2007年06月08日

わたしたちの教科書

 菅野美穂演じる弁護士積木珠子が、中学校が隠蔽するいじめの問題に斬り込んでいくこのドラマ、毎週の放送で見るというテレビドラマの性質を生かし切った見事な作りに感心するやら呆れるやら。
 ストーリーがそのまま進むことなどほとんどない。細かい伏線を蒔いたり拾ったりしながら、毎回ラスト10分で話をひっくり返し、視聴者を翻弄して翌週へ続いていくのである。

 そのようにあざとい作劇の一方で、妙に鋭い人間性のとらえ方が光る。
 例えば、いじめられている女子生徒が、いじめる側の級友のストレスを慮る発言をしていたのはとてもリアルに感じた。そうなのだ。いじめる奴が悪い、クズだ、などと思える反抗心の旺盛な人はいじめの対象になりにくい。むしろ、自分が悪いのでは、相手にも事情があるのでは、などとくよくよする者こそが標的になり、エスカレートするいじめに飲み込まれてしまうのだ。

 また、キャラクターが一貫しないところも特徴だ。ことなかれ主義で仕事に熱意がない中学教師達。そこへ伊藤淳史演じる新任教師・加地耕平が現れ、他に影響を与えていく…かに見えた前半部分。ところが、彼は副校長の弁舌に丸め込まれ、事件を隠蔽する側にまわってしまう。一方、ダメ教師のように見えていた他の先生方は、それぞれに考えを持って行動を始めたのであった。
 前回は、特に陰の薄かった熊澤先生が

当校には いじめがございます。
私は それを長い間見過ごして参りました。
申し訳ございません。


と決定的な証言をし、裁判がひっくり返る予感を見せて幕。
 実際、人間とは時に善、時に悪を行う不安定なものであり、強くも弱くもある二面性は誰にでもあるもの。わかりやすくするために、パターン化された性格付けをされることが多いテレビドラマにあって、この番組の人間描写はとても新鮮に感じるのである。
posted by Dr.K at 22:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 馬鹿は黙ってろ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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