窮地にある者に対して「ほうら見ろ」と指をさすのは私の好みではないが、今回だけはそう思った。
私は、年齢的にもホリエモン世代。若い者は典型的なIT勝ち組である堀江に惹かれていると言うが、少なくとも私は全くそう思わない。
彼の発言で思い出されるのは
「金で買えないものはない」
「東大なんか誰でも受かる」
とか、典型的な強者の論理。
それは、今〈錬金術〉として問題になっている企業買収の手口でも同様だ。ニュース番組で解説を見て、「儲かる方法を考えたもんだな」と感心するより先に、「こんな理由でトップがポンポン変わったら、働いてる社員はかなわんな」と思う。
企業は株や金ではなく、何よりもまず〈人〉であるはず。会社というのは、人が価値を創造する場であると私は考える。ライブドアはそのことを忘れ、安易に金に金を作らせる道を選んでしまったとしか思えない。株の後ろには、その会社で働くおびただしい社員の努力が隠れている。そのことを忘れ、M&AだかF&Cだか知らんが会社を軽々しく売買するのは、たとえ合法であっても相手への敬意がなさすぎだ。
働く者のほとんどは、経営に参画しない従業員だ。会社の方針が買収などでいつどのように変わるか分からない、というのでは到底安心して働けないし、そんなのが良い社会だと思うのはホリエモンの同類だけだ。将軍様の支配の元、国策だけを方針に働き続ける某社会主義国家の方がまだマシなのではないか、とさえ思えてくる。