2005年04月19日

燃えよ、ゲームバカ その3

 アリカからテトリスが出るより5年以上前、私は、NINさんがセガ版テトリスをプレイしている場面に遭遇したことがある。
 NINさんは、カプコン在籍当時、開発部の片隅でよくゲームをやっていた。もともとは、開発中のゲームをテストプレーするための筐体なのだが、開発の参考として過去のアーケードゲーム基板を動かすことがあった。その基板には、会社が資料として購入したものもあるにはあったが、おそるべき事に、ほとんどがNINさんの私物なのであった。NINさんは、誰もやったことがないようなマイナーなタイトルまで所持しており、次々と会社に持ってきては披露してくれるのであった。
 その日、NINさんが持ってきたのはセガのテトリスだった。最高速で落ちてくるブロックを軽やかにさばきながら、NINさんは言った。

「テトリスは、このアーケード版が最高傑作だね。手詰まりがないのがすばらしい」

 当時、パソコンやゲーム機のテトリスは、ブロックが着地すると、瞬間的に固定される仕様になっていた。この場合、落下速度が一定以上に上がると、右端や左端の列までブロックを運ぶことそのものが不可能になり、積み上がり以前に理論上のゲームオーバー、つまり「手詰まり」が発生する。
 一方、セガ版テトリスでは、ブロック着地後、わずかな時間ではあるが、ブロックをすべらせたり、回転したりの操作が行えるようになっている。これにより、不本意なところに着地したブロックを転がして粘ることができ、結果として、最高速の状態で延々とプレイを続け、カウンターストップ(最高点)をたたき出すプレイヤーが出現することになった。
 難しいが、不可能ではない。アーケードゲームにおいて、これは非常に大切なゲームバランスなのである。それができているセガ版テトリスを、NINさんは賞賛したのであった。

「それに、難易度の付け方もいい感じだ」

 セガ版テトリスでは、意外に早い段階で、落下が最高速度に達してしまう。しかし、しばらく耐えていると、速度が再び遅くなり、改めてそこからまた速くなっていく。難易度にうまく緩急がついていて、挑戦意欲を煽るのである。

 それから数年が経ち、NINさんが自らテトリスを作ったとき、これらの長所はさらに追究されていたのであった。

続く
posted by Dr.K at 21:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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