2007年01月02日

THE有頂天ホテル

 これは痛快。年末年始、家族で観るのに最適の一本。特番に持ってきたテレビ局のファインプレーだ。

 さて、このような喜劇の面白さを解説しても無粋なだけなので、ちょっと違った角度から。 
 三谷幸喜は、その脚本作りから、クールな作家と思われがちだ。伏線やネタをまき、巧みな計算でそれを回収してまとめ上げるその手腕は、多数の登場人物がてんで別の思惑で動き回るこの「有頂天ホテル」でも存分に発揮されていた。
 しかし、三谷さん、本当は非常に熱い人なんじゃないだろうか。
 ちょっと登場人物を見てみよう。役所広司演じる副支配人は、かつて舞台の仕事を志していた。香取慎吾演じるベルボーイは、歌手デビューをあきらめようとしている30歳。Youは売れない歌手だったし、オダギリジョーは書家といっても所詮はホテルの看板係。
 こういう人物は社会的には無能であり、夢を見たことは無駄である、と言いかねないのが現代の風潮。そこを、彼らが昔の夢と能力の発揮によって、ちょっとした自己実現を果たす、というストーリーに描いてくれるところが、三谷の優しさであり熱さなのだと思う。「誰が信じなくても、俺は芸術の力を信じるよ。」照れ屋の三谷は死んでも口にしないだろうが、そのメッセージ、私がしっかり受け取った。
 笑いというのは時には他人を攻撃し、時には自分を貶めるように働きがち。しかしこの映画の登場人物は、観客に笑われつつもどこか幸せそうだ。三谷脚本の真価がここにある。

キャスト豪華度 9
唐沢最低度   9
テレビ追加分蛇足度 9
個人的総合   7
posted by Dr.K at 16:24| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
三谷さんの舞台芸術の最高傑作(と私が勝手に思っている)「バッド・ニュース☆グッド・タイミング」もやはり、同じように熱さを感じられる作品ですよ。ピンク番組を作ってる苦労人の若きテレビディレクターと、世間知らずの娘と、芸人の道を貫き通して旬を過ぎた芸人と、芸の道を捨てて政界で成功した政治家。やっぱり全員、不幸なようで、どこか幸せそうな三谷節が見れます。未チェックでしたらDVD出てますからどうぞ。
Posted by かまやん at 2008年03月16日 17:44
いらっしゃいませ。舞台劇の方は、なかなか見る機会が持てないのですが、なるほど最近はDVDも出てるんですね。ご紹介ありがとうございます。
Posted by Dr.K at 2008年03月17日 09:28
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