2005年01月13日

「富豪刑事」の心地よい非常識

 本日第一回の「富豪刑事」、当たりドラマの予感です。

 原作は筒井康隆の小説。筒井康隆と言えば、「時をかける少女」がよく知られているかと思いますが、あのような少年向けSFジュブナイルは、氏の小説ではむしろ少数派です。筒井作品の魅力は、なんと言っても世間の良識を挑発する毒にこそあるのです。

 娯楽作品というのは、一般大衆の多くの方に見てもらってナンボです。ですから、視聴者の反感を買うような設定はしないのが普通ですよね。しかしながら、その意識も行きすぎると、受け手に媚びた作品になってしまいます。
 例えば、「勉強ができる子」というのは本来望ましい訳ですが、「ドラえもん」の主人公の座は決して出来杉くんにはまわって来ません。世の中の多くの子は勉強もスポーツも大してできず、だからこそのび太くんが活躍出来るファンタジーが待望されるのです。でも一歩間違うとこれは現実逃避です。
 さらに、ギャルゲーや萌え系アニメなどでは、大して何の取り柄もない青年が女の子にもてまくるという展開が、何年も飽きずに繰り返されているわけですが、これなどは完璧な現実逃避です。
 受け手が物語から一時の夢を得ること、それ自体は全く悪いことではないのですが、それがあまりにもお膳立てされてしまうと、上記のように気色悪〜いことになってしまいます。
 その結果、フィクションの世界では、権力があったり金持ちだったりモテ過ぎたりする人物は、ほとんど自動的に悪人にされてしまいました。受け手である私たちは、現実の世界では太刀打ち出来ないこれらの人々を、せめてフィクションの中で貶めることによって憂さを晴らすように、と勧められているのです。でもこれって作り手にバカにされてる、と思いませんか?

 「富豪刑事」では、大金持ちで権力の後ろ盾もあり美貌にも恵まれた、神戸刑事が痛快に活躍します。庶民のやっかみは、この作中では笑いの対象で、この辺がいかにも筒井テイスト。それだけで終わってしまっては単なるへそ曲がりですが、非常識だからこそ常識にとらわれず真実が姿を現す、という逆転の発想が面白い。そして何より、彼女の正義感だけは紛れもなく本物なのです。
 原作は短いらしいので、ドラマオリジナルのエピソードが今後どのように描かれていくのか、楽しみに追跡しようと思います。
posted by Dr.K at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 馬鹿は黙ってろ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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