれていた。これまた二郎系と同じように、好きな人は好きなのだな、と感じた。
 後半はアクションの連続、しかも期待以上での出来で、どの対決も面白かった。ただ残念だったのはBGM。予告編では、Creepy Nutsの曲がかぶさっていて「おおっ」と思ったのだが、本編で使われなかったのだ。この曲は主題歌なのでエンドロールでのみ流れるのだが、終わってからテンション上げたってしょうがない、戦闘にも使ってくれよと言いたい。

 レビュアー筋からは叩かれまくっているが、言うほどひどくない。結局のところ、叩きやすい箇所がハッキリしていると、わらわらと当たり屋が寄って来るということなのだろうな。

キャスティング 9
ギャグ 3
アクション 8
個人的総合 5

他の方のUN評
映画『アンダーニンジャ』は面白かったのか? …「たかが黄昏れ」、面白そう!

posted by Dr.K at 00:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする