先日、上記リンクの通り、カプコンの社長が交代した。創業者の辻本憲三氏が会長職に就き、息子の春弘氏が新社長となる。
私はこの会社にいたにも関わらず、憲三社長をほとんど見たことがない。経営に徹し、開発部を信じてほとんど口を出すことはない、というタイプの社長だったようだ。
ある時、憲三社長が開発中のゲームを視察に訪れた。私のチームのゲームは、プレイヤー機の名前が未定だったが、社長はそれを知るや、メモ用紙に思いついた名前を書いて当時新人だった私に渡した。社長が去った後、私はディレクターにメモを見せ、「社長の決定ですよね、どうしましょう」 するとディレクター、即座に却下し、丁重にスルーしたのだった。あ、この会社いいかも、と思った瞬間だった。
新社長の春弘氏は、世襲とは言うものの、長年社内の営業部門を転戦し、経営を学んできた人物。もう一人の息子、良三氏は「モンスターハンターポータブル」のプロデューサーとして最近有名になったが、実は「キカイオー」のプランナーから相当の下積みを経ている人物。この兄弟で開発と経営の両面を掌握し、カプコンが発展するのかどうかは今後のお楽しみ…ということになるのである。