2005年04月13日

花沢健吾「ルサンチマン」 その1

L3ox26ul  世の中には三種類の人間しかいない。このマンガを
�嫌悪感を抱きつつ無視する者
と、
�笑い飛ばす者
と、
�笑えない者
とだ。

 時は2015年。専門学校を出たものの、しがない工場勤務で30歳を迎えた主人公。デブ・ハゲ・根暗と三拍子そろい、女とは縁もゆかりもない。彼は、悪友の紹介で、美少女ゲーム版マトリックスとでもいうべき「アンリアル」の世界に足を踏み入れていく…

 あぁ、文章にしてしまうとなんて陳腐なんだ。間違いなく、数年に一度の問題作なのに!
 3月末に最終巻が発売されたこのマンガ、ウェブ上では話題沸騰だが、掲載誌のスピリッツでは打ち切りの憂き目にあった不人気作でもある。スピリッツコミックと言えば中堅どころのブランドなのに、書店になかなか単行本が置かれないのもそのためか。
 近年、オタクを描いた作品が増えている。「げんしけん」や「こみっくパーティー」が商業的な成功を収めたのは記憶に新しい。しかし、「ルサンチマン」はオタクがオタクを見て楽しむような、なれ合いの世界に爆弾を放り込む。
 美少女に囲まれた夢の世界からふと視線をそらせば、そこには、ヘッドギアをつけて悶える醜悪な男。美少女ゲームをプレイしている男を後ろから観察するかのような絵が、脂ぎった筆致でこれでもかと描写される。売れる訳ねぇよ、これ。だが、その不快で滑稽な部分こそ、ゲームとそのプレイヤーが持つ真実の一面に違いない。主人公はどうなってしまうのか。先が気になって目が離せない、という経験を久しぶりに味わったのだった。

続く
posted by Dr.K at 17:42| Comment(3) | TrackBack(1) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
先生も「同志」ですね。私は「働いたら負けた」最強の引きこもり「越後」から目が離せません。しかし、最低スペックでも一式50〜60万でキャラ素材が20万、背景のパーツが安くて(SIMPLEシリーズ!)1万づつかかるという超高価なゲームをやりたいと思うのはどういう気持ちでしょうか。
Posted by Sash at 2005年04月14日 01:21
しようかなーと思ったけど、色々考えてやめました。ってワケで本題。 そもそもこれだけ面白い本が売れない(売れるワケがない)って考えられてしまうのが、今のヲタク業界がぬるくなってきてる証拠と思うのは俺だけかなぁ。 自分にとって痛いと思うモノ。 辛い現実を見せつけられるモノ。 そう言ったものからは極力目をそらし、自分の満足するものだけを求めるって言うのは、昔のヲタクである俺からすると考えられないです。 消費者の自由だ!って言われたらそれまでなんですけどね。 ただ、今のヲタク層って、物語を消化するんじゃなくて、消費してるだけな気がしてしょうがない。 この漫画も、自分の中で物語を消化してこそ面白いと思うんだけど……。 でも、そうか。 ヲタクにも数種類あって、いわゆる知的欲求を満たすために物語を貪欲に消化していくヲタクと、エンタティメントとして物語を消化していくヲタクがいるのか。 その比率が変わってきてるって考えると、最近のラノベの流行や、萌え市場の活性化って言うのも頷けるか。 ……ってなんかヘンなコメントになったw この漫画、結構面白いよねぇ、とそれが言いたかったのですが。
Posted by ASKA at 2005年04月16日 21:56
物語ってのは、読み終わった後に、ものの見方が変わったり、現実が少しはマシに見えたりする、そういう効能があるべきだと私は考えます。 ASKAさんが言う「ぬるい」ものってのは、作品内で世界が完結していて、実生活とのリンクに乏しいものなのではないか、と思ったりします。
Posted by Dr.K at 2005年04月17日 16:32
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花沢健吾『ルサンチマン』 読んでいる
Excerpt: 最近私のお気に入り漫画『エルフェンリート』が終了したんで他にハマるもの無いかな〜って探していて、"スピリッツ"で花沢健吾先生の『ボーイズ・オン・ザ・ラン』という新連載が始まっていた..
Weblog: 猫造@鬱病のまま10月23日で26歳になっちまうって燃いぜ!!
Tracked: 2005-10-01 18:09