「ゲド戦記」をようやく観た。ヘタすると100くらい文句があるが全部書くことにチャレンジしてみる。
1、もの足りない!
2時間の長さがあり、「千と千尋」や「ハウル」に比べると遥かにきっちりとケリがつけられているストーリー性。それなのに終わった瞬間のこの食い足りなさ。
駿監督の作品では、毎回必ず満腹できたんだが…。
2、タイトルが投げやり
誰だ、あのロゴ書いたの。マジックの殴り書きみたいで、大作としての求心力に欠ける。初めからやる気なかった、とか言うんじゃあるまいな。「終わり」の文字がまた輪をかけてひどい。やはり、やる気ないのか。
3、パンフレットまで二流
従来のジブリアニメと比較して、明らかに紙質が落ちてる。
あらすじのところで、映画に出ない背景説明が載ってるのは前代未聞。読んでから観ろってか、オイ。
4、画質悪い
HEP5の一番デカイスクリーンで観たのだが、フィルムにキズか汚れが…。せっかくの美しい背景に点々と映ってる。場末の名画座じゃあるまいし、整備ちゃんとしてくれよ!
以下はネタバレ含む
5、主役は誰なんだ
いや、アレンが主役ってのは明白なんだけど。その割には、国を挙げて世界の危機を探ってたり、ハイタカ視点の描写があったりして、序盤で焦点が散ってる。拡げた世界観が終わったときに回収されてない。
6、出会いシーンのまずさ
ハイタカとアレンが出会うシーンでは、なぜかハイタカの旅に視点が当てられている。
一方のアレンの方は、そもそも王を殺して国を出てきている訳だから、ここにたどり着くまでにも苦難があっただろう。(影も発生したハズだしね) そっちを描かないから、後の展開をセリフでの説明に頼ることになる。
7、デザインが弱い
駿監督の画面に対する執念は凄い。何気ない小道具にも意匠を凝らしてあるのは、「ハウル」の部屋を見るだけでもわかる。
しかるに、「ゲド」の執念のなさ加減。ハイタカが乗ってきた小舟の凡庸さなどは、ジブリアニメでは最低ランクだと思う。
8、背景止まりすぎ
「ゲド戦記」では、絵画調の背景美術がウリなのだという。そのせいか、背景がじっくり止まっているシーンが目立つ。よく描けているから長く見せよう、というのは素人が陥りがちの失敗。
カメラを動かし、背景をばんばん使い捨ててこそアニメにはテンポが生まれる。例えば、「ハウル」の冒頭部分。ソフィーの寂しく地味な日常を描けばいいだけのシーンなのに、駿監督は立体的に走る路面電車や、パレードに沸く群衆をぶちこんで観客を飽きさせることがない。
9、脇役使い捨て
予告編でも紹介される、国王に王妃、店の女主人にハジア売り。
出番それだけかよ!っていうくらい一瞬しか出てない。王のお付きの者が一生懸命世界の危機を探っていたようだが、ほったらかし。脇役に愛が感じられないなぁ!
10、人間の頭がヘンになってない
バランスが崩れる前のこの世界について、一切描写されていないため、現実に近い価値観を持ったホート・タウンの連中の頭がヘンと思えない。
むしろヘンなのはテルーを殺させかねなかったブラックアレンの方では。
まだまだ文句があるので続く