2007年03月16日

映画どろろ その3

 さて、興行的にも成功し、ロングランとなった映画「どろろ」。上映前、不安視されたのは、何といってもそのキャスティングとストーリーだった。

 まず、キャスティングに関してだが、これは意外と良かった。
 妻夫木は、テレビドラマなどでは柔らかいお人好しの青年といった印象が強く、事前には百鬼丸の役はどうかと思われた。しかし、実際に観てみると、感情を封印した演技で新しい一面を見せてくれたのだった。映画が終わったとき、「妻夫木カッコイイ!」という女性ファンの声が方々から聞こえてきたくらいだ。それにしても、目で見ていない、という演技は難しかっただろうなぁ。
 一方、賛否のある柴咲コウだが、映画を観た人に訊きたい。この役、他に誰がやれる? セリフから動作まで完璧なクソガキっぷり、なるほど、どろろの一つの解釈だ。なお、外見がいきなり女性、という問題に対しては、マンガと異なる設定が用意されていたので、映画の中では矛盾はあまりなかった。

 以下、ネタバレ含む
 ストーリーに関してだが、前半、百鬼丸の生い立ちとマイマイオンバ(土屋アンナが似合いすぎ)のあたりまでは、かなり好き。
 中盤、バトルシーンのダイジェストとなるが、もったいねぇ〜、テレビシリーズの総集編みたいだ。陽性の演出は、いかにも香港映画の監督らしい。
 後半、いよいよ父親との対決となるが、以降がどうも惜しい。原作の「ばんもん」が、ビジュアルとしては再現されているのに、国境の物語が抜け落ちて意味がなくなっている。景光との戦いは、この映画では唯一のまともな殺陣だが、バケモノ狩りに比べるとやっぱり地味。その最中に、百鬼丸の額に景光と似た傷がつく、というのは、どうなんだろう。親から子への継承、というようなことを表現しているのだろうか? しかし、景光の傷痕は魔物との契約の証だったはずで、百鬼丸に魔が乗りうつるのか、と思ってしまったのは私だけではないはずだ。実際にはそんな展開にはならなかったが…。
 最後に、「あと二十四体」とでかでかと表示されるテロップは、ゲーム版と酷似。多宝丸の役回りをはじめ、所々ゲーム版を参考にしたのではないだろうか。原作は未完だからねぇ。
 
 で、むしろ不安なのはこの後。なんと続編を作って三部作にするらしい。確かに原作のネタはまだ残ってるけど、百鬼丸に感情が戻った今、このコンビの面白さはだいぶ損なわれてしまうと思うのだ。そして、百鬼丸はマンガの時と違って、作り物の体の方が不死身で最強という設定。だんだん普通の人間になって弱くなる、というのはうまく演出しないとこれまたつまらなくなる。
 逆に期待する点としては、ぜひ続編で「妖刀の巻」を観たいと思う。「バトルロワイアル」で堂に入った人殺しっぷりを見せた柴咲なら、呪われたどろろは、きっと見物になるはずだからだ。

妻夫木プロモーション度 9
ミスチルミスマッチ度 10
途中省略度 7
個人的総合 7
posted by Dr.K at 21:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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