2005年01月17日

ブラック・ジャック「シャチの贈り物」

 昨秋から放送されているTVアニメ「ブラック・ジャック」。基本的には原作の通りのストーリーなのですが、夜7時の放送ということもあり、対象年齢をやや引き下げた作りとなっています。
 そのため、シナリオがかなりマイルドになっており、原作の突き放した読後感を知っているファンにとって、少々物足りないものになってしまっています。また、ブラック・ジャックといえば手術シーンは欠かせないのですが、術野を映さず、血が一滴も出ないところなど、表現の苦労がしのばれます。

 このように、いろいろと事情はあるのでしょうが、それにしても今回の「シャチ」はやりすぎでした。原作では、トリトンが人間の子供を襲って殺した(かも知れない)ということで、ブラック・ジャックは治療を拒否し、トリトンを死なせてしまいます。
 一方で、アニメではトリトンは実は人を助けようとしたのだ、というどんでん返しが用意され、結果として漁師もトリトンもブラック・ジャックの手術により助かるのです。

 これで、テーマが伝わったと言えるのでしょうか。ブラック・ジャックは確かに手術の天才ではありますが、患者を助けられないエピソードは絶対必要なものです。そこにこそ、生命を扱う医者のシビアさが出るのですから。
 ここまで甘くしないと放送出来ませんか? とアニメのスタッフを問いただしたい気持ちです…と思っていたら、なんと、手塚治虫の息子にしてこのアニメの監督である、手塚眞氏のブログを発見。内容を読んで絶句、落胆。作品をより良い形で伝えられなくて何のためのプロデューサーか。あたりさわりのないアニメを作りたいんなら原作に手塚治虫を使うのなんかやめておけ!!

ネタバレ部分は反転してお読み下さい
posted by Dr.K at 21:19| Comment(4) | TrackBack(1) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
アニメ版はゴールデンタイムに放送する時点で期待できないなぁと思ってたんですが、そんなことになってましたか…。あと、最近、このアニメ版に便乗して秋田書店がブラック・ジャックの安売りみたいな事やってるのが嫌ですね。色んな漫画家にブラック・ジャックを描かせようという企画をやってて、山本賢治のはまだ読めるんですが、エイケンの作者にピノコを主役にした漫画を描かせるというのはいくらなんでも…という気がします。
Posted by GON at 2005年01月18日 21:22
アトム生誕記念が終了し、手塚作品の中で最後の商業的鉱脈がこのブラック・ジャックである、というのは理解出来るのですが…それにしてももう少しマシな商業展開ができるはずです。 講談社の新刊は、手塚全集のカバーを変えただけ。秋田書店の新刊は、文庫の内容そのままで掲載順を直しただけ、と安っぽさ全開です。 それに比べると、現在の漫画家がブラックジャックを描くという企画は、新作を描くだけマシというものです。でもエイケンって、確かエロマンガだよな。 浦沢直樹の「プルートウ」なんて、ヘタすると手塚より面白いのに、どうもブラック・ジャックは恵まれませんね。
Posted by Dr.K at 2005年01月18日 22:17
一年近く前の記事にコメントをしまして、失礼します。私も原作を損なうような改変をしなければアニメにならないのなら、絶対にしてはいけないと思います。真摯に作品に向き合った作者に対する冒のように感じます。似たテーマでブログの記事を書きましたので、勝手ですがTBさせていただきました。
Posted by ぱいぽ at 2006年12月10日 15:52
トラックバックは歓迎しております。 ブラック・ジャックは最終回まで見ましたが、迷走のまま終わってしまった感が強かったです。
Posted by Dr.K at 2006年12月10日 22:42
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック

原作と脚本 功名が辻とブラックジャック 
Excerpt: 原作の中の大切なものを変えなければなりたたないものならドラマ化やアニメ化はしてはいけないと思います。
Weblog: スランになりたいな
Tracked: 2006-12-10 15:54