上映開始10秒で原作ファンに首をかしげさせる、それが映画版「どろろ」だ。マンガでは日本の戦国時代らしき舞台だったが、映画は思い切って無国籍ファンタジーに。最初の町のビジュアルに異様な勢いを感じる。
世界観の変更に、批判の声もあるようだが、私はこれを創意と受け取るし、映画化の方向性としては正しいと思う。そもそもマンガからして時代考証はほとんど無視した内容だった。時代劇の枠内では、肘から生えた二本の刀でどう戦ったところで変な殺陣にしかならない。だったらワイヤーアクションでぶっ飛んだ方が楽しいに決まってる。
背景やセットをことごとく作り上げ、「どろろ」だけの世界を描き出していく。これは、映画の作り方としては「スターウォーズ」や「ロードオブザリング」等、洋画の大作だけに許されたもので、日本映画では難しいと言われていたタイプのもの。多少のスケールの小ささはあっても、そういうものが作れた、というところをまず喜びたい。
ようやく映画「どろろ」を観た。手塚忌から一ヶ月遅れてしまったが、今年はこの作品を取り上げることにしよう。
〈続く〉